(創作物語)『明日への貴方へ』 その8

前回までのあらすじ。
製造部門長のザカロンに連れられて、製造部門内を見学するナディアとルシード。その時、サーナという女性に出会い、彼氏のウォルトンと共に生体部門に侵入することに。そこで4人は、男女一対の冷凍保存された人間を見つける。謎が深まるが果たして・・・・・。
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 アレン博士「さて、今日も電脳空間へ行ってきたまえ」

 いつものように、電極に繋がれ、電脳空間へ移動するナディアとルシード。

 電脳空間に入り、あのアレンが身を潜めている小屋に行くナディアとルシード。小屋をノックし、自分だと言うナディア。声を聞き、安心してドアを開けるアレン。

 アレン「待っていたよ、さあ中に入って。僕もあれからいろいろとこの世界を歩き回ってわかったことがたくさんあるんだ」
 
 ナディア「待って、それに関しての情報は、・・・・・・することにするわ」

 しばらく3人は黙ったまま喋らなくなった。その時間、約数時間。


 その頃、アレン博士はモニターでこれを見る。

 アレン博士「どうした?今日は妙に動きが少ないな、、、まあ良い。しばらく様子を見よう」


 実は3人は、脳内同士で通信しながら情報を交換していた。


 アレン「(ねぇ、こうして脳内同士で会話できるなんて、僕知らなかったよ)」

 ナディア「(信じたくないけど、今はアレン博士には会話の内容を聞かれるわけにはいかないの)」

 ルシード「(アムル、冷凍保存された女の人と男の人をみつけたよ)」

 ナディア「(そう、あの研究施設内で生体部門という場所があって、そこに男女一対の冷凍保存体があったの。生身の人間の身体よ)」

 アムル「(その男の人の方って、顔は良く見えた?)」

 ナディア「いいえ、曇っていて、顔はよく見えなかったわ」

 アムル「(僕の方も、この電脳世界を色々と探索してきたよ。母さんじゃない、悪い魔女ドリナに見つからないように、各地を転々と歩いていたんだ。そしたら、すごいことがわかってきたんだ。僕がそれまで知っていたのは、魔女の住む家、森、廃墟だけだったんだけど、この映像を見て)」

 アムルは脳内に映像を映し出す。そこには、水が流れる神殿、広陵とした砂漠の遺跡、近代的なビルが立ち並ぶモダンな街並みと多種多様だ。モダンな街並みは、どこかナディア達が今住んでいる居住区に似ている。

 アムル「(この神殿と砂漠の遺跡には、すごい何かがありそうなんだ。ワクワクしないか?なぁ、ルシード!)」

 ルシード「(うん!面白そう!僕も行きたい!)」

 ナディア「(ちょっと、2人とも、これは遊びじゃないんだから、まじめにやってよね)」

 アムル「(ごめん。あと、母さん・・・いや、魔女ドリナに関してだけど、この前、こっそりと魔女ドリナの家に様子を見に行ったとき、家に誰か出入りしているみたいだったんだ)」

 ルシード「(その人は何処から来たの?)」

 アムル「(僕が思うに、遺跡とか神殿とかそこら辺りからじゃ?って。その場所へ行ってみて、調べる必要があると思うんだ。ナディアはどう思う?)」

 ナディア「(そうねぇ、あなたのお母さん魔女ドリナに関連する人を尾行してみる必要があるわね)」

 ルシード「(もし、そいつらが悪い奴だったら、アムルの魔法でドドーンってやっつければいいよ!)」

 アムル「(うん!僕に任せて!あと、僕の地図に水の神殿、砂漠の遺跡、モダンな街並みの場所は印付けておいたから)」

 ナディア「(じゃあ、まずはこの水の神殿に行きましょうか。そこであの魔女ドリナの変化の手がかりがつかめればいいわ)」

 ナディア、ルシード、アムルの3人は、電脳世界内で水の神殿に向けて出発し始める。




 その頃、製造部門のサーナは、ザカロンに呼ばれる。

 ザカロン「サーナ、新しい腕と足の製造は順調か?」

 サーナ「はい。今現段階での最高性能の約130%出力アップできる計算です。」

 ザカロン「ほほう、素晴らしいじゃないか。新モデルは、わが社の顔になるからね、よろしく頼んだよ」

 新型モデルのRGHJ-1700。今製造しているこの研究所での最新モデルのアンドロイドである。そして、後継機のRGHJ-1800は現在、研究段階で生体部門のウォルトンの所で機械との繋がりを試作している段階である。休憩時間に、サーナにウォルトンから連絡が入る。

 ウォルトン「後継機のRGHJ-1800についてだけど、これに付いている機能が、少々ヤバいことになりそうなんだ。あの電脳空間に出入りしているナディアとルシードに知らせたいんだ」

 休憩時間になり、周りに誰もいないことを確認したウォルトンはサーナにこう告げる。

 ウォルトン「忙しいところ呼び出して済まない。実は今開発しているRGHJ-1800に関する情報なのだが、どうやらこれが実現すると、電脳世界に実体を送れるようになるらしい」

 サーナ「え?RGHJ-1800って、確か殺りく兵器にも併用できるようなヤバい武器積む予定のアンドロイドでしょ?」

 ウォルトン「しかも、RGHJ-1800はいつでもどこでも電脳空間にアクセスできる能力もある」

 サーナ「え?それ、かなりヤバいじゃん・・・」

 ウォルトン「アレン博士は旧型のRGHJ-1700でいくつかの実験を繰り返していて、それをRGHJ-1800に搭載する気でいる。今日は時間が無いから、また今度な!」

 急いで部署に戻るウォルトンの背中を不安そうに見るサーナ。自分もデスクに再び戻る。




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登場人物

 ナディア:体は機械、脳は人間のアンドロイド。
 特技:〇〇、高速移動

 ルシード:正体不明の少年
 特技:似顔絵書き、高速移動

 アレン博士:脳科学者で、偏屈者。自身で、超巨大な設備を持つ。

 アムル:アレン博士の所で電脳世界に入った時、ルシードが出会った少年。200年前、脳移植時に事故が起こり、電脳空間に閉じ込められた少年。母は、魔女ドリナ。
 特技:電脳空間時に魔法使用可能

 ザカロン:アレン博士の研究所の製造部門長。

 サーナ:製造部門で働く女性社員。情報通。彼氏はウォルトン。

 ウォルトン:生体部門で働く男性社員。彼女はサーナ。

 

アレン博士の研究所

 研究棟:電極につなぎ、電脳空間へと飛べる装置がある。電脳空間の出来事はモニターで閲覧可能。また、日々進化する技術の推移を集めた頭脳集団がいる部門

 製造部門:最新のAIやロボットを製作する部門。

 生体部門:人間の生体と機械を繋ぐことを目的とする部門。

 スクラップ置き場:廃材を重機で押しつぶし、再利用する場所。

 生活棟:研究者や製造スタッフが寝泊まりできるくらいの施設。一つの町と言ってもいいほどの広さがある。



製造しているアンドロイド等

 RGHJ-1700:新モデルで、旧タイプより130%性能がアップしている。

 RGHJ-1800:1700の後継機種のアンドロイド。場所を選ばずに電脳空間に実体を移動できる機能が搭載される予定。


アレン博士の研究所での謎

 生体部門:ウォルトンが発見した、分厚いガラスで何重にも守られた部屋に冷凍保存された男女一対の人間。


アムルが捕らわれている電脳世界

 魔女ドリナ:アムルを電脳空間に閉じ込めた魔女。普段いつも自分の家で、まじないの薬を調合しているが、3日に1回、近くの森、廃墟へ出かける。息子は、アムル。

 森:魔女ドリアが3日に1回訪れる森

 廃墟:魔女ドリアが3日に1回訪れる廃墟

 魔女ドリナ(悪性):魔女ドリナのもう片方の一面。何故悪性に変わるかは不明。
 特技:召喚魔法


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