(創作物語)『明日への貴方へ』 その11

前回までのあらすじ。
水の神殿で畏敬のドラゴンと戦闘になるナディア達。またもあの謎の剣士と盗賊に助けられる。水の神殿内では、初老のアルバーノに出会い、アルバーノから託されたカスパル(小竜)を仲間にする。謎の剣士と盗賊の正体は、ウォルトンらであることが判明。ナディア達4人は、次なる目的地のモダンな街並みに行くことになるが・・・・・。
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 ウォルトン「にしても、こればかりはバレたらかなりやばいことになるぜ。でも、ブロウスさんがいてくれたからまだ良かった」

 サーナ「そうよね。ウォルトンの所のブロウスさん、現場からの叩き上げだから、私達のことよくわかっているから、、、、」

 ウォルトン「おおっと、こうしちゃいられねぇ、今日の報告を早速ブロウスさんにするか。じゃあな!」

 サーナ「相変わらず、せっかちなんだから」

 ウォルトンはブロウスに今日の電脳空間での出来事を報告する。

 ブロウス「ふむふむなるほど。あの水の神殿にはドラゴンがいたと、問題は誰かがけしかけたに違いないということだな」

 ウォルトン「はい。まだ確証はありませんが、○☓△□かと」

 ブロウス「引き続き調べておいてくれ。あと、新型のアンドロイドRGHJ-1800については、どうだ?」

 ウォルトン「はい、やはりこの転送装置をアンドロイドの脳に近いところに付けると可能になる可能性があります、、、しかし、これは危険ではありませんか?」

 ブロウス「電脳空間に実体を送り込むことはアレン博士にとっても未知の領域。我らが先に実現できれば、アレン博士に大きく差をつけることができる。それに、電脳空間へのアクセス権限を我々にも渡さないとは、権力の掌握だと思わないか?」

 ウォルトン「確かに、、、、。だから、あなたはアレン博士とは違った方法で独自に電脳空間へのアクセスを可能にする方法を見つけたのですね」

 ブロウス「製造部門のザカロンを取り込めれば、こちら側が有利となるのだがな、、、、」

 ウォルトン「サーナに働きかけてもらう、ということもできますが?」

 ブロウス「そうだな、話し合いの余地は残しておこう」

 

 一方、電脳空間内では、ナディア達はモダンな町並みを目指して出発していた。そこには、現実世界での生活棟よりも大きな都市空間が広がっている。電脳空間内のモダンな街並みに到着したナディア達。都市空間ともあり、様々なエンタメが揃っている。遊園地にテーマパークと、ルシードとカスパル(小竜)は早速見たこともないアトラクションに真っすぐに飛んでいった。

 ナディア「ちょっと、待ちなさいよ!ったくもう!」

 アムル「しょうがないだろ、あいつらはまだ子供なんだから」

 ナディア「目を離すと、すぐこれだから・・・」

 先に行ってしまったルシードとカスパル(小竜)を探すナディアとアムル。だがどこにも見当たらない。周りのたくさんの行き交う人々をかき分けながら、2人を探すこと約30分。ようやく見つけたルシードとカスパル(小竜)。だが、そこにいたのは自分達ではなく、影のナディアとアムルであった。

 アムル「おい、あれって・・・・俺達だよな?」

 ナディア「え、ええ。でも何故?あれは確かに、私たちの姿をしているわよね?!」
 
 彼らと少し離れて、見覚えのある顔を発見するアムル。

 アムル「おい、あれは、母さんじゃないか・・・」

 ナディア「!?そうね、あれは魔女ドリナだわ。待って、今日はどちらか見極める必要があるわ」

 アムル「そんなの感で、悪い方に決まっているだろ!ナディア、行くぞ!!!今日こそ、あの魔女ドリナの秘密を暴いてやるんだ。」
 
 ルシード「ねぇ、ナディア、一緒に遊ぼうよ。メリーゴーランド、楽しそうだよ~。アレに乗りたい!」

 ナディア(影)「そうね、一緒に遊びましょ。冒険は今日は止め!」

 そこに、本物のナディアとルシードが到着する。

 ルシード「ナディアが2人!???」

 ナディア「あいつは偽物よ!私が本物のナディアよ!信じて」

 ナディア(影)「あんな怖い顔した人が本物じゃないわよね?私の所にいらっしゃい?」

 アムル(影)「俺なら何でも買ってやるぜ。ルシード、欲しいものは何だ?え?」

 アムル「けっ、吐き気がするぜ。おい、ルシード、お前わかっているんだろ?俺が本物のアムルだ!」

 ルシードとカスパル(小竜)はしばらく考え、本物のナディアとルシードの所へ行く。

 魔女ドリナ(悪性)「ちっ、邪魔が入ったか・・・。お前達、せいぜい相手してやるんだよ。」

 魔女ドリナはその場から消え去り、アムル(影)とナディア(影)との戦闘になる。周りに人だかりが無い所まで移動するナディア達。影もその後をついてくる。

 アムル「俺たちに化けてルシード達を騙そうとするとは、いい度胸だな」

 アムル(影)「お前達は、何もわかっていない。あの方が何をなさろうとしているのかが」

 ナディア「あの方?何の事?わかるように言いなさいよ」

 ナディア(影)「あなた何も知らないのね。いいわ教えてあげる。ただし、私たちに勝ったらね?無理だと思うけど。私達、新型よ」

 アムル「何?!新型?」

 アムルがアムル(影)から突然の魔法攻撃を受ける。とっさにシールドを張るが、影の魔力に押されシールドは破壊。ナディアもナディア(影)から波状攻撃を受け、床に伏せてしまう。

 アムル「ぐぐぐ、こんなことが・・・・・」

 ナディア「なんて強さなの・・・・・ルシード、逃げて!」

 その時、またもやあの謎の剣士と盗賊が現れ、アムルとナディア、ルシードとカスパル(小竜)を救出する。
 
 アムル(影)「何だ今の奴らは?」

 ナディア(影)「はじめて見るわね、新しいタイプかしら?まあいいわ、魔女ドリナ様に報告よ」


 影から随分と遠くに逃げた謎の剣士と盗賊。ナディア達は二度も助けられた。お礼を言うナディア達。

 ナディア「あなた達にはこれで2度も助けられました。ありがとうございます」

 アムル「誰も頼んでいないけど、一応礼は言っておくぜ。ありがとうな!」

 謎の剣士「名乗るほどの者ではない。我々は、いつでもあなた達を見守っている」

 そして、フッと消えた謎の剣士と盗賊。

 ここで、アレン博士が現実世界にナディアとルシードを呼び戻す。


 アレン博士「今日はどうだった?何か進展はあったか?」

 ナディア「砂漠の遺跡で支援者と名乗るアルバーノに出会いました。彼の弟子はあの魔女ドリナだそうです」

 ルシード「あと、遊園地にも行ったよ。でも、そこに悪い魔女ドリナがいたんだ。ナディア姉さんとアムルのそっくりな奴らに攻撃されて」 

 ナディア「私達では勝てなくて、その時、とある剣士と盗賊が助けてくれたのです」

 アレン博士「?彼らはどんな風貌だった?」

 ナディア「いえ、私達と同じような服装をしていました」

 アレン博士「妙だな、私の開発したこの装置でしか電脳空間にアクセスできないはずなのに・・・・・。私もモニターで見ていたが、前にも彼らに助けられたね?」

 ナディア「はい」

 アレン博士「彼らには近づかない方が良い。今回は運が良かったね」

 ナディア「あの、アレン博士、魔女ドリナは善の時と悪の時がある気がするんです。今回は敵意を持って、こちらを攻撃してきました。私達のコピーまで作って!」

 アレン博士「そうだな、魔女ドリナは厳しく監視する必要があるね。今日はもう遅い。帰って休みなさい」

 

 その夜、生活等でウォルトンとサーナを呼び出したナディアとルシード。今日会った出来事を全てウォルトン達に話す。

 ナディア「もしかしてはと思うけど、アレン博士は、悪い方の魔女ドリナとつながっているとか?」

 ウォルトン「その可能性は十分にある。だからその謎の剣士と盗賊の事を邪魔だと思ったんだろう」

 ルシード「また、あの剣士と盗賊助けに来てくれるのかな。かっこよかったなぁ~」

 サーナ「ルシードがいい子にしていたら、きっと助けてくれるわよ」

 ルシード「じゃあ、いい子にしている!」

 

長い一日が終わり、ルシード以外は、それぞれは深い眠りに付く。



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登場人物

 ナディア:体は機械、脳は人間のアンドロイド。
 特技:〇〇、高速移動

 ルシード:正体不明の少年
 特技:似顔絵書き、高速移動、生命反応探知

 アレン博士:脳科学者で、偏屈者。自身で、超巨大な設備を持つ。

 アムル:アレン博士の所で電脳世界に入った時、ルシードが出会った少年。200年前、脳移植時に事故が起こり、電脳空間に閉じ込められた少年。母は、魔女ドリナ。
 特技:電脳空間時に魔法使用可能

 ザカロン:アレン博士の研究所の製造部門長。

 サーナ:製造部門で働く女性社員。情報通。彼氏はウォルトン。

 ウォルトン:生体部門で働く男性社員。彼女はサーナ。

 ブロウス:生体部門の部門長。アレン博士とは別に、独自に電脳空間に入れる装置を開発した秀才。アレン博士とは対立している模様。


アレン博士の研究所

 研究棟:身体に電極をつなぎ、電脳空間へと飛べる装置がある。電脳空間の出来事はモニターで閲覧可能。また、日々進化する技術の推移を集めた頭脳集団がいる部門

 製造部門:最新のAIやロボットを製作する部門。

 生体部門:人間の生体と機械を繋ぐことを目的とする部門。

 スクラップ置き場:廃材を重機で押しつぶし、再利用する場所。

 生活棟:研究者や製造スタッフが寝泊まりできるくらいの施設。一つの町と言ってもいいほどの広さがある。



製造しているアンドロイド等

 RGHJ-1700:新モデルで、旧タイプより130%性能がアップしている。

 RGHJ-1800:1700の後継機種のアンドロイド。場所を選ばずに電脳空間に実体を移動できる機能が搭載される予定。


アレン博士の研究所での謎

 生体部門:ウォルトンが発見した、分厚いガラスで何重にも守られた部屋に冷凍保存された男女一対の人間。


アムルが捕らわれている電脳世界

 魔女ドリナ:アムルを電脳空間に閉じ込めた魔女。普段いつも自分の家で、まじないの薬を調合しているが、3日に1回、近くの森、廃墟へ出かける。息子は、アムル。師匠は、水の神殿にいるアルバーノ

 森:魔女ドリナが3日に1回訪れる森。一つ目の巨人サイクロプスが住むとされる地域。

 廃墟:魔女ドリアが3日に1回訪れる廃墟。凶悪なドラゴンが住むとされる地域。

 水の神殿:アムルが発見した電脳世界の新地域。アルバーノが守護している聖域。

 砂漠の遺跡:アムルが発見した電脳世界の新地域。

 モダンな街並み:アムルが発見した電脳世界の新地域。


 魔女ドリナ(悪性):魔女ドリナのもう片方の一面。何故悪性に変わるかは不明。
 特技:召喚魔法

 謎の剣士:砂漠の遺跡に向かうナディア達をサイクロプスから守った剣士。現実世界のウォルトン。

 謎の盗賊:剣士と共にいた盗賊。現実世界のサーナ。

 アルバーノ:初老の水の神殿の守護者。ナディア達と出会ったあとは、彼らを支援することに。弟子は、魔女ドリナ。

 カスパル(小竜):アルバーノがアムルに手渡した小さな竜。アムルの魔力に比例して強くなる。

 ナディア(影):魔女ドリナ(悪性)が生み出したナディアそっくりの影。

 アムル(影):魔女ドリナ(悪性)が生み出したアムルそっくりの影。




 電脳世界でのアイテム等

 古い書物:砂漠の遺跡の最深部にあった書物。各地域の成り立ちなど、この電脳世界での歴史が書かれている。水の神殿に入る時に必要。

 光る石:水の神殿に行くときに行商人から購入した奇麗な石。

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