(創作物語)『明日への貴方へ』 その20(最終話)

前回までのあらすじ。
生体部門の男女一対の人間が保存されている前で、マイルズ(創造主)とラベン(創造主)に殺されたアレン博士。しかし、アレン博士は電脳空間に魂を転移させ生き延び、かつマイルズ達を操り始める。丁度その頃、冷凍保存が解除された男女一対の人間が目を開き始めるが・・・・。
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 解凍された人間(男)「・・・・・ここは、どこだ?お前は・・・・・」

 解凍された人間(女)「随分眠っていたみたい・・・・・・あなたは・・・・」

 人間の男と女の額には、ひし形の宝石が埋め込まれている。人間の男女がナディアとルシードを観た時、覚醒が始まる。ごごごごごごごごという轟音が響き渡り、もだえ苦しむ解凍された人間の男女。やがて、古代の服を着た二組の男女はこちらを見て、こうつぶやく。

 蘇った古代の人間(女)の集合体「ようやく会えました。私の愛おしい娘」

 蘇った古代の人間(男)の集合体「苦しい時に、助けてやれなくて・・・・もう一度顔をよく見せてくれ」

 蘇った古代の人間(女)の集合体「たとえ体は機械でも、心はあの当時のその物なのね」

 蘇った古代の人間(男)の集合体「あの事故は、防ぎようが無かったんだ・・・・私は、全力を尽くした」

 アムル赤目(本体)「あれが、僕の父親・・・・・・」


 その姿を見てナディア達は過去の記憶が蘇り始める。

 ナディア「あれが、私たちのお母さんとお父さん・・・・」

 ルシード「僕の家族・・・」

 

 アレン博士「お前達に家族などいやしない。創造主に滅せられるがいい!」

 アレン博士は創造主を取り込み、神殿のような建造物と一体化し、アレン博士(創造主)となる。

 
 アムル赤目(本体)「いよいよ、ラスボスのお出ましか!」

 リーミラ(魔女ドリナ)「創造主は両サイドに取り込まれたわ。弱点は中心のあのコアの部分。そこを狙うの」

 アレン博士(創造主)「創造主の力を取り入れた我にかなうものなどいない。宇宙の塵となれ!」

 アレン博士(創造主)は天空から何本もの槍を出し打ち下ろす。神槍が次々とナディア達に襲い掛かる。

 体に何本も神槍を受け、動けなくなるナディア達。

 ナディア「お父さん、お母さん、、、もうだめだわ・・・・」

 ルシード「助けて・・・・・・、死んじゃう・・・・・」

 アムル赤目(本体)「もう、これ以上防ぎきれない!魔力が底をつきかけているんだ」

 リーミラ(魔女ドリナ)「もう、ダメだわ・・・・・力が残っていない・・・・」


 その時、蘇った古代の人間(男女)の集合体の額に埋め込まれたひし形の宝石がナディアとルシードの前に落ちる。ひし形の宝石を取るナディアとルシード。体に刺さった神槍はスッと立ち消えた。

 そして、不思議と力が沸いてくる。何だろう、この暖かな、でも力強い鼓動と脈動を感じる。再び立ちあがるナディアとルシード。

 ナディア「この宝石を力に変えて、この世界を守る!」

 ルシード「お父さん、お母さん、見ていて、僕がやるよ!」

 2人は、宝石を剣に変え、アレン博士(創造主)に立ち向かう。


 アレン博士(創造主)「そんな剣ごときで、何ができるというのだ?神槍で貫いてくれるわ」

 再びナディア達に神槍を降り注ぐアレン博士(創造主)。その槍をバサバサと切り刻むナディアとルシード。移動速度も依然と比較にならないほど増している。そして、2人でアレン博士(創造主)の弱点と見られるコアへの攻撃を開始する。

 ナディア「狙うは、コアのみ。いいルシード?」

 ルシード「うん、絶対にあきらめないよ!」

 ナディアとルシードは息を合わせ、アレン博士(創造主)のコアに飛び込み、コアを破壊する。

 崩れ去るアレン博士(創造主)。

 アレン博士(創造主)「現実の世界では敗れたが、電脳空間で私は生き続ける。ふははははははは」


  リーミラ(魔女ドリナ)「アレン博士は電脳空間に逃げるつもりよ!」

 アムル赤目(本体)「こうなると思って、手は打ってあるさ」


 戦いを終えて、ナディアとルシードは、再び蘇った古代の人間(男女)の集合体に話しかける。

 ルシード「あの、、、、さっきはありがとう、助けてくれて」

 蘇った古代の人間(女)の集合体「あなたがかんばったのです。私はきっかけを作ったにすぎません」

 ナディア「今も、これからも見守っていてくれる?」

 蘇った古代の人間(男)の集合体「ああ、いつでもお前達の幸せな姿を見守っているよ」

 アムル赤目(本体)「こういうのもなんだけど、僕は恨んでなんかいないからな・・・・・。僕の事も・・・・」

 蘇った古代の人間(男)の集合体「当然、見守るさ、アムル。リーミラ(魔女ドリナ)、アムルを頼んだよ」

 リーミラ(魔女ドリナ)「この世界では、私がアムルの母親代わりだから、任せておいて」

 アムル赤目(本体)の頬から一粒の涙が落ちる。

 蘇った古代の人間(男)の集合体「さあ、最後の仕事をしてきなさい。アレン博士は電脳空間にいるようだ」

 アムル赤目(本体)「ナディア、ルシード、一緒に行こう」

 ナディア「そうね。また昔のように」

 ルシード「アムルはいつでも友達だよ!」

 リーミラ(魔女ドリナ)「まずいわね。電脳空間で戦っているカスパル達がRGHJ-1800に押されているわ。早く行くわよ」

 移動している最中、アムル赤目(本体)は水の神殿のアルバーノに連絡を取っていた。



 そして、電脳空間に着き、アレン博士を探すナディア達。

 ナディア「どこへ逃げようとも、この剣でけりをつけるわ」

 ルシード「あそこにいた!」

 ルシードが指さした先に、あのアレン博士とマイルズ、ラベンがいた。

 アレン博士「こっちに来るな!この二人の命はないぞ!この爆弾を見よ!」

 RGHJ-1800の起爆装置を持っているアレン博士。まるで眠っているかのようにマイルズとラベンは動かない。RGHJ-1800に手足の自由を奪われ身動きできないでいる。

 アレン博士「その剣を捨てろ。今すぐにだ!」

 剣を地面に置くナディアとルシード。そしてゆっくりと引き下がる。

 ナディア「アレン博士!もうやめて!もう終わったの、、、、」

 ルシード「アレン博士、、、、あんなに優しかったのに、どうして、、、、、」

 と、そこに来たのは水の神殿のアルバーノだ。手には古い書物と水の玉のような容器を持っていた。そして、何やら呪文を唱え始める。

 アルバーノ「いや〜。この呪文を体得するのに思ったよりも時間がかかってしまってね〜」

 アムル赤目(本体)「アルバーノのオッサン。遅いぜ!もう少し早く来てくれたら、創造主と戦わなくてよかったのに」

 アルバーノ「そう言うなよ。これでも頑張ったんだ。少しは褒めてほしいよ」

 そう言うと、アレン博士、マイルズ、ラベンの3人は水の玉の中に封印されていった。

 古竜シードロヴナ(人間)「後の管理は我々に任せて、お前たちは現実世界でRGHJ-1800をどうにかするのだ」

 ナディア「何もかもありがとうございます」

 ルシード「また、遊びに来ていい?竜族のお話、聞きたいな!」

古竜シードロヴナ(人間)「いつでも来るがいい。とっておきのお話を用意しておくぞ」


 現実世界に戻り、ナディアはブロウスを訪ね、RGHJ-1800の緊急停止装置の製作依頼をする。それを快く受け入れ、その後RGHJ-1800で仮試験後、無事に停止を確認。また、RGHJ-1800は生物大量破壊兵器を搭載可能として、議会で生産中止が可決された。こうしてRGHJ-1800は生産中止となる運びとなった。
 
 アレン博士不在後の研究棟には、後任としてブロウスとザカロンの二人体制となり、新たなアンドロイドの開発が始まった。今後はより人体に近い半有化合物アンドロイドの作成だ。再生能力の非常に高いアンドロイド。それがブロウスとザカロンの目指すところの究極のアンドロイド。

 平日、ナディアとルシードはブロウスとザカロンの元で、この半有機化合物アンドロイドの製作に携わることになった。

 そして、休みの日には電脳世界へ行き、カスパルや古竜シードロヴナのお話や冒険を共に体験しに行く。

 また、ナディアとルシードは現実世界で蘇った古代の人間(男女)の集合体と一緒に住むこととなる。

 アムルは、リーミラ(魔女ドリナ)と二人で現実世界で暮らすことに。アムルは週末の度に、ルシードと遊び、2人は親友となった。


 おしまい


ここまで長らく読んでいただけた皆さま、スキを押して頂いた皆様に、深く感謝いたします。ありがとうございました。

ラスボスはFF13のラスボスをイメージして書いてみたヾ(*´∀`*)ノ


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登場人物

 ナディア:体は機械、脳は人間のアンドロイド。
 特技:〇〇、高速移動

 ルシード:正体不明の少年
 特技:似顔絵書き、高速移動、生命反応探知、声

 アレン博士:脳科学者で、偏屈者。自身で、超巨大な設備を持つ。→大聖堂での魔女ドリナによるRGHJ-1700大量破壊事件を受け、極秘プロジェクトの再始動を会議で決定。RGHJ-1800を量産体制に移行させる。→ 生体部門でマイルズ(創造主)とラベン(創造主)に殺されるが、逆に彼らを吸収して最終形態になる。→ ナディアとルシードに倒され、その後電脳空間に逃げる。

 アムル:アレン博士の所で電脳世界に入った時、ルシードが出会った少年。200年前、脳移植時に事故が起こり、電脳空間に閉じ込められた少年。母は、魔女ドリナ。→ リーミラにより、電脳空間から強制的に現実世界へと連れ出され、正気を失い赤目のアムルとなる。
 特技:電脳空間時に魔法使用可能

 ザカロン:アレン博士の研究所の製造部門長。冷徹。

 サーナ:製造部門で働く女性社員。情報通。彼氏はウォルトン。

 ウォルトン:生体部門で働く男性社員。彼女はサーナ。

 ブロウス:生体部門の部門長。アレン博士とは別に、独自に電脳空間に入れる装置を開発した秀才。アレン博士とは対立している模様。

 リーミラ:ブロウスの元妻。研究棟の一室で、アムルの本体を隔離し、個人的にアムルのデータを何かに利用しようとしていた。本当の目的は魔女ドリナを電脳空間から現実世界へと出す計画を練っている。→ 大聖堂で魔女ドリナと同化し、リーミラ(魔女ドリナ)となる。

 アムル(本体):研究棟の一室の円柱状のガラス内に閉じ込められた少年。  →大聖堂でアムル(赤目)と同化し、アムル赤目(本体)となる。


アレン博士の研究所

 研究棟:身体に電極をつなぎ、電脳空間へと飛べる装置がある。電脳空間の出来事はモニターで閲覧可能。また、日々進化する技術の推移を集めた頭脳集団がいる部門。とある部屋の一角に、アムルの本体が保管されているのをサーナが偶然見つける。

 製造部門:最新のAIやロボットを製作する部門。

 生体部門:人間の生体と機械を繋ぐことを目的とする部門。

 スクラップ置き場:廃材を重機で押しつぶし、再利用する場所。

 生活棟:研究者や製造スタッフが寝泊まりできるくらいの施設。一つの町と言ってもいいほどの広さがある。

 大聖堂:人々の心のよりどころ。魔女ドリナとアムル(赤目)がRGHJ-1700と戦い、リーミラ、アムル(本体)と同化した場所でもある。


製造しているアンドロイドや、アイテムなど

 RGHJ-1700:新モデルで、旧タイプより130%性能がアップしている。AIを搭載し、完全自動で動く。完全自立型アンドロイド。

 RGHJ-1800:1700の後継機種のアンドロイド。場所を選ばずに電脳空間に実体を移動できる機能が搭載される予定。より人間に近づけた「感情」を搭載させた最新モデル。戦闘力もRGHJ-1700の数倍に上がっている。→ アレン博士が電脳空間の陸の孤島を目指すリーミラ(魔女ドリナ)とアムル赤目(本体)の抹殺のために送り込む。自立型でありながら、外部から遠隔操作可能。
 特技:魔法シールドを破れるミサイル、相手の魔法攻撃に対するバリア機能、接近戦での重力装置の開放、現実世界から電脳空間への転送、人間らしい会話や仲間との協力。



 転送装置:現実世界の実機を電脳空間に直接転送できる装置。ブロウスからウォルトンに渡される。



アレン博士の研究所での謎

 生体部門:ウォルトンが発見した、分厚いガラスで何重にも守られた部屋に冷凍保存された男女一対の人間。

 研究棟の奥の部屋:円柱状のガラスの装置内にアムルの本体と思われるものを発見。サーナが偶然見つける。ウォルトンとサーナは、研究棟の奥の部屋に監視カメラを設置。



アムルが捕らわれている電脳世界

 魔女ドリナ:アムルを電脳空間に閉じ込めた魔女。普段いつも自分の家で、まじないの薬を調合しているが、3日に1回、近くの森、廃墟へ出かける。息子は、アムル。師匠は、水の神殿にいるアルバーノ。

 森:魔女ドリナが3日に1回訪れる森。一つ目の巨人サイクロプスが住むとされる地域。

 洞窟:森の奥の洞窟の最奥に、電脳世界から現実世界へ移るための装置をウォルトンとサーナが発見する。魔女ドリアが所持している。

 廃墟:魔女ドリアが3日に1回訪れる廃墟。凶悪なドラゴンが住むとされる地域。

 水の神殿:アムルが発見した電脳世界の新地域。アルバーノが守護している聖域。

 砂漠の遺跡:アムルが発見した電脳世界の新地域。

 モダンな街並み:アムルが発見した電脳世界の新地域。

 陸の孤島:電脳世界を創造した男女一対が封印されているという伝説が残る島。



 魔女ドリナ(悪性):魔女ドリナのもう片方の一面。何故悪性に変わるかは不明。
 特技:召喚魔法

 謎の剣士:砂漠の遺跡に向かうナディア達をサイクロプスから守った剣士。現実世界のウォルトン。

 謎の盗賊:剣士と共にいた盗賊。現実世界のサーナ。

 アルバーノ:初老の水の神殿の守護者。ナディア達と出会ったあとは、彼らを支援することに。弟子は、魔女ドリナ。

 カスパル(小竜):アルバーノがアムルに手渡した小さな竜。アムルの魔力に比例して強くなる。モダンな街並みのテーマパークで鍛錬することにより、中竜となる。→ アムル赤目(本体)が同化したことにより、大竜となる。→ 古竜シードロヴナ(人間)から人間になる術を学び、カスパル大竜(人間)となる。

 ナディア(影):魔女ドリナ(悪性)が生み出したナディアそっくりの影。テーマパークでナディアたちに倒され、ナディアの力となる。

 アムル(影):魔女ドリナ(悪性)が生み出したアムルそっくりの影。テーマパークでアムル達に倒され、アムルの力となる。

 ルシード(影):魔女ドリナ(悪性)が生み出したルシードそっくりの影。テーマパークでルシード達に倒され、ルシードの力となる。

 古竜シードロヴナ:廃墟にいた古竜。ナディア、ルシード、カスパル(中竜)との戦いで深手を負う。血と鱗をアムル(赤目)に奪われる。
 特技:戦闘時に古竜シードロヴナ(人間)となる。


 マイルズ(創造主):電脳世界の創造主。男。ルシードが触れることにより、蘇る。→アレン博士を殺したときに、逆にアレン博士に吸収される。

 ラベン(創造主):電脳世界の創造主。女。ナディが触れることにより、蘇る。→アレン博士を殺したときに、逆にアレン博士に吸収される。




 電脳世界でのアイテム等

 古い書物:砂漠の遺跡の最深部にあった書物。各地域の成り立ちなど、この電脳世界での歴史が書かれている。水の神殿に入る時に必要。

 光る石:水の神殿に行くときに行商人から購入した奇麗な石。

 竜族のペンダント:古竜シードロヴナ(人間)がアルバーノに手渡した竜族のお守りのペンダント。


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