令和2年国勢調査から見える愛媛県の状況 ~高齢者編~
最新の国勢調査 (令和2年 = 2020年) の結果から愛媛県の各市町の状況を見てみようと思い立ち、公開されているデータを基にいくつかの表を作ってみました。
まずは高齢者についてのデータをご紹介します。
1. 高齢化率
総人口に占める65歳以上、75歳以上、85歳以上の各割合を算出しています。
全国での数値と、愛媛県および愛媛県内20市町の数値を比較できるようにしてみました。
表を見ると、愛媛県は65歳以上の割合が全国での割合 (28.0%) と比べて高く (32.5%)、高齢化の進んでいる地域であることが見て取れます。
県庁所在地の松山市 (27.3%) や隣接する東温市 (30.1%)、松前町 (31.3%) は比較的65歳以上の割合が小さい一方で、久万高原町 (49.4%) や伊方町 (47.4%)、松野町 (47.2%) など、人口の半数近くが65歳以上の高齢者となっているまちもあります。
特に久万高原町は、75歳以上が人口の3割を超える (31.4%) までに至っています。
2. 高齢者の独居率
高齢者の中でも、一人暮らしをされている方に注目してみました。
「一般世帯の世帯人員数」に占める「単独世帯」の人数を「独居者」として、割合を算出しています。
「一般世帯の世帯人員数」とは、老人ホームをはじめとする施設等に入所されている方を除いた人数を指し、集計方法の違いにより「人口」よりも多くなる場合があります。
これを見ると、愛媛県内の多くの市町で全国での割合 (65歳以上で16.1%) を上回る独居率となっています。
久万高原町 (65歳以上で27.3%) をはじめとする過疎化の進んだ農村部だけでなく、松山市 (65歳以上で19.2%) や新居浜市 (65歳以上で19.2%) などの産業都市でも割合の高いところがあり、独居高齢者を取り巻く孤立等の課題への対策を考えるにあたっては、地域それぞれに要因等を考える必要があることが窺えます。
3. 高齢者の持ち家率
高齢者の住宅の所有関係にも着目してみました。
「一般世帯の世帯人員数」に占める各所有関係に該当する人数の割合を算出しています。
掲載している表は65歳以上についてのもので、特に「持ち家」の割合に色を付けています。
愛媛県は総じて高齢者の持ち家率が高め (全国86.0%に対して87.8%) ですが、松山市 (82.8%) や八幡浜市 (83.4%) など、一部持ち家率の低いところがあります。
ある時期に近隣地域から多くの労働者を集めた、等の歴史的経緯が関係しているのでしょうか。
高齢になると新たに民営の借家を借りることが難しくなるため、こうしたまちでは老朽化等で転居の必要に迫られて住まいの困難に面する高齢者が多く生まれるおそれがあります。
割合の比較と対策の関係
割合が比較的高ければ対策が必要になるのか、というと、それは少し違うんじゃないかと思います。
割合が低くても、困難に面するおそれのある方が1人でもいらっしゃるのならば、社会として対策を考えておくに越したことはありません。
ではなぜ割合を比較するのか。
それは、優先順位と予算配分を考える指標になるからだと考えています。
様々な困難に面するおそれを全て0にすることは、どれだけ労力とお金を注いでもできません。
その上で、困難に面するおそれの比較的大きい課題には優先的に労力とお金を注いでいくことでバランスを取りながら、様々な課題の改善に並行して取り組んでいく。
そのために統計データを見て、割合を比較し、地域の特徴を考えることが役に立つのだと思っています。
そのうちまた別の観点から、統計データに基づく愛媛県の状況を記事にしてみたいと思います。
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