(創作物語)『明日への貴方へ』 その9
前回までのあらすじ。
アムルは電脳世界で魔女ドリナの周辺に付いて調べていて、家に誰か見知らぬ人物が出入りしていることを突き止めた。さらに森と廃墟以外に、この電脳世界には水の神殿、砂漠の遺跡、モダンな街並みと様々な地域がある事も突き止める。一方、生体部門で働くウォルトンは、次期開発機種のアンドロイドRGHJ-1800について驚くべき性能についてサーナに情報を渡すが・・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アムル「(じゃあ、ルシード、何処から行きたい?)」
ルシード「(うーんと、アムルが新しく見つけた場所!砂漠とか)」
アムル「(そこに決定!いい?ナディア)」
ナディア「(まあ、しょうがないわね。しばらくあなた達が行先決めていいわよ。ねぇ、思うのだけど、こうやって脳内で会話するよりも、わざとアレン博士にわかるようにした方が良いと思うの。本当に隠したい情報だけを脳内で話すようにしましょ)」
アムル「(それもそうだね。これからは、堂々と話そう)」
3人は、まずアムルが新しく見つけた砂漠の遺跡に行くことになる。
アムル「そこに行ってみて、魔女ドリナに関する人物を割り出そう」
ナディア「そうね、上手くいくといいわね」
しばらく歩く3人。道は暗く、何処までも続いているように見える。途中から、ドスンドスンと何者かの足音が聞こえてくる。
ルシード「危険が接近しているよ!逃げて!」
振り返れば、あのサイクロプスが追いかけてくる。幸い、足が遅いので、ナディア達で十分逃げ切れる計算だ。走り逃げながらナディアが問う。
ナディア「アムル!あの小さく見えるのが砂漠の遺跡なの?」
アムル「そうだよ!はぁはぁ、もう少し、頑張れば、、、、、」
ルシードがアムルを背負い、逃走を手助けしようとしたとき、石につまずいて転倒するアムル。
アムル「うわっ!・・・・・ひぃぃぃぃ」
それを見逃さず、サイクロプスは大きな棍棒をアムルに向かって振り下ろす。とっさに、目をつぶるアムル。
「ガキーン」
という音共に、目を開けるアムル。目の前には、あのルシードが両手で再クロプルの棍棒を受け止めていた。
ルシード「ぎぎぎぎぎ・・・・・は、はやく、、、、に、げ、て、、、、」
それを見て、ナディアがサイクロプスにタックルをかます。巨体にネズミがぶつかるように、サイクロプスはびくともしない。
ナディア「今のうちに、逃げて!アムル!」
たどたどしい足取りで、その場を離れるアムル。しかし、ルシードの腕も限界が訪れようとしたその時、一本の刀がサイクロプスを一刀両断する。誰が切ったかも確認する由もなく、3人はその場をすぐさま離れることにした。その後ろ姿をじっと見つめる謎の剣士とその傍らに座る謎の盗賊。
謎の剣士「・・・・あいつらが、そうなのか」
謎の盗賊「助ける義理はあるんじゃない?特にあの少年はね」
サイクロプスの襲撃を、謎の剣士の手助けで何とか切り抜けたナディア達。ようやく、砂漠の遺跡の前まで来た。目の前には、地下に潜る階段がある。足を踏み入れる3人。
ナディア「待って、こういう遺跡には罠がたいてい仕掛けられている物よ。慎重に行きましょう」
ナディアとルシードが遺跡をスキャンすると、蜘蛛の巣の様に、各種罠が散りばめられている。まず、入り口に円盤状の回転のこぎりのような仕掛け。
アムル「危ない!」
ナディアが手本となり、罠を避ける。ルシードとアムルも続く。
次は、一本足が点々と並ぶ部屋。振り子の大鎌が左右にブンブンと大きく揺れる難所だ。これも、タイミングを見計らい、クリアしていくナディア。アムルが一番苦戦していたが、時間を掛けながらようやくクリア。
次の罠は、水攻めの部屋。入り口が閉じられ、時間までに徐々に顔に迫る水位を下げなければならない。これはさすがに、ナディア達にはお手上げのようである。
ナディア「ねぇ、どこかにスイッチのようなものはない?」
アムル「ゔ・・・苦しい・・・・・」
ルシード「僕が潜って見てくるよ!アムル、もう少し頑張って!」
ルシードが水中に潜ると、床に小さな鍵穴を差し込む場所を見つける。鍵穴に次作の鍵を入れ引き回すルシード。轟轟と音を立てて出口が開くと同時に水が排出される。
アムル「はぁはぁ、ありがとう・・・・ナディア達は水中でも息ができるんだね」
ルシード「脳以外は機械だから」
次のステージに行くと、そこは炎の柱が地面から噴き出すエリア。床には数種類のマークが描かれていて、同じ絵柄を踏んでいかないと焼け死ぬという残酷設定のようだ。ナディアとアムルは同種類のマークを次々に踏んでいく。が、ルシードが間違ったマークを踏んでしまい、床から炎が噴き出す。
アムル「そこを離れろ!ルシード!」
とっさに、アムルは氷の魔法を発射し、炎にブチ当てる。炎は中和され、水となり蒸発する。ようやく、このエリアもクリアとなる3人。
次の部屋で、すこし休憩するナディア達。次から次へと迫る仕掛けに多少疲れが見えてきている。
ナディア「アムル、この砂漠の遺跡の最奥に誰かいるの?」
アムル「保証はないけど、たぶん」
ルシード「最深部に生命反応ありだよ」
ナディア「ルシード、あなたそんな能力もあるの?凄いわね」
休憩を終え、次のエリアに移動する。次のエリアでは、古代文字の合わせで扉が開く仕掛けだ。ここは、ナディアが長年の知識を活かし、古代文字のパズルを解いてゆく。そして、ついに砂漠の遺跡最深部に到達する3人。
そこには、中心に剣を携えた像と古い書物が置いてあった。
アムル「ここには、これしかないね」
ナディア「この書物は、、、、」
ナディアが古い書物を手に取り、中を見てみる。どうやら、古代の文字で書かれているようだ。ナディアが解読を進めて、アムル達に説明を始める。
ナディア「この砂漠の遺跡は、全てのエリアより最も昔にできたものらしいわ。水の神殿、廃墟の遺跡、森、モダンな街並みはこの砂漠の遺跡より後にできた物よ。それに、次は水の神殿に行き、そこで支援者に出会うと書かれているわ」
アムル「支援者?」
ルシード「よくわからないね・・・・」
アムル「次は、水の神殿か」
3人は砂漠の遺跡を後にし、水の神殿を目指す。
砂漠の遺跡の罠は、映画やダンジョンRPGの仕掛けを参考に、書いてみたヾ(*´∀`*)ノ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
登場人物
ナディア:体は機械、脳は人間のアンドロイド。
特技:〇〇、高速移動
ルシード:正体不明の少年
特技:似顔絵書き、高速移動、生命反応探知
アレン博士:脳科学者で、偏屈者。自身で、超巨大な設備を持つ。
アムル:アレン博士の所で電脳世界に入った時、ルシードが出会った少年。200年前、脳移植時に事故が起こり、電脳空間に閉じ込められた少年。母は、魔女ドリナ。
特技:電脳空間時に魔法使用可能
ザカロン:アレン博士の研究所の製造部門長。
サーナ:製造部門で働く女性社員。情報通。彼氏はウォルトン。
ウォルトン:生体部門で働く男性社員。彼女はサーナ。
アレン博士の研究所
研究棟:電極につなぎ、電脳空間へと飛べる装置がある。電脳空間の出来事はモニターで閲覧可能。また、日々進化する技術の推移を集めた頭脳集団がいる部門
製造部門:最新のAIやロボットを製作する部門。
生体部門:人間の生体と機械を繋ぐことを目的とする部門。
スクラップ置き場:廃材を重機で押しつぶし、再利用する場所。
生活棟:研究者や製造スタッフが寝泊まりできるくらいの施設。一つの町と言ってもいいほどの広さがある。
製造しているアンドロイド等
RGHJ-1700:新モデルで、旧タイプより130%性能がアップしている。
RGHJ-1800:1700の後継機種のアンドロイド。場所を選ばずに電脳空間に実体を移動できる機能が搭載される予定。
アレン博士の研究所での謎
生体部門:ウォルトンが発見した、分厚いガラスで何重にも守られた部屋に冷凍保存された男女一対の人間。
アムルが捕らわれている電脳世界
魔女ドリナ:アムルを電脳空間に閉じ込めた魔女。普段いつも自分の家で、まじないの薬を調合しているが、3日に1回、近くの森、廃墟へ出かける。息子は、アムル。
森:魔女ドリアが3日に1回訪れる森。一つ目の巨人サイクロプスが住むとされる地域。
廃墟:魔女ドリアが3日に1回訪れる廃墟。凶悪なドラゴンが住むとされる地域。
水の神殿:アムルが発見した電脳世界の新地域。
砂漠の遺跡:アムルが発見した電脳世界の新地域。
モダンな街並み:アムルが発見した電脳世界の新地域。
魔女ドリナ(悪性):魔女ドリナのもう片方の一面。何故悪性に変わるかは不明。
特技:召喚魔法
謎の剣士:砂漠の遺跡に向かうナディア達をサイクロプスから守った正体不明の剣士。
謎の盗賊:謎の剣士と共にいた盗賊。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?