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消えゆく地名への思い

2024年7月。
八幡浜市の神山地区公民館で「市長をかこむ会」が開催されたので、足を運んでみました。
市長と幹部職員が市内各地区の公民館を巡り、市民との意見交換を行う事業。
市長による40分間ほどの市政報告があった後、参加者との質疑応答と意見聴取の時間がありました。

私も主に八幡浜の歴史や特徴を学ぶ場について質問(関連記事はこちら)しましたが、それはさておき、他の方から気になるご意見が挙がりました。
それは、統合が予定されている「神山小学校」の名前を残してほしい、というもの。
計画では川上小学校・双岩小学校・神山小学校の3校を統合し、現・神山小学校の敷地と設備で「八幡浜南小学校(仮称)」を開校する、となっています。
それならば思い入れのある「神山小学校」の名前を残してほしい、というのがその方のご意見でした。

なかなか悩ましいご意見です。
残り2校の地域の方々に配慮するなら、名前も新たにする新設合併の形を取る方が受け容れやすいだろうというところ。
しかし、歴史ある名前を消してしまうのも確かに惜しく感じます。
この「神山」という名は住所の大字には無い地名で、昭和の大合併前に存在した「神山町」に由来するものです。
現在は小学校や公民館、農協の支店等にだけ残されている名で、小学校が名前を変えて統合することは地域の歴史を物語る名称が一つ消えてしまうことにもなります。

でもそれを言うのであれば、統合される残り2校の「川上」「双岩」もまた旧村名に由来し、住所の大字には無い地名。
統合後の校名を「神山小学校」とすれば、川上地区と双岩地区の方々にはどうして自分たちだけが地名の消える寂しさを我慢しなければならないのか、という思いが生まれることでしょう。
その緩和のために新名称で統合するという狙いはよく理解できます。

消えゆく地名への思いとどう向き合うか。
その課題を再認識させてくださるご意見でした。

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