僕がそんなにモテるわけ 第6話
改めて、僕の名前は佐藤〇〇
頭脳凡人、顔面偏差値は中の下、決していいとは言えないスタイル、ありきたりな名前、何をとっても世間で負け組に数えられていた…のかわからない人
そんな僕は死のうとしていたが突然現れた変なおじ…男にモテ期を授けられた
そうすると約2週間で目まぐるしく変わった
周りが変わり、世界が変わったように思えてきた
そしてその変わった世界では
僕が求めてもいないことが発生している
〇〇:……
保乃:ジー
里奈:??
久美:イライラ
美玖:アセアセ
幸也:えーっと…クライアントとしての希望はですね…
この世の中には死んだら天国か地獄に行くと聞いているが、やっぱり生きていても地獄はあると思う
〇〇:あのー…
幸也:なんですか佐藤さん?
〇〇:なぜ、プログラミングが関係あるのでしょうか…
幸也:ん?システム開発部でしょ?プログラミングというよりもWEBサイトは君の部で作ってるでしょ?そっちで呼んでるんだけど?よろしい?
〇〇:あー…えーっと…はい…
幸也:で、話を続けますと…
隣の保乃さんからは話を聞きつつも冷たい視線を感じ、目の前の久美からはなぜか怒りのオーラを出され、里奈さんはこのミーティングの状況を読み込めず、この空気感に動揺する金村さんがいる
そして僕は…
喉の奥に感じるキリキリとした乾いた痛さと胸に針が神経を、痛点を突き続けるようにこの空気と時間をどうにかやり過ごしていた
幸也:以上となります。なお、CM撮影時もこのメンバーと顔を合わせることになりますのであと2回ほどミーティングをして
〇〇:え"?
幸也:ん?
保乃:ほにょ?
里奈:??
久美:へ?
美玖:……
〇〇:あと2回も打ち合わせするの??
幸也:クライアントとのコミュニケーションは俺と保乃さんがやるからお前はCM動画のアップ時期とかそういう準備にもみんなで頭の中を同じようにする擦り合わせが必要だろ?
〇〇:…はい
幸也:というわけで今日は夜このあとこのメンバーで懇親会で!
〇〇:は!?
美玖:え!?あ、あの…
幸也:ん?金村さんどうしました?
保乃:金村さんはインターンの子なのでCM撮影の時にはいないのですが…
幸也:あー、でも懇親会だし特に気にせずにチームっていうのはこういう風に作るんだって社会人になる前に知っておくのがいいと思うよ?だから来ても問題なし!
この瞬間だけは彼を本気で地獄に突き落としたいと思ったのはいうまでも無い
幸也:一旦解散して後で懇親会の場所は送りますので18時頃でお願いします!
久美:あの…私このまま戻っても間に合わなさそうなのでここにいても大丈夫ですか?
幸也:それならフリースペースあるのでそちらなら社内の人じゃなくても大丈夫ですのでご案内しますね、おーい〇〇
〇〇:ん?
幸也:佐々木さんをフリースペースに案内してやれ
〇〇:お"
幸也:さっきからどんな声出してんだよ
〇〇:幸也が案内してあげれば…
幸也:俺はこれから今日決めた内容を報告してこなきゃいけないし保乃さんと里奈ちゃんと撮影時の確認事項の照らし合わせしなきゃいけないの!じゃあよろしく頼むわ!
〇〇:あ、いや…はい…じゃあ久美…
保乃:久美!?
里奈:久美?
美玖:久美…
幸也:おっと
〇〇:こ、こっち!
久美:え?う、うん
幸也:これは想定していた以上だな
〇〇:……
久美:ねぇ…
〇〇:こちらがふ、フリースペースになりますので…
久美:ねぇ…
〇〇:じ、じゃあこ、懇親会で…
久美:ねぇってば…
シャツの裾を掴まれた
発狂して逃げたかったが会社内なだけにそんなことをしたら本当にヤバい人なので逃げ場はなかった
久美:怒ってる?
〇〇:え?
久美:この前の夜…
〇〇:え?あ、いや…覚えてない…
久美:覚えてないならなんでそんな避けるの?
〇〇:いや、それは…
久美:それは?
〇〇:…なんでもない
久美:…本当にズルい
〇〇:とりあえず戻るね…
久美:1つだけ聞いていい?
〇〇:はい…
久美:〇〇はあの中で誰が気になるの?
〇〇:え?え?
久美:図星か
何も言えなかった
あの中で気になる人
それはわからない
なぜなら僕にとって恋愛とは何も知らない銀河系の彼方の惑星で起きてる出来事のようなものだ
語るものもなければ語れるほどの経験もない
それどころかほんの少し前までは人生の淵にいたような人間だ
今でもそう思ってるのに誰かを好きになって…
しかも世間でもモテるであろう部類に入る人達と出会えるなんて…
自問自答しても出ない答えに時間をかけていくことには慣れているが分類が違う
ただただ刻一刻と迫る食事会から逃げたいという考えしかなかった
〜〜〜
幸也:遅いぞ!
〇〇:ご、ごめん…
幸也:冗談だよ笑
保乃:私も今来たばかりなので笑
美玖:せんせ…じゃないや…佐藤さんなにしてたんですか?
幸也:外部との懇親会って言えば残業あるわけないだろ?
〇〇:う、うん、ちょっとね
幸也:まぁいいや、里奈ちゃんと佐々木さんは先に行ってるから
〇〇:あ、うん…
美玖:佐藤さん緊張してるんですか?
保乃:なんか顔色も悪いですよ?
幸也:あっはっは笑そりゃあこの前の合コンよりも緊張するよな!笑
保乃:合コン?
美玖:合コン?
〇〇:はっ!いいから行くよ!
幸也:ニヤニヤ
〜〜〜
幸也:じゃあわずかな期間ですが…明るくて風通しのいいチームにして、成功出来るように頑張りましょう!乾杯!
全員:乾杯!
里奈:あー!仕事終わりのビールが美味しい!
幸也:佐々木さんはワインっておしゃれすぎますよ笑
久美:あんまりビール得意じゃなくて笑
幸也:保乃ちゃんもワイン?
保乃:私も負けてられませんから…
幸也:え?
里奈:〇〇さんなんでカシスオレンジなんですか!?
〇〇:あんまりお酒得意じゃなくて…
美玖:可愛いです
〇〇:ん?
美玖:な、なんでもないです!
保乃:ジー
久美:保乃…さん?
保乃:え?あ、はい!
久美:そんなに〇〇見てどうしたんですか?
保乃:え!?そんなに見てました!?
幸也:最近職場でいつも一緒にいるじゃん笑
保乃:ま、まぁ///
久美:昔はそんなモテる人じゃなかったのに…
里奈:昔?
久美:幼なじみなんです
幸也:え!?マジ!?
美玖:そうなんですか!昔の〇〇さん知りたいです!
〇〇:いやーその…
久美:ダサい通り越して気持ち悪い!
〇〇:え?
幸也:あっはっは笑そうだよな笑
久美:根暗でなんにも出来ないしそれで度胸もないときたら…
〇〇:言い過ぎ…
幸也:酒の効果か?
バン!
美玖:ビクッ!
里奈:ん?ムシャムシャ
久美:え?
幸也:お?
〇〇:へ?
保乃:〇〇さんはそんな人じゃない!
〇〇:ほ、保乃さん?
保乃:〇〇さんは優しくて勇気があって…幼なじみなのにそういうところ知らないんですか?ヒクッ
幸也:こっちも酒の力か
保乃:私は今の〇〇さんを知ってますから頑張ります!
幸也:なんのこと保乃ちゃん笑
久美:昔を知ってる私は〇〇の一番の理解者だと思ってる…
パンパン👏
〇〇:ん?
里奈:ほらほら!その辺にしてご飯食べましょ!冷めたら美味しくないですよ!
美玖:そ、そうですよね!あ!このピカタ美味しいですよ!
そのあとは特に何事もなかったかのように進んでいった
いや、進めた幸也と里奈ちゃんのおかげだった
昔を知ってる久美、今を見ている保乃さん
僕は自問自答していた
どちらがいいとかではない
2人の心の声が刺さるからだ
久美の気持ちはわかる
保乃さんの言うこともわかる
だからこそ僕にとって一番なんて無いんだ
そんなの今は決めれない
毎回思うのは自分のこの世界が違和感なのだ
…〇〇
〇〇:ん?
幸也:帰るぞー
〇〇:あ、うん
幸也:保乃さん帰るよ?
保乃:んーもうかえるんでしゅか?
〇〇:酔っ払ってるね…
幸也:しゃあない…〇〇送っていけよ
〇〇:え?ぼ、僕?
幸也:しょうがねぇだろ
〇〇:まぁ…うん
里奈:よーし!美玖ちゃんは私と一緒にもう一件行こう!
美玖:え?え!?
里奈:私の大学のモテ話を聞きなさい!
美玖:えー!!
幸也:気をつけてなー笑
〇〇:じ、じゃあ…保乃さん行こう…
保乃:うぇ〜〇〇さんがおきゅってくれりゅー嬉しい〜
幸也:頼んだぞ〜よし!久美ちゃんは俺とね
久美:え?
幸也:あいつの昔話聞かせてくれよ笑
久美:…別になにもないですよ
幸也:まぁ一緒に帰ろうや
〜〜〜
保乃さんはいい匂いがした
いや、変態ではなくて…と、自問自答を繰り返して帰り道を補助しながら歩いている
〇〇:保乃さん大丈夫ですか?
保乃:うーん…
〇〇:こっちであってますよね?
保乃:にゃんでしってるぅんじぇすか?
〇〇:この前送ったからですよ?
保乃:〇〇しゃんへんらーい
酔っ払っていなければ全力否定するがこの様子ではなにをしてもダメだろう
保乃:〇〇しゃーん
〇〇:どうしました?
保乃:あのきゅみしゃんって人なんなんでしゅか?
〇〇:え?
保乃:あんなに〇〇しゃんのことバカにして…正直ムカつきまひぃた
幸也:なんであんなに保乃ちゃんに噛み付くのさ?
久美:大人じゃなかったですかね?
幸也:いやいや笑むしろ〇〇にあんなに夢中な人いないよ笑
久美:別にそういうわけじゃ…
幸也:ふーん、じゃあ聞くけど…いつから〇〇のこと好きなの?
〜〜〜
〇〇:保乃さん着きましたよ
保乃:んーありがとう〇〇しゃん
〇〇:じゃあ僕は帰りますね
保乃:あー待って〇〇しゃん
〇〇:え?
この世にはモテない人とモテる人がいるのは間違いない
僕は前者だ
それは今でも思う
〇〇:…ん?
幸也:久美さんは〇〇のこと好きでしょ?
久美:……
もし、モテ期があるならそれは今だ
確信してしまった
なぜなら
保乃:…ん
この少しワインの残ってる果実の甘さを唇から感じているのは僕にとってはおかしいこと
そして
覚えのある中でのファーストキスだった
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