(創作物語)『明日への貴方へ』 その19

前回までのあらすじ。
アレン博士は電脳空間にいる魔女に対して、最新アンドロイドRGHJ-1800の操作をザカロンとブロウスに依頼する。生体部門に侵入したアレン博士は凍り付いた男女一対の人間の所へたどり着く。そこで、ナディア達に遭遇し、彼女らに電脳世界の成り立ちを説明するが、そこへ創造主のマイルズとラベンが電脳空間から現実世界へと移動してくる。また、リーミラ(魔女ドリナ)の元へはRGHJ-1800が着実に迫っていた。
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 ついに、陸の孤島で待機しているリーミラ(魔女ドリナ)達の元にRGHJ-1800が到着する。

 リーミラ(魔女ドリナ)「現実世界のナディア達に向こうは任せて、RGHJ-1800を破壊するよ!」

 アムル赤目(本体)「言われなくても、やってやるぜ!!!」

 RGHJ-1800「悪く思うな、アレン博士の命令でお前達を捕らえに来た。降伏の意志があるなら、示せ」

 アムル赤目(本体)は先制攻撃として、連続魔法弾を打ち込む。次々とヒットする魔法弾。さすが最新機種のRGHJ-1800。全て魔法シールド障壁を張って防ぐ。

 リーミラ(魔女ドリナ)「これならどう?」

 リーミラ(魔女ドリナ)は召喚魔法を唱え、大きなゴーレムと巨人をRGHJ-1800にけしかける。圧倒的パワーで勝るゴーレムと巨人かと思われたが、RGHJ-1800に片手で処理されてしまう。

 RGHJ-1800「魔女とて、この程度ですか。期待外れですね」

 リーミラ(魔女ドリナ)「あの合体魔法で行くよ!」

 アムル赤目(本体)「多少バテるけど、しょがないな」

 RGHJ-1800の周りを巨大な稲妻が何本も打ち下ろされる。その数数百~1000にも及び、連続雷に地震のような轟音が響き渡る。しかし、RGHJ-1800は対バリア対策を施されたミサイルをリーミラ(魔女ドリナ)に打ち込み、接近戦を仕掛けてきた。

 アムル赤目(本体)「ミサイルを放ち、接近戦だと?!自爆する気か!」

 近くで見ていた古竜シードロヴナ(人間)とカスパル大竜(人間)も手助けに入る。

 リーミラ(魔女ドリナ)「まさか、あんた達の手を借りるとはね」

 カスパル大竜(人間)「俺たちは単なるデータだ。お前たちは現実世界に戻れ!ったく、こんな悪人を助けるなんて、ツイてない最期だな」

 古竜シードロヴナ(人間)「そう言うな、最期まで竜族のホコリを持ってあのRGHJ-1800を破壊するのみ」

 RGHJ-1800からのミサイルを防御する古竜シードロヴナ(人間)とカスパル大竜(人間)。

 リーミラ(魔女ドリナ)「、、、、お前達、、、すまない」

 アムル赤目(本体)「母さん!さあ早くこの電脳世界を抜け出そう!」

 RGHJ-1800「どこへ行くのでしょうか?あなた達の墓場はココと決まっています」

 カスパル大竜(人間)「おっと、それは俺達を排除してから言うんだな」

 リーミラ(魔女ドリナ)は陸の孤島にカスパル達を残し、現実の世界の研究棟につながる穴から現実世界に戻ってくる。

 

 

 その頃、生体部門の分厚いガラスに入った男女一組の人間の前にいるナディアとルシード、そしてアレン博士。そこに創造主のマイルズとラベンが到着してしまう。

 アレン博士「おおっ、我が息子と娘よ」

 アレン博士は創造主のマイルズとラベンを抱擁しようと近づく。が、それは叶わなくなった。

 マイルズとラベンは、アレン博士を閃光で貫いた。

 アレン博士「ぐっ、、、、なぜ、、、、だ」

 マイルズ(創造主)「だって、お前、僕達に指示ばかりするんだもん。あれしろとか、これをするなとか」

 ラベン(創造主)「そういううるさい奴は、いなくなっちゃえー!」

 閃光から炎が放たれ、アレン博士は灰になる。あまりの出来事に、ナディア達は動けなくなる。

 

 マイルズ(創造主)「ねぇ、ラベン。あれ見てよ」

 マイルズ(創造主)が指さす方には、あの氷漬けになった一体の男女がいる。

 ラベン(創造主)「もしかして、私たちの・・・・・かな?」

 マイルズ(創造主)「出して確認してみよう!」

 融解用スイッチを押すマイルズ達。煙と共に、氷が徐々に解けてゆく。

 中から二人の男女が眠るように目を閉じている。まだ呼吸は小さく、完全に目が覚めるまで時間が掛かるようだ。

 ラベン(創造主)「さて、この二人が起きるまでお前達と遊ぶことにしたよ」

 ラベン(創造主)「えー、つまんなそう。私、本でも読んでていいかな?」

 マイルズ(創造主)「相変わらず、身勝手だな。こいつらとのお遊びは、僕がもらうよ。それにしても、お前達、人間じゃないな」

 ナディア達はじりじりと後ずさりする。その尋常では無いパワーを肌で感じ、身動きが取れないでいる。

 ルシード「ナディア姉さん、体が動かない・・・・!」

 マイルズ(創造主)「まあ、慌てずに僕の話でも聴けよ。お前達、アンドロイドだろう?お前たちがどうやって何の目的で作り出されたか、わかるか?」

 首を横に振るナディア。

 マイルズ(創造主)「命の限りある人間は、脳を機械に移植することでその寿命を延ばした・・・・・・」

 ルシード「ナディア姉さん、この下りはアレン博士と同じ事を言っていない?」

 マイルズ(創造主)をよく見ると、どこか様子がおかしい。先ほど目の前で死んだはずのアレン博士がモニターに映る。

 アレン博士「あれで勝ったつもりになるなよ。私は不滅だ。マイルズ(創造主)とラベン(創造主)は、所詮操り人形。私こそがこの現実世界を支配するにふさわしい」

 そこへ、電脳世界からRGHJ-1800を退け、現実世界にやってきたリーミラ(魔女ドリナ)とアムル赤目(本体)。ようやくナディア達と合流する。彼らに、マイルズ(創造主)とラベン(創造主)が死んだアレン博士に操られていることを伝えるナディア。

 アムル赤目(本体)「状況は良くなっているどころか悪くなる一方だな」

 リーミラ(魔女ドリナ)「あの後ろの男女、あの2人の創造主の本体よね?融合する気よ」

 ナディア「あの姿、どこかで見覚えがあるの・・・・・どこかで」

 ルシード「僕も、初めてのはずなのに、何故だろう・・・」

 

 

 そして、冷凍保存された一対の男女が円柱のガラス内でようやく目を開け始める。

 

 




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登場人物

 ナディア:体は機械、脳は人間のアンドロイド。
 特技:〇〇、高速移動

 ルシード:正体不明の少年
 特技:似顔絵書き、高速移動、生命反応探知、声

 アレン博士:脳科学者で、偏屈者。自身で、超巨大な設備を持つ。→大聖堂での魔女ドリナによるRGHJ-1700大量破壊事件を受け、極秘プロジェクトの再始動を会議で決定。RGHJ-1800を量産体制に移行させる。→ 生体部門でマイルズ(創造主)とラベン(創造主)に殺される。

 アムル:アレン博士の所で電脳世界に入った時、ルシードが出会った少年。200年前、脳移植時に事故が起こり、電脳空間に閉じ込められた少年。母は、魔女ドリナ。→ リーミラにより、電脳空間から強制的に現実世界へと連れ出され、正気を失い赤目のアムルとなる。
 特技:電脳空間時に魔法使用可能

 ザカロン:アレン博士の研究所の製造部門長。冷徹。

 サーナ:製造部門で働く女性社員。情報通。彼氏はウォルトン。

 ウォルトン:生体部門で働く男性社員。彼女はサーナ。

 ブロウス:生体部門の部門長。アレン博士とは別に、独自に電脳空間に入れる装置を開発した秀才。アレン博士とは対立している模様。

 リーミラ:ブロウスの元妻。研究棟の一室で、アムルの本体を隔離し、個人的にアムルのデータを何かに利用しようとしていた。本当の目的は魔女ドリナを電脳空間から現実世界へと出す計画を練っている。→ 大聖堂で魔女ドリナと同化し、リーミラ(魔女ドリナ)となる。

 アムル(本体):研究棟の一室の円柱状のガラス内に閉じ込められた少年。  →大聖堂でアムル(赤目)と同化し、アムル赤目(本体)となる。


アレン博士の研究所

 研究棟:身体に電極をつなぎ、電脳空間へと飛べる装置がある。電脳空間の出来事はモニターで閲覧可能。また、日々進化する技術の推移を集めた頭脳集団がいる部門。とある部屋の一角に、アムルの本体が保管されているのをサーナが偶然見つける。

 製造部門:最新のAIやロボットを製作する部門。

 生体部門:人間の生体と機械を繋ぐことを目的とする部門。

 スクラップ置き場:廃材を重機で押しつぶし、再利用する場所。

 生活棟:研究者や製造スタッフが寝泊まりできるくらいの施設。一つの町と言ってもいいほどの広さがある。

 大聖堂:人々の心のよりどころ。魔女ドリナとアムル(赤目)がRGHJ-1700と戦い、リーミラ、アムル(本体)と同化した場所でもある。


製造しているアンドロイドや、アイテムなど

 RGHJ-1700:新モデルで、旧タイプより130%性能がアップしている。AIを搭載し、完全自動で動く。完全自立型アンドロイド。

 RGHJ-1800:1700の後継機種のアンドロイド。場所を選ばずに電脳空間に実体を移動できる機能が搭載される予定。より人間に近づけた「感情」を搭載させた最新モデル。戦闘力もRGHJ-1700の数倍に上がっている。→ アレン博士が電脳空間の陸の孤島を目指すリーミラ(魔女ドリナ)とアムル赤目(本体)の抹殺のために送り込む。自立型でありながら、外部から遠隔操作可能。
 特技:魔法シールドを破れるミサイル、相手の魔法攻撃に対するバリア機能、接近戦での重力装置の開放、現実世界から電脳空間への転送、人間らしい会話や仲間との協力。



 転送装置:現実世界の実機を電脳空間に直接転送できる装置。ブロウスからウォルトンに渡される。



アレン博士の研究所での謎

 生体部門:ウォルトンが発見した、分厚いガラスで何重にも守られた部屋に冷凍保存された男女一対の人間。

 研究棟の奥の部屋:円柱状のガラスの装置内にアムルの本体と思われるものを発見。サーナが偶然見つける。ウォルトンとサーナは、研究棟の奥の部屋に監視カメラを設置。



アムルが捕らわれている電脳世界

 魔女ドリナ:アムルを電脳空間に閉じ込めた魔女。普段いつも自分の家で、まじないの薬を調合しているが、3日に1回、近くの森、廃墟へ出かける。息子は、アムル。師匠は、水の神殿にいるアルバーノ。

 森:魔女ドリナが3日に1回訪れる森。一つ目の巨人サイクロプスが住むとされる地域。

 洞窟:森の奥の洞窟の最奥に、電脳世界から現実世界へ移るための装置をウォルトンとサーナが発見する。魔女ドリアが所持している。

 廃墟:魔女ドリアが3日に1回訪れる廃墟。凶悪なドラゴンが住むとされる地域。

 水の神殿:アムルが発見した電脳世界の新地域。アルバーノが守護している聖域。

 砂漠の遺跡:アムルが発見した電脳世界の新地域。

 モダンな街並み:アムルが発見した電脳世界の新地域。

 陸の孤島:電脳世界を創造した男女一対が封印されているという伝説が残る島。



 魔女ドリナ(悪性):魔女ドリナのもう片方の一面。何故悪性に変わるかは不明。
 特技:召喚魔法

 謎の剣士:砂漠の遺跡に向かうナディア達をサイクロプスから守った剣士。現実世界のウォルトン。

 謎の盗賊:剣士と共にいた盗賊。現実世界のサーナ。

 アルバーノ:初老の水の神殿の守護者。ナディア達と出会ったあとは、彼らを支援することに。弟子は、魔女ドリナ。

 カスパル(小竜):アルバーノがアムルに手渡した小さな竜。アムルの魔力に比例して強くなる。モダンな街並みのテーマパークで鍛錬することにより、中竜となる。→ アムル赤目(本体)が同化したことにより、大竜となる。→ 古竜シードロヴナ(人間)から人間になる術を学び、カスパル大竜(人間)となる。

 ナディア(影):魔女ドリナ(悪性)が生み出したナディアそっくりの影。テーマパークでナディアたちに倒され、ナディアの力となる。

 アムル(影):魔女ドリナ(悪性)が生み出したアムルそっくりの影。テーマパークでアムル達に倒され、アムルの力となる。

 ルシード(影):魔女ドリナ(悪性)が生み出したルシードそっくりの影。テーマパークでルシード達に倒され、ルシードの力となる。

 古竜シードロヴナ:廃墟にいた古竜。ナディア、ルシード、カスパル(中竜)との戦いで深手を負う。血と鱗をアムル(赤目)に奪われる。
 特技:戦闘時に古竜シードロヴナ(人間)となる。


 マイルズ(創造主):電脳世界の創造主。男。ルシードが触れることにより、蘇る。

 ラベン(創造主):電脳世界の創造主。女。ナディが触れることにより、蘇る。




 電脳世界でのアイテム等

 古い書物:砂漠の遺跡の最深部にあった書物。各地域の成り立ちなど、この電脳世界での歴史が書かれている。水の神殿に入る時に必要。

 光る石:水の神殿に行くときに行商人から購入した奇麗な石。

 竜族のペンダント:古竜シードロヴナ(人間)がアルバーノに手渡した竜族のお守りのペンダント。


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