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初期費用5万円でスタート。まちの小さな不動産会社が、Webメディアを4年間運営して気づいたこと

東京都江東区、富岡八幡宮のある歴史のまち門前仲町と、カフェや美術館など若者で賑わう清澄白河。これらの地域を含むいわゆる「深川エリア」に、小さな不動産会社があります。

2016年、東京都江東区深川に創業した株式会社トラストリー。現在7期目に突入し、社員は現在3名です。実店舗「リフォーム不動産深川studio」で物件売買やリノベーションのご相談をお受けするほか、2018年に、初期費用5万円ほどでWebメディア「深川くらし」を立ち上げ、これまでに400記事以上を公開。

近年は、大手不動産情報サイトのみに頼らず、自社メディアやSNS、ポスティングなど、自分たちのできる範囲でこつこつと集客を行い、新しいお客さまとの出会いをつくってきました。こうした積み重ねのおかげで、これまで600組を超えるお客さまのご相談をお受けすることができました。


この記事では、私たちの歩みを振り返りつつ、今抱えている悩みや、今後の展開についてもまとめてみました。

・地域メディアの立ち上げに興味がある

・地域や暮らしにまつわるビジネスに興味がある

という方はもちろん、

・いつか物件購入やリノベーションをしてみたい

・深川エリア(清澄白河や門前仲町、森下など)に暮らしてみたい

なんて方も、ぜひご一読いただければ嬉しいです。


|地域のお客様と、長くお付き合いするために生まれた会社


2016年、代表の柴田が立ち上げた会社、トラストリー。

もともと大手不動産会社のグループ企業役員として、20年以上のキャリアのある柴田ですが、たびたび転勤があったり、ほんの数年で店のほとんどのスタッフが異動で入れ替わってしまったり、大企業だからこそお客様とのお付き合いを長く続けられないことに、ジレンマを感じていたのだそう。そんな時、出会ったのが深川のまちでした。

柴田「単身赴任で1年ほど門前仲町のオフィスに勤めていたことがあるんです。その夏、永代通り沿いのビルから富岡八幡宮の本祭りを見た瞬間、血が騒ぎましたね。都心ほど近い利便性に優れた場所ながら、昔ながらの下町風情を残し、古き良き文化と新しい文化が共存できるまち...地域の人同士のつながりや、歴史、そして物件の動きを見て、ビビッときました」

すっかり気に入った深川のまちで、お客様と長くお付き合いできる関係を築きたい。そんな思いから生まれたのが、トラストリーでした。


|テンプレのない接客だから、予想外の提案も


私たちトラストリーの特徴のひとつは「テンプレのない接客」。

一般的な不動産の案内は、はじめにお客様の予算やエリアのご希望を伺い、そのご要望を受けて、すぐに内見のご案内へと移りますが、私たちは、お客さまの希望にしっかり耳を傾け、その一つひとつを深掘りするので、最初のご相談内容とは違った提案をさせていただくことがあります。

柴田「最近ですと、清澄白河近辺で戸建を探しているというお客様がいらして。物件のご提案の前に、なぜ戸建なのか? どこが魅力なのか?を詳しく聞いてみると、広い家がほしくて、奥さんも畑を持ちたいというので、あえてこの辺りで買わなくても良いのではないか? と提案したんです。

同じように、最初はこちらで探していたけど、最終的には東京の西側で探すことになったお客様もいらっしゃいます。物件を購入する以前に、なぜそうしたいのか、こだわりを掘り下げるのは、とても大事なことなんです」


一人ひとり、理想の暮らしは違うので、全ての方に同じ提案はできません。

何が一番大切なのかを、お互いにすり合わせて納得した上で、次のステップに進むことが大切だと信じています。だからこそ、私たちは、物件を購入すべきか迷っている方、住まいのイメージが具体的になっていない方にこそ、気軽にご相談いただきたいのです。

▼優先順位を決められない、そんな方にこそ来ていただきたい!
https://f-kurashi.tokyo/interview-5/

|地域に根ざした拠点とスタッフ


会社のもうひとつの特徴は「地域に密着した企業」であること。

地域の人たちも、買い物帰りにふらっと立ち寄れるような「まちの相談所」でありたいという思いから、私たちの実店舗「リフォーム不動産深川studio」は、全面中が見通せるガラス張りで、内装をアットホームな雰囲気に仕立てています(お客様からカフェだと思っていた...なんて言われることも)。

家の売買にかかわらず、棚ひとつの修理からリノベーション、相続や保険に関するご相談まで。暮らしまわりで気になることを、なんでも気軽に相談していただきたい。そんな思いをこめて、店舗の前には「相談所」の看板を掲げています。

今働くスタッフたちも、歴は違えど、深川の住人。昼と夜それぞれのおすすめスポットは? 買い物する場所は? 子育ての環境は? 休日の過ごし方は? メリット・デメリット・住まいの悩みに関わらず、深川でのリアルな生活について質問できるのも、他の不動産屋にはない強みかもしれません。



▼スタッフの紹介はこちらの記事をどうぞ。
草彅 https://f-kurashi.tokyo/staff-kusanagi/
谷口 https://f-kurashi.tokyo/staff-taniguchi/

|初期費用5万円でWebメディア「深川くらし」を立ち上げる


テンプレ通りの接客ではない、地域密着型のまちの相談所。

ここまでご紹介してきた、私たちの強みを、どうしたら知っていただけるのか。自分たちの言葉で、このまちの魅力、自分たちのコンセプトを伝えていけたら...。そんな思いから、2019年にスタートしたのがWebメディア「深川くらし」でした。

▼深川くらし
https://f-kurashi.tokyo/


当時は大手不動産情報サイトに積極的に物件情報を掲載していましたが、掲載料がたくさんかかる上に、私たちの考え方や地域の魅力も他と画一化して見えてしまい、モヤモヤを感じることも...。

柴田「お客さんと話をしていて、ただ物件を紹介するのでは、信頼して相談してもらえる関係はつくれないと気づきました。どうしたら良いのか、お客様目線で考えて行き着いたのが、まちのことを好きになるようなWebメディアでした」

とはいえ、ITの知識はゼロ......。初期費用は、サーバーやWordPressのテーマ購入など、合わせて5万円ほど。できることが限られた状態でしたが、Webに詳しい知人のアドバイスやサポートなどを受けながら、なんとかWebメディアを立ち上げることができました。

|1年は結果が出ないだろう、と覚悟の上で更新を続けると...


デザインやマーケティングの改善点は自分達でもよくわかっていますが、それ以上に、ここでしか読めないコンテンツにこだわり、まずは「更新を続けること」に重きを置きました。

柴田「最初の1年は結果が出ないだろうと覚悟した上で、通常の業務の合間に、コツコツと記事を増やしていきました。深川エリアに興味のある方、暮らしに悩みを持たれている方は、どんなことを知りたいだろう。想像を膨らませながら、地域の公園やスーパーの情報、不動産売買にまつわるコラムなど...最初は、私も30本くらいコラム記事を書きました。すると1年経とうとする頃に、少しずつメディア経由での問い合わせが増えてきたのです」

こうして書き溜めた記事は、気づけば400本。Webメディアと合わせて、Twitter・Instagram・LINEなどSNSも開設し、積極的に発信するようになると、深川エリアに興味のある方からの問い合わせがどんどん増えていきました。

柴田「最近は、セミナー告知もWebメディア経由で行ったり、SEO上位で表示される記事も増えて、ひとつの集客手段として機能してきました。現在は物件情報などのほか、月2回、近隣のお店などの取材記事を更新しています。取材は手間も時間もかかりますが、スタッフが地域の人と交流をしたり、まちの最新情報を知ったりする上で、とても役立っています」

Instagram:https://www.instagram.com/fukagawa_kurashi/

Twitter:https://twitter.com/fukagawakurashi


オウンドメディアを4年間続けている原動力は、自分たちの集客のためだけでなく、お客様や地域の人たちの暮らしの豊かさのために運営しているということ。

柴田「立ち上げ当初『深川くらし』で江戸の長屋暮らしに学ぶというコラムを書いたことがあります。江戸時代の長屋は、9尺×2間(約3坪)のスペースに家族みんなで暮らしていたそうです。とても狭い空間ですが、それでも楽しそうに生活できていたのは、長屋の空間だけで生活するというよりも、まち全体が家のような感覚があったからじゃないでしょうか。

『深川くらし』をはじめ、私たちのサービスが、地域を知る・繋がる・好きになるきっかけとなれたら、まちは家の延長のようになるはず。オウンドメディアの先には、江戸の長屋のような暮らしの豊かさを提案できるのではないかと信じています」

|「深川くらし」を通じて実感する、まちの変化


地域密着型の不動産屋であるがゆえ、私たちは、まちの変化に敏感でもあります。

柴田「人の繋がりやイベントなど、下町ならではの人情味は深川らしさとして変わらずにある一方で、深川エリアの富裕化が進み、住む人もお店の雰囲気も変わりつつありますね」

特に清澄白河周辺は、この数年で個人店よりも資本力の強い店の出店が目立つようになり、地元の人の日常使いの店よりも、観光客向けの高価格帯なお店が増えてきました。

柴田「歴史と革新が入り混じる下町の空気が好きで、深川エリアを紹介することに使命を感じてきましたが、近年は、まちの文化が変わりつつあることを察知しています。雰囲気や人間関係、生活環境や職場との距離...さまざまな要素で深川に住むことを選ぶお客様がいらっしゃる一方、選びたくても、価格のために、このまちでベストなお住まいを見つけづらくなってきているのが現状です」


|「深川くらし」から広がる、注目エリア


私たちは、深川に密着した活動を展開していますが、お客様が納得いく選択であれば、最終的な物件のあるまちは必ずしも深川エリアじゃなくてもよい、と考えています。

柴田「ここ数年で、最終的に、深川エリア以外をご提案することもグッと増えました。たとえば、大島エリア。深川よりも東に位置していて、都心からは離れているけれども、商店街や大きな公園が魅力的です。小さなお子さんのいるファミリーにもおすすめで、今後注目が高まりそうな地域です。それから、向島は個人的にも気になっているまちですね。史跡や古いお店が多く、歴史が息づいていて、利便性も高い。浅草にも近いので下町らしさを感じられます。押上、亀戸も同じように人気が高く、選ぶお客様が増えてきていますね」

こうした背景もあり「深川くらし」では深川エリアに興味を持ってくださったお客様へ、近隣エリアの情報も比較検討できるよう、一歩ずつではありますが、記事の充実に努めています。


▼西大島で中古物件を購入・リノベーションした事例
https://f-kurashi.tokyo/interview-11/

▼東大島で中古物件を購入した事例
https://f-kurashi.tokyo/interview-10/

▼向島で中古物件を購入・リノベーションした事例
https://f-kurashi.tokyo/interview-12/

|深川でできること、その先に見えること


深川から少しはみ出たエリアもおすすめするようになった一方で、拠点があるからこそ、まだまだ深川エリアでできることもあります。

柴田「これまでは地域のイベントに参加する側でしたが、自分たち主催のイベントも計画してみたいです。例えば、喫茶イベントを企画して、近所の人たちとゆるく繋がれるような空間を作れたら。それから、物件購入だけでなく、地域の人たちのライフステージの変化に合わせた、リノベーションのご提案にも可能性を感じていますね。深川でのこうした活動の先には、ゆくゆくは拠点を増やし、さまざまな土地で、地域に根ざした暮らしの提案ができる相談相手になれたら...なんて妄想を膨らませています」

人それぞれの豊かな暮らしをデザインする「くらしかた創造企業」として、私たちはこれからもチャレンジを続けてまいります。

▼深川くらし
https://f-kurashi.tokyo/

ここまでお読みいただきありがとうございました。

私たちや深川エリアでの暮らしにご興味を持ってくださった方は、深川エリアの観光休憩がてら、ぜひお気軽に「リフォーム不動産深川studio」へお立ち寄りください!

これを読んでくださったあなたと、お会いできる日を、楽しみにお待ちしております。

「リフォーム不動産深川studio」
https://reform.trustory.jp/

定休:火・水曜
住所:〒135-0033 東京都江東区深川2丁目29-5 高橋ビル1F
https://goo.gl/maps/7Lhq1TrFaFjCi1KT9


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