(創作物語)『明日への貴方へ』 その13
前回までのあらすじ。
ウォルトンとサーナは研究棟の一室にアムルの本体が閉じ込められていることを突き止める。アムルの本体を円柱のガラスに閉じ込めたのは、リーミラという元ブロウスの妻。リーミラはアレン博士が集まる会議にアムル(赤目と共に乗り込み、出くわしたナディア達と戦闘になる。カスパル(中竜)の手助けで危機を乗り越えるが、リーミラとアムル(赤目)は研究棟の方へ逃げ延びる。
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リーミラ「この研究棟に誰も入れないように、バリアを張りましょ」
アムル(赤目)はバリアを張り、再び電脳空間に入る。
リーミラ「ふふふ、今度こそ、あの魔女ドリアをこの現実世界へ連れ出してやるわ。見てなさい」
監視カメラでこの様子を見ていたウォルトンとサーナ、それにナディアとルシードとカスパル(中竜)。
ブロウス「ウォルトンとサーナは私の所からいつものように電脳空間へ飛ぶのだ。ナディア君とルシード君は、、、、君達はアレン博士の所から飛べばいい」
ウォルトン「あ、そうそう、ナディア達に言わなければいけないことがあるんだ」
ナディア「もう知っているわよ。電脳空間で私たちを助けてくれたのは、あなた達でしょ?剣士と盗賊さん」
サーナ「バレバレだったわけね」
ルシード「じゃあ、向こうで会おうね!!!」
ナディア達はアレン博士の所で電脳空間へ飛ぶ。
ナディア、ルシード、ウォルトン、サーナの4人は電脳空間で、再び集合する。
ナディア「リーミラは、研究棟のモニタでアムル(赤目)を監視しているはず。アムル(赤目)が行きそうなところの予測は何かできる?」
ウォルトン「そうだな。アムルは母親の魔女ドリナに会いたがっているはずだ。おそらく、、、、」
ナディア「魔女の家ね」
サーナ「でも、地図はあるの?あの地図はアムルが持っていたんじゃないの?」
ルシード「地図なら僕が全部覚えてるよ」
そう言うと、ルシードは近くの床に地図を投影した。
ルシード「ここが魔女の家。で、ここが森、そしてここが廃墟」
ウォルトン「森のサイクロプスは俺たちが倒したからもう安全だろう?」
サーナ「ここの廃墟は?」
ナディア「ここの廃墟には、危険なドラゴンがいるってアムルが言っていたわ」
ウォルトン「森にはナディア達は行ったことがないんだろう?」
ナディア「そうね。魔女ドリナも森と廃墟を交互に行き来してるってアムルが言っていたから。まずは、森に行きましょ」
ナディア、ルシード、ウォルトン、サーナ、カスパル(中竜)の5人は、森に向けて出発する。森に近づくに連れて、鬱蒼とした木々が立ち込める。辺りは静寂に包まれ、時折鳥の鳴声が響いてくる。
ウォルトン「止まれ、皆身を隠すんだ!!!」
見れば数十メートル先に、あのアムル(赤目)と魔女ドリナが洞窟に入ろうとしている。何かを話し合っているようだ。洞窟に入る2人。勘付かれないよう急いで後を追うナディア達。洞窟の奥では、見たこともないような設備が備わっている。その設備を前にまた話し込む魔女ドリナとアムル(赤目)。
魔女ドリナ「そう。それじゃあ、アイツラもここに来ているということね。それはそうと、あと少しでこちら側からあちら側に行けそうじゃない!」
アムル(赤目)「しかし、母上、奴らがまた邪魔をしに来ます。あの手はどうですか?」
魔女ドリナ「私もそれ考えていたのよ。あのドラゴンを味方にすれば怖いものなしだわ!早速行ってきて頂戴」
魔女ドリナは洞窟内に残り、アムル(赤目)はどこかに向かうようだ。
ウォルトン「どうする?敵方は二手に分かれた」
ナディア「私とルシードとカスパル(中竜)がアムル(赤目)の後を追うわ。ウォルトンとサーナはここで魔女ドリナを見張っていて」
ウォルトンとサーナは森の洞窟に残り、魔女ドリナを見張ることに。
ウォルトン「ナディアのやつ、言うようになったな。ってか、何年生きているんだ?」
サーナ「アンドロイドだから確か、1000万年以上だわ。私達よりずっと年上ね・・・・(-_-;)人生においても、大先輩よ」
ウォルトン「おっと、魔女ドリナが動き出したぜ」
魔女ドリナ「ふふふ、これで後は、・・・・・とあれを混ぜれば、念願のゲートが開くわ。そして、向こうの世界の『私』と一緒になるのよ。早く帰ってきておいで、私の可愛いアムル坊や。そして、この子も連れて行って、現実を手に入れるの」
ウォルトン「一体あれはなんだ?!まるで怪物だ・・・・・」
サーナ「薄気味悪いわ」
魔女ドリナの傍らにはデンと座る泥人形のような人間?に似たものが横たわっている。所々破壊されているが、かすかに息をしている模様。
一方、アムル(赤目)は廃墟に向かう。これを追いかけるナディア、ルシード、カスパル(中竜)。アムルはゆっくりと廃墟に向かっている模様。
ルシード「ねぇ、ナディア。もうアムルは元に戻らないの?」
ナディア「そんなことないわよ。だって、私達、仲間だもの・・・」
カスパル(中竜)「注意した方が良いです。ここには強力なドラゴンが眠っているとされる地」
廃墟に到着し、中に入るアムル。どうやらナディアに気付きながらもわざと中へ招き入れるかのような仕草をするアムル(赤目)。廃墟の奥へどんどん進んでゆく。昔の都市が廃れ使われなくなった廃墟らしい。建物はボロボロで今は野生動物が住処にしている。
古竜シードロヴナ「お前は、魔女ドリナの差し金といったところだろう。何用だ?」
アムル(赤目)「そうかすでにお見通しか。僕たちは、この現実世界から出るために協力者を募っている。ぜひ、あなたのお力をお貸しいただきたいのです」
古竜シードロヴナ「それで、我の何が欲しい?具体的に申せ」
アムル(赤目)「話が早くて助かる。あなたの血と鱗、そして魔女ドリナに対する忠誠心ですね」
古竜シードロヴナ「ふっ、面白い奴だ。ならまず力を示せ。我が従うべき者かその身をもって証明せよ!!!」
古竜シードロヴナは人間の姿に形態を変化させる。鎧をまとった壮麗で美麗な男性である。
古竜シードロヴナ(人間)「お前ひとりで戦うつもりか?隠れている3人は、そうか・・・・。我も舐められたものよ。人と戦うのは久しぶりだ。あの時の感触を思い出す」
先制攻撃で、アムル(赤目)は黒い玉を出し、魔法攻撃に入る。
古竜シードロヴナ(人間)「ほほぅ、暗黒魔法か。来るがいい!愚かな小さき人間共!!!」
古竜シードロヴナ(人間)はアムル(赤目)が魔法を放つ前に懐に入り、剣撃で一撃を食らわせた。とっさに物理シールドで防御するも打撃を受け後ろに退くアムル(赤目)。
アムル(赤目)「ぐっ・・・!!!!やるな・・・・。なら、これはどうだ!!!」
アムル(赤目)は速度を上げる呪文を唱え、直接魔法をブチ込む接近魔法戦に持ち込みたい模様。しかし、全て剣で弾かれ、その度に打撃を少しずつ受けるアムル(赤目)
アムル(赤目)「はぁはぁ(これじゃあ、手懐ける前に殺される・・・・・)どうする?」
古竜シードロヴナ(人間)「そういう単純な攻撃が我に通用すると思っている時点で、お前はもう負けている。魔法とは、こう使うものだ」
古竜シードロヴナ(人間)は炎の魔法をアムル(赤目)に向かって放つ。炎は輪になり、徐々にその範囲を狭めていく。時間がくれば、アムルは丸焦げになってしまう。
ルシード「もう、見ていられないよ。僕が助けに行く!」
ナディア「まだ、ダメ!あなたまで殺されてしまうわ」
古竜シードロヴナ(人間)「さあ、そろそろ出てきたらどうだ?そこにいるのはわかっているんだ。早くしないと、お友達が大変なことになるぞ」
そして古竜シードロヴナ(人間)の目の前に飛び出したのは、あのカスパル(中竜)だ。氷のブレスを炎に向け吹きつけ、炎を中和する。すぐさま逃げるアムル(赤目)。
古竜シードロヴナ(人間)「操られているだけの人間のために、お前はそこまでするのか?全く理解できぬ。それに貴様も竜族の端くれ。人間に味方し、我に歯向かうとは愚かな」
カスパル(中竜)「魔女ドリナに操られていても、それでもアムルは仲間だ」
古竜シードロヴナ(人間)とカスパル(中竜)が戦いっている最中、アムル(赤目)はその場を逃げようとしていた。
ナディア「待って!アムル、私達の所に戻ってきて!」
ルシード「アムル・・・・、もう友達じゃないの・・・?」
アムル(赤目)は黙ったまま何も答えない。一瞬立ち止まり、またすぐに廃墟の外へと行くアムル(赤目)。それを見守るナディア達。ここはカスパル(中竜)に加勢することに。
ナディア「ルシード、カスパル(中竜)を助けるわよ!」
ルシードはすぐさま古竜シードロヴナ(人間)とカスパル(中竜)が戦っている場所に移動し、加勢することに。
古竜シードロヴナ(人間)「面白い。3人まとめて相手してやろう」
古竜シードロヴナ(人間)は浮き上がりながら浮遊移動し、ナディア達の猛攻をかわし切る。次第に、カスパル(中竜)の体力が落ち始め、ナディアとルシードのみとなる。
古竜シードロヴナ(人間)「そうか、お前たち二人はアンドロイドか。なら、これならどうだ?」
古竜シードロヴナ(人間)は、雷撃魔法を唱え始める。辺り一帯に雷の嵐が吹き荒れ、天から稲妻が何百と大地に降り注ぐ。何とか回避していたナディア達だが、そのうちの一本の雷撃がナディアとルシードに直撃する。痺れて動けなくなるナディアとルシード。そして、その場に伏せてしまう。
と思ったその時、ドフッというナイフを刺す音が古竜シードロヴナ(人間)の背後から聞こえる。最後の力をふりしぼったカスパル(中竜)の一撃が古竜シードロヴナ(人間)を捕らえた。
古竜シードロヴナ(人間)「まだ動けたのか・・・・・。不覚」
その場に倒れ込む古竜シードロヴナ(人間)。そして、倒れた古竜シードロヴナ(人間)の鱗と血をアムル(赤目)は狙っていた。
アムル(赤目)「漁夫の利とは、まさにこれだね。こいつらをおびき寄せたのが功を奏したな」
古竜シードロヴナ(人間)の鱗と血を手に入れたアムル(赤目)。急ぎ、魔女ドリナがいる森の洞窟へと帰ってゆく。
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登場人物
ナディア:体は機械、脳は人間のアンドロイド。
特技:〇〇、高速移動
ルシード:正体不明の少年
特技:似顔絵書き、高速移動、生命反応探知、声
アレン博士:脳科学者で、偏屈者。自身で、超巨大な設備を持つ。
アムル:アレン博士の所で電脳世界に入った時、ルシードが出会った少年。200年前、脳移植時に事故が起こり、電脳空間に閉じ込められた少年。母は、魔女ドリナ。→ リーミラにより、電脳空間から強制的に現実世界へと連れ出され、正気を失い赤目のアムルとなる。
特技:電脳空間時に魔法使用可能
ザカロン:アレン博士の研究所の製造部門長。
サーナ:製造部門で働く女性社員。情報通。彼氏はウォルトン。
ウォルトン:生体部門で働く男性社員。彼女はサーナ。
ブロウス:生体部門の部門長。アレン博士とは別に、独自に電脳空間に入れる装置を開発した秀才。アレン博士とは対立している模様。
リーミラ:ブロウスの元妻。研究棟の一室で、アムルの本体を隔離し、個人的にアムルのデータを何かに利用しようとしていた。本当の目的は魔女ドリナを電脳空間から現実世界へと出す計画を練っている。
アレン博士の研究所
研究棟:身体に電極をつなぎ、電脳空間へと飛べる装置がある。電脳空間の出来事はモニターで閲覧可能。また、日々進化する技術の推移を集めた頭脳集団がいる部門。とある部屋の一角に、アムルの本体が保管されているのをサーナが偶然見つける。
製造部門:最新のAIやロボットを製作する部門。
生体部門:人間の生体と機械を繋ぐことを目的とする部門。
スクラップ置き場:廃材を重機で押しつぶし、再利用する場所。
生活棟:研究者や製造スタッフが寝泊まりできるくらいの施設。一つの町と言ってもいいほどの広さがある。
製造しているアンドロイドや、アイテムなど
RGHJ-1700:新モデルで、旧タイプより130%性能がアップしている。
RGHJ-1800:1700の後継機種のアンドロイド。場所を選ばずに電脳空間に実体を移動できる機能が搭載される予定。
転送装置:現実世界の実機を電脳空間に直接転送できる装置。ブロウスからウォルトンに渡される。
アレン博士の研究所での謎
生体部門:ウォルトンが発見した、分厚いガラスで何重にも守られた部屋に冷凍保存された男女一対の人間。
研究棟の奥の部屋:円柱状のガラスの装置内にアムルの本体と思われるものを発見。サーナが偶然見つける。ウォルトンとサーナは、研究棟の奥の部屋に監視カメラを設置。
アムルが捕らわれている電脳世界
魔女ドリナ:アムルを電脳空間に閉じ込めた魔女。普段いつも自分の家で、まじないの薬を調合しているが、3日に1回、近くの森、廃墟へ出かける。息子は、アムル。師匠は、水の神殿にいるアルバーノ
森:魔女ドリナが3日に1回訪れる森。一つ目の巨人サイクロプスが住むとされる地域。
洞窟:森の奥の洞窟の最奥に、電脳世界から現実世界へ移るための装置をウォルトンとサーナが発見する。魔女ドリアが所持している。
廃墟:魔女ドリアが3日に1回訪れる廃墟。凶悪なドラゴンが住むとされる地域。
水の神殿:アムルが発見した電脳世界の新地域。アルバーノが守護している聖域。
砂漠の遺跡:アムルが発見した電脳世界の新地域。
モダンな街並み:アムルが発見した電脳世界の新地域。
魔女ドリナ(悪性):魔女ドリナのもう片方の一面。何故悪性に変わるかは不明。
特技:召喚魔法
謎の剣士:砂漠の遺跡に向かうナディア達をサイクロプスから守った剣士。現実世界のウォルトン。
謎の盗賊:剣士と共にいた盗賊。現実世界のサーナ。
アルバーノ:初老の水の神殿の守護者。ナディア達と出会ったあとは、彼らを支援することに。弟子は、魔女ドリナ。
カスパル(小竜):アルバーノがアムルに手渡した小さな竜。アムルの魔力に比例して強くなる。モダンな街並みのテーマパークで鍛錬することにより、中竜となる。
ナディア(影):魔女ドリナ(悪性)が生み出したナディアそっくりの影。テーマパークでナディアたちに倒され、ナディアの力となる。
アムル(影):魔女ドリナ(悪性)が生み出したアムルそっくりの影。テーマパークでアムル達に倒され、アムルの力となる。
ルシード(影):魔女ドリナ(悪性)が生み出したルシードそっくりの影。テーマパークでルシード達に倒され、ルシードの力となる。
古竜シードロヴナ:廃墟にいた古竜。ナディア、ルシード、カスパル(中竜)との戦いで深手を負う。血と鱗をアムル(赤目)に奪われる。
特技:戦闘時に古竜シードロヴナ(人間)となる
電脳世界でのアイテム等
古い書物:砂漠の遺跡の最深部にあった書物。各地域の成り立ちなど、この電脳世界での歴史が書かれている。水の神殿に入る時に必要。
光る石:水の神殿に行くときに行商人から購入した奇麗な石。
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