(創作物語)『明日への貴方へ』 その10
前回までのあらすじ。
砂漠の遺跡で罠を潜り抜け、最深部に至ったナディア達。しかし、そこには魔女ドリナに関する人物とは出会えなかったが、古い書物を得ることができた。その書物に従い、支援者がいるとされる水の神殿に向かうことになるが・・・・。
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ナディア、ルシード、アムルの3人は地図を確認しながら水の神殿へと向かう。途中、行商人と出会うことに。
行商人「これはこれは、この先、どちらまでいかれるのですか?」
ナディア達が水の神殿だと答えると、こう切り返す。
行商人「あの神殿には太古から生きているとされる番人がいるという噂を聞きます。これを持っていくといいでしょう。もちろんお代はいただきますがね」
ナディア達は、言われるがままにその行商人から光る石を購入した。
アムル「こんなの、何に役立つのかわからないよね?」
ナディア「とりあえずあの神殿に行けばわかることだから」
しばらく歩いて、ようやく水の神殿にたどり着いたナディア達。入口付近にワニともドラゴンともとれる畏敬の者がいた。
畏敬のドラゴン「お前たちはここから先に行けない。ここで死ぬ運命だ」
そう言うと、持っていた大斧を振り回し、暴れ出す。ルシードはいきなり出てきたこのドラゴンの攻撃を受け、吹き飛ばされる。が、ナディアが援護に入り、大斧を素手で受け止める。次第に力で劣るナディアが劣勢に立たされ、アムルの魔法も効かず、窮地に陥る。しかし、何処からともなく畏敬のドラゴンの頭を弓で撃ち抜くツワモノが現れる。見れば、先程の謎の盗賊である。かなりの遠距離から弓を放ちドラゴンの頭を打ち砕くことに成功。
アムル「誰も助けてくれとは言ってないけどな」
謎の盗賊は、謎の剣士と共にナディア達の目の前に現れる。
謎の盗賊「あら?かなりやばい状況にも見えたけど?」
ナディア「助けてくれてありがとう。あなた達はどこから来ました?」
謎の剣士と謎の盗賊は、だんまりを決め込んでいる。
謎の剣士「詳しくは言えないが、我々は、お前たちの敵ではない。この先も色々手伝わせてもらう」
そう言うと、風のようにフッと霧の様に消えてしまった謎の剣士と盗賊。
不思議に思いながらも、水の神殿の中へと歩みを進めるナディア達。
アムル「あんな奴らに助けてもらわなくても、俺達だけでやれたのにな!なぁルシード」
ルシード「あ、、うん。でも、あの人たち悪い人じゃないよ。助けてくれたし」
ナディア「素直じゃないわね。そういう所がダメなのよ、アムル」
アムルは少々ふてくされながら、水の神殿内に入っていく。しかし、水の神殿は全体が水で覆われ中に入ることが出来ない。
アムルが入り口の床を見ると、こう書いてある。
『古い書物を掲げよ』と。
ナディアは言われるがまま、砂漠の遺跡で入手した古い書物を掲げる。すると、水が引いていき中に入れるようになる。
ナディア「ここに私たちの『支援者』がいるのよね?」
アムル「支援者って言うくらいだから、良い奴だといいけどな!」
ルシード「早速、誰かいるみたい」
3人が神殿の中に入ると一人の男が座っている。静かに瞑想をしているようだ。
ルシード「この人、寝ているの?」
アムル「いや、これは瞑想と言って・・・」
その時、その瞑想している男は宙に浮きあがり、見えない空圧破を放ってきた。
アムル「うわっ、危ねぇ!何しやがる!この!」
反撃のあいさつとして、アムルは座っている男に魔法を打ち込む。が、シールドで弾かれる。
アムル「あの至近距離でとっさにシールドを張るなんて、何て奴だ、、、、」
しばらくして、男は目を開け、こう語る。
支援者「すまない、多少君たちの力を試したくてね」
穏やかな表情をしてはいるが、その顔には百戦錬磨の傷跡がいくつも付いている、初老の男性であった。
アルバーノ「私の名はアルバーノ。この水の神殿で、支援者と名乗る者だ。」
ナディア「ここで何をしているのですか?」
アルバーノ「私は、この電脳世界に入る【異物】を除去する役目。近頃、森と廃墟に異物が入ってきたのだが、この私でも手を焼いているのだ」
アムル「それはもしかすると、魔女ドリナの仕業・・?」
アルバーノ「君は魔女ドリナを知っているのか」
アムル「魔女ドリナは、僕の母親さ。半分はね」
アルバーノ「半分?」
ナディア「半分は良い魔女で、半分は悪い魔女という事です」
ルシード「いきなり切り替わるんだよ。良い人と悪い人が」
アルバーノ「彼女は、魔女ドリアは、私の弟子だった」
アムル「え?!じゃあ、あなたは母さんを助けられる?!」
アルバーノ「いや、私はここの守護者でこの水の神殿を離れるわけにはいかない。代わりに、こいつを連れて行ってやってくれないか?」
アルバーノは、小さな竜をアムルに手渡した。
アルバーノ「君の魔力なら、その小さな竜を使役することが出来るだろう。この竜の育成も兼ねて、鍛錬に励んでくれ。ちなみに、そいつの名は、カスパルだ」
カスパル(小竜)「おいら、カスパル、よろしくなっ!」
何故か、ルシードと気が合うようで、すでに向こうで遊んでいる模様。
アムル「おい、俺じゃなくて、ルシードになつきやがって・・・」
ナディア「それは、アムルが頑張らなきゃね」
アルバーノ「カスパルの能力は、アムル君の魔力に比例して増大する。せいぜい、仲良くしてくれよ。話がそれたが、森と廃墟のモンスターは知っているか?」
ナディア「森ではサイクロプスという巨人に追いかけられましたが、まだ廃墟は行っていません」
アムル「他の地域の砂漠の遺跡は、謎の剣士と盗賊に助けられたな」
アルバーノ「手馴れのものであろう。君たちの仲間とは限らないから気をつけたほうがいい。廃墟に行く前に、アムル君が言うモダンな町並みに行ってみるといい」
ナディア達は、アルバーノの言うとおりに、次はモダンな町並みの地域に入ることになる。
アムルの地図を見て、次の目的地に向けて歩き出す4人。アムル、ナディア、ルシード、カスパル(小竜)は歩きながら話す。
アムル「どうも胡散臭いんだよな〜。あのアルバーノっていうオッサン。母さんの師匠とか言っていたけど、力あるなら、自分で助けにいけよ!って思いたくなる」
ナディア「大人の事情があるのよ。きっと」
その頃、謎の剣士と盗賊は、ナディア達を先回りしてモダンな街並みに向っていた。
謎の剣士「ふぅ、今日はここまでにしておくか」
謎の盗賊「そうね。日も暮れてきた頃だし、疲れたから休みましょ」
二人は電脳世界から出て、現実に戻る。
ウォルトン「まだ、俺達だってバレてないみたいだな」
サーナ「でもいずれバレるわよ。それにしても、あのアレン博士が監視していない装置があったなんてね」
ウォルトン「この場所は秘密だ。アレン博士の本当の目的を知るまではな」
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登場人物
ナディア:体は機械、脳は人間のアンドロイド。
特技:〇〇、高速移動
ルシード:正体不明の少年
特技:似顔絵書き、高速移動、生命反応探知
アレン博士:脳科学者で、偏屈者。自身で、超巨大な設備を持つ。
アムル:アレン博士の所で電脳世界に入った時、ルシードが出会った少年。200年前、脳移植時に事故が起こり、電脳空間に閉じ込められた少年。母は、魔女ドリナ。
特技:電脳空間時に魔法使用可能
ザカロン:アレン博士の研究所の製造部門長。
サーナ:製造部門で働く女性社員。情報通。彼氏はウォルトン。
ウォルトン:生体部門で働く男性社員。彼女はサーナ。
アレン博士の研究所
研究棟:身体に電極をつなぎ、電脳空間へと飛べる装置がある。電脳空間の出来事はモニターで閲覧可能。また、日々進化する技術の推移を集めた頭脳集団がいる部門
製造部門:最新のAIやロボットを製作する部門。
生体部門:人間の生体と機械を繋ぐことを目的とする部門。
スクラップ置き場:廃材を重機で押しつぶし、再利用する場所。
生活棟:研究者や製造スタッフが寝泊まりできるくらいの施設。一つの町と言ってもいいほどの広さがある。
製造しているアンドロイド等
RGHJ-1700:新モデルで、旧タイプより130%性能がアップしている。
RGHJ-1800:1700の後継機種のアンドロイド。場所を選ばずに電脳空間に実体を移動できる機能が搭載される予定。
アレン博士の研究所での謎
生体部門:ウォルトンが発見した、分厚いガラスで何重にも守られた部屋に冷凍保存された男女一対の人間。
アムルが捕らわれている電脳世界
魔女ドリナ:アムルを電脳空間に閉じ込めた魔女。普段いつも自分の家で、まじないの薬を調合しているが、3日に1回、近くの森、廃墟へ出かける。息子は、アムル。師匠は、水の神殿にいるアルバーノ
森:魔女ドリナが3日に1回訪れる森。一つ目の巨人サイクロプスが住むとされる地域。
廃墟:魔女ドリアが3日に1回訪れる廃墟。凶悪なドラゴンが住むとされる地域。
水の神殿:アムルが発見した電脳世界の新地域。アルバーノが守護している聖域。
砂漠の遺跡:アムルが発見した電脳世界の新地域。
モダンな街並み:アムルが発見した電脳世界の新地域。
魔女ドリナ(悪性):魔女ドリナのもう片方の一面。何故悪性に変わるかは不明。
特技:召喚魔法
謎の剣士:砂漠の遺跡に向かうナディア達をサイクロプスから守った剣士。現実世界のウォルトン。
謎の盗賊:剣士と共にいた盗賊。現実世界のサーナ。
アルバーノ:水の神殿の守護者。ナディア達と出会ったあとは、彼らを支援することに。弟子は、魔女ドリナ。
カスパル(小竜):アルバーノがアムルに手渡した小さな竜。アムルの魔力に比例して強くなる。
電脳世界でのアイテム等
古い書物:砂漠の遺跡の最深部にあった書物。各地域の成り立ちなど、この電脳世界での歴史が書かれている。
光る石:水の神殿に行くときに行商人から購入した奇麗な石。
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