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【インターン】参加者にインタビュー! KAAT神奈川芸術劇場 舞台技術コース
神奈川芸術文化財団が運営する、神奈川県民ホール・KAAT神奈川芸術劇場・神奈川県立音楽堂では、演劇や音楽公演の制作広報、舞台技術業務など、各館の専門分野を活かしたインターンシッププログラムを実施しています。
今回は「KAAT神奈川芸術劇場 舞台技術コースインターン」に参加した3名にインターンに臨む意気込みや感想をインタビューしました!
▼KAAT 舞台技術コースインターンの概要
期間:2024年8月31日(土)~2024年9月16日(月)
研修内容
KAAT舞台技術課は、舞台機構・照明・音響・プロダクションオフィスの4チームに分かれ、 それぞれの立場から、自主製作事業における作品制作業務、舞台技術管理業務、 機材保守業務などをおこなっています。
舞台技術のプロフェッショナルを目指すみなさんが劇場での仕事を体系的に体験できるよう、KAAT技術スタッフの下で実務作業を学びます。
KAAT舞台技術コースインターンシップ始まる
インターン生の皆さんは、それぞれのセクション(照明、舞台機構、プロダクションオフィス)に配属され、日々奮闘していくことになります。インターンシップ開始直後の座談会では、参加者それぞれが応募のきっかけや、舞台業界への率直な思いを語ってもらいました。
◇インターンシップ応募のきっかけは?
・大学で学んだKAATへの興味
大学でKAATの社会貢献活動について学んだことがきっかけです。
KAATってどんな活動してるんだろう?という好奇心から応募しました。
授業で学んだことと実際の現場とのギャップはあるのか、これからどんな発見があるのか、期待に胸を膨らませている姿がとても印象的でした。
・劇場で働く夢を叶える第一歩
将来は劇場で働きたいと考えているのですが、大学では劇場での公演が少ないため、プロの現場を経験したいという思いからインターンシップに参加しました。
インターン生は、KAATのような幅広い取り組みをしている劇場や舞台業界に興味津々で、今回のインターンシップを通して、具体的な将来像を描いていくことに期待が高まっているようでした。
・先生からの紹介で応募
学校の先生からKAATのインターンを紹介されたことがきっかけで応募しました。大学では舞台とは関係のない分野を専攻していたため、最初は不安もありましたが、先生からの後押しもあり、思い切って飛び込んでみることにしました。
今回のインターンシップは、知らない分野にトライする運命の転換点と言えるのかもしれませんね。
![初めての名刺交換](https://assets.st-note.com/img/1728537380-XKWZsVDtcpvJRlyHkebzjQ3I.jpg?width=1200)
◇舞台業界で働くこと
舞台業界の中でも、大きな会社組織では一般的な求人を行っている会社が多数あります。一方で、小さな会社組織やフリーランスのスタッフグループでは、具体的な求人情報がオープンになっていないことも多くあります。
舞台業界の現場では、特に即戦力や経験を重視される傾向にあるため、大学新卒の方や未経験者が飛び込むには「心理的にハードルが高い」と感じている方も多くいると思います。インターンの皆さんも、将来の就職については、漠然とした不安を抱えているようでした。
「普通に就職するわけでもないじゃないですか。... 大体キャリアがないと入れない」
華やかな舞台業界の裏側には厳しい現実があります。常に人材不足に悩んでいる舞台業界では、多くのセクションで即戦力となる人材を求めつつも、若手・中堅を丁寧に育てていく余裕がないという状況を最近よく聞くようになりました。
◇インターン担当からのメッセージ
インターンシップを担当した職員(インターン担当)たちは、座談会でのぶっちゃけトークで、自身の経験を踏まえて、舞台業界に入るためのルートは多種多様であることを本音で伝えました。
いろんな劇場で働いて感じたのは、人材育成は大事だねっていう共通認識はあるけれども、それをうまく実践できていない環境が多くあるということです。
インターン生の皆さんは、まだ何にでも挑戦できるので、舞台業界に就職すると決めなくてもいいのかもしれません。学生のうちから、インターンシップやアルバイトなどを活かして、様々なことを体験していってほしいと思います。
![インターン生3人が真剣に話を聞いている様子の写真](https://assets.st-note.com/img/1726451308-y7pWZCzcvU6lnPRL2h5q1Sa0.jpg?width=1200)
◇座談会を通して
今回の座談会を通して、私たちも改めてインターンシップという枠組みを捉え直すことができました。
インターンシップは、参加者が劇場で働くことで舞台の製作過程を体験し、新しい出会いがあったり、将来のキャリアを考えてもらったりする良い機会です。
そして多くの業界と同様に、舞台業界もまた人材不足が深刻化しています。若手・中堅の人材育成が重要だと理解はしていますが、即戦力を求める傾向もあり、人材育成が難しいという側面もあります。
働き方や経済を含めた舞台業界の様相が世の中になかなかきちんと伝わりにくい(「特殊な業界だ」という先入観を含め)ことが、学生に心理的ハードルを作っていたり、いざ入ってみたらちょっと違ったなあ→辞める、という結果を産んでいるんじゃないかと思う。
その辺のギャップを埋めるインターンシップの役割の一面をうまく表現できるといいですよね。
インターン生には、期間中に積極的に知りたいことを質問して、多くのことを吸収していってほしいです。インターンシップ終了後も気軽に相談できるような環境にしていきたいと思います。
今回の座談会では、インターン生たちの率直な意見や思いを聞くことができました。インターン生の多くは、劇場で働くことに対して、夢と同時に不安も抱いているようです。しかし、今回のインターンシップを通じて、経験を積み、将来のキャリアを考えるきっかけにしていってほしいと心から思いました。座談会の半分以上、裏話やぶっちゃけトークに花が咲いていました!
![インターンはじまる!](https://assets.st-note.com/img/1728537136-JtrgPfhlzFi3xYGHqUNIRMLZ.jpg?width=1200)
![階段の先に待つものは](https://assets.st-note.com/img/1728537670-YehBTlHW8IdXiL9abQj3cmOw.jpg?width=1200)
![みなとみらい横浜](https://assets.st-note.com/img/1728537605-iSqk4VXRy8jOfucDJ0apbEZQ.jpg?width=1200)
KAAT舞台技術インターンシップを終えて
インターン担当とインターン生、それぞれ3名ずつの計6名による、インターンシップ終了後のフィードバック会。活気のある議論が行われました。その様子をお届けします!
◇体験した劇場のリアル、インターンシップを振り返って
インターン生は「貴重な経験ができた」と、それぞれの体験談を話してくれました。
俳優や演出家と直接交流したり、普段は入れない舞台裏を見学したりと、劇場で舞台を創作していく過程の様々な側面を体験できたようです。
・劇場の規模感に驚き!
劇場って、こんなにたくさんの人が働いているんだと、規模の大きさに驚きました。50人くらいかな?と思っていたら、実際にはもっと多くのスタッフが働いていて、びっくりしました。
・チームワークの大切さを実感
俳優さんや演出家さんだけでなく、照明さんや音響さんなど、たくさんの方々が協力して、ひとつの舞台を創りあげているんだなと実感しました。
・舞台が立ち上がっていく過程を間近で体験!
「リア王の悲劇」の演出の意向に即して劇場を改装していく作業、舞台装置を組み立てたり、照明を調整したりする作業を、間近で見ることができて感動しました!
・学校とは違う?劇場の時間
学校では、締め切りギリギリまで課題をやることが多いけど、劇場での舞台創作はそうじゃないんだな、と感じました。
客席と舞台を設営し、照明、音響をひとつひとつ整えていく。俳優が安心して舞台に立てるように安全に配慮する。緊張感のある舞台稽古の時間を経て、さまざまな問題をカンパニー全体でひとつひとつ答えを見つけて解決し、初日へ向けて現場が徐々に穏やかになっていくことに対する驚きは新鮮なものだったでしょう。
それぞれの役割を理解し、連携することの大切さや学校で学んだ知識を、実際に活かせる現場を体験できたことは、大きな収穫だったようです。
どんな状態でもね、初日はやってくる、だから少しでもより良い仕上がりの舞台を目指して創っていくんだ。
公演ではチケットを販売した時点で、お客さまに作品をお届けするという約束が生まれます。初日の公演に向けて、演出やデザイナーのイメージをよりいいかたちで体現できるようにと一丸となっていく環境が現場には生まれます。そこにはひと筋縄ではいかないことをギリギリまでトライ&エラーすることも多々あります。インターン担当者からは、舞台創作への熱い思いが感じられました。
◇次のインターンシップに向けて
今回は2週間という期間でしたが、人によっては短いと感じるかもしれない。その期間だと製作過程をすねて知ることはできないため、もの足りなさを感じる人がいたりするのかと思う。
もっと実際の業務に深く関わることができるような内容にしたら、さらに学びが深まる。例えば、通常の管理業務や上演のための準備などを経験できるとか。あと、まずは劇場にいるということを体験することが大切なのではないか。そこにいるだけで得られるものはあると思っている。
「週に1、2回程度のインターンシップがあっても良いのではないか」という提案もあり、インターン生が自分のペースで参加しやすいように、今後もっと柔軟なプログラムを検討していく必要もありそうです。インターン生の自主性を尊重し、自ら学び、成長をしていけるような環境を少しづつ構築していきたいです。
またフィードバック会ではインターン担当から、普段なかなか聞けない舞台技術スタッフの声も聞くことができました。
KAATの舞台技術スタッフは、インターン生が前向きな姿勢で臨んできてくれているから、何も作業がないときでも、『何か伝えなきゃ!』と放っておけない気持ちになってしまう。でも、時には何もせず、ただ劇場の雰囲気を感じているだけでも本当は良いんだよね。
「舞台スタッフを志す方々がもっと働きやすい環境を作っていきたい。」という意見もありました。そのためには、コミュニケーションを大切にし、お互いに負担をかけすぎないことが重要です。
インターン生を受け持つことで担当者の負担が大きくなってしまうという現状も、今後の人材育成事業の課題のひとつと言えるでしょう。
◇結びに
今回のインターンシップが、参加者にとって貴重な経験となり、劇場の仕事の面白さ、難しさ、そして舞台を支える人々の姿や熱量を少しでも感じ取ってもらえたなら幸いです。
次回のインターンシップは、劇場運営コースで冬季開催予定です。KAAT神奈川芸術劇場のインターンシップに興味を持った方は、ぜひ次回の募集に応募してみてください。