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ITエンジニアの転職市場価値は今どうなっているのか?~2023年版~


■自己紹介

・Sun*の坂口です。福岡で生まれ育ち18年過ごした後、関西の大学を卒業後、新卒で設立100年以上の社員数が数万人の会社でIT業界の営業職としてキャリアをスタートし、その後、15年以上、IT/Web業界の人材紹介に従事しています。詳細な自己紹介は、Sun*の公式noteでのインタビュー記事過去に自分が書いたnoteに記載があるので、今回は割愛します。

この記事はSun* Advent Calendar 2023 10日目の記事です。これまで、IT業界の人材紹介(転職支援と採用支援)に携わり15年以上に携わる中で、日々、転職市場の変化が非常に激しいことから、私なりの見解を伝えていきたいと思い、記事を書くことにしました。

その上で、「転職市場価値」というと非常に抽象度の高い言葉のため、ここでは、「転職市場価値=転職を考えた時の選択可能な求人数の多さ」という定義のもと、2023年末のこのタイミングで定量データを用いながら、転職市場について解説をしていきたいと思います。

■転職市場はこれからどうなっていくのか?

<参考URL>
以下の内容は、出来る限り私の所感ではなく、事実を元に定量データを用いた解説をしていきたいため、全てパーソルキャリア株式会社が公開している「転職マーケットの”今”を知る! 2023年11月21日発表」を元データとして記載しています。

<全体の転職市場とは?>
まずは、2023年10月の全体の転職市場を見ていきたいと思います。

グラフを見ていただければと思うのですが、

・紺色:転職希望者数
・水色:求人数
・赤色:転職求人倍率

というのを見ると、

・2020年初頭のコロナウイルスが猛威を振るった影響で一時的に求人数は減少
・その後、求人数は2020年初頭から2023年末まで求人数は増加し続ける傾向
・一方で、2019年から2023年まで転職希望者数は横這い

ということが分かり、まとめると、

・2019年から転職希望者数は増えていない
にも関わらず
・2019年から求人数は爆増している

というのがグラフから分かると思いますが、これはつまり、

・転職希望者は転職しやすい
・採用したい企業は採用が難しい

ということが言えると思います。

これは、私自身が毎年、【年間最低100社以上の企業】と【年間数百名の転職希望者】と向き合い続ける中で感じる体感値と同じです。一方で、これはあくまでも全体感であり、各論でかなり差が大きいため、IT業界に特化すると、総論ではなく各論を見に行く必要があります。

また、設立100年以上の社員数が1,000名を超える大手企業では、平均年齢が40代を超えている会社が多く、少子高齢化の影響も受けていることから、20代~40代以降の若手から経験豊富な層まで幅広い方を求める傾向にあります。

逆に、設立10年未満のベンチャー企業では、平均年齢が20~30代の会社も多く、経営陣も30代であることが多いため、比較的20代~30代半ばの若手層をボリュームゾーンとして採用する傾向ですが、特定分野のスペシャリティを持っている方については、40代以降の方も積極的に採用されています。

更に、外資系企業や日系企業の一部においては、年齢や転職回数や在籍年数をあまり気にしない会社も一定数存在するため、50代以降の方や、転職回数が多い方や、外国籍の方で日本語力がそこまで高くない方だったとしても、スキルの高い方を積極的に採用される会社も見受けられます。

<IT業界の転職市場とは?>

あらためて、パーソルキャリア株式会社の「転職求人倍率レポート(2023年10月)」を業種別に見てみると、

・全体の求人倍率が、2.42倍
に対して、
・IT・通信が、6.63倍
ということが分かります。

求人倍率は、

・1.0以上→転職希望者より求人が多い(転職しやすい)
・1.0以下→転職希望者より求人が少ない(転職しづらい)

であり、つまり、

・倍率が高ければ高いほど、転職しやすい(=1人の転職希望者に対して求人が多い)
・倍率が低ければ低いほど、転職しづらい(=1人の転職希望者に対して求人が少ない)

です。

なので、これを見ると、IT業界は、倍率が高く転職しやすい業界かと思います。

実際に私は、2008年のリーマンショック(世界金融危機)の以前からIT業界の転職支援/採用支援に携わっているのですが、もともと需要が高かったIT業界において、2020年に世界中で猛威を振るったコロナウイルスの影響で、「DX」というバズワードも生まれ、IT業界への需要が更に高まったことを受け、より一層、IT業界のニーズが高まったと感じています。

<ITエンジニアの転職市場とは?>

そして、いよいよ注目なのがこちらです。パーソルキャリア株式会社の「転職求人倍率レポート(2023年10月)」を職種別に見てみると、

・全体の求人倍率が、2.42倍
に対して、
・エンジニア(IT・通信)が、9.98倍
ということから、ITエンジニアは【ダントツに求人倍率が高いこと】が分かります。

なので、これを見ると、ITエンジニアは、【日本の全職種の中で、圧倒的に求人数が多い(=選べる選択肢が多い)】求人だということが良く分かります。

実際に、私が日々の業務の中で、本当に多くのCTO/VPoE/エンジニアリングマネージャー/人事(採用担当)の方と、様々な採用についての議論をする中で、いつも出てくるのが「エンジニア採用に苦戦している」というコメントをいただくことが多いです。

このことからも、各社がエンジニア採用をするにあたって、ダイレクトリクルーティングや人材紹介会社の活用に留まらず、Techブログの発信を含む採用広報/リファーラル採用の推進/人事制度の改定、など本当に様々なことに取り組んでいる印象です。

■IT業界のスタートアップの採用市場が激変

2023年を語る上で、IT業界のスタートアップの市場は大きな変化があったと思います。ざっくり言うと、株式会社SmartHRの創業者の宮田昇始さんが2022年6月16日にブログに投稿した「死なないために」の時代がまさに訪れた、というそんな印象です。

当時の記憶を思い出すと「スタートアップに冬の時代が来た」という体感値を誰よりも早く誰よりも具体的に言語化し、世の中に発信された記事だったと思いますが、2023年になってあらためてこの記事を読むと、本当にいろいろなことを考えさせられます。

2023年は多くのスタートアップが、

・未経験者の大量採用から、ミドル~シニアの即戦力の厳選採用に切り替え
・技術力の高いITエンジニアへの異常な高額の年収提示も収束
・当たり前化していた人材紹介会社への異常な高額feeは収束

という「ITエンジニアの採用バブルがはじけた」ようなそんな時代だったかのように思います。

■ITエンジニアを積極的に採用している企業属性

一方で、上記のようにスタートアップは厳選採用しているという内容を投稿しましたが、ではいったい、「どんな企業がITエンジニアを積極的に採用しているのか?」という問いにお答えすると、結論としては、

・(スタートアップを含む)全業界のあらゆる規模の会社

という回答になると思います。

これは、ファインディ株式会社のSpeakerdeckを引用させていただくと、これからの日本の少子高齢化社会の中で、圧倒的にITエンジニアが不足しているから、ということでしかないと思います。

IT業界の転職支援及び採用支援に15年以上(リーマンショック以前)から携わっている僕としては、いろいろな変遷はあるものの、言葉を選ばずに言うと、【基本的にITエンジニアはIT業界に在籍している】という期間が長かったように思います。

ところが、コロナウイルスをきっかけに一気にバズワードになった【DX(デジタルトランスフォーメーション)】、つまり、僕の言葉でまとめると、【ITを活用して様々な変革を実現すること】の影響で、外注を増やす会社もあれば、一方で、内製化を進める企業が増えたことで、ITエンジニアの大きな選択肢に【事業会社】が入ってきたことが大きいと思います。

以前から、ITエンジニアの転職先の選択肢に事業会社もありましたが、より一層、事業会社での需要が増したのが直近の数年間だったと感じています。

スタートアップの採用熱が以前に比べると厳選採用気味になっているとはいえ、【スタートアップも、SIerも、事業会社も、規模を問わず多くの企業が積極的にITエンジニアを求めている現状】ではあると思います。


■まとめ→転職市場価値の高いITエンジニアの特徴とは?

これまでの流れから分かる通り、全業界の中でIT業界は採用ニーズが大きく、IT業界の中でも、ITエンジニアの採用ニーズが特に大きいというのが特徴です。
その上で、ITエンジニアの中でどのような人材が転職市場価値が高いかというと、大きく3つかと思います。

■1:テックリード型
テックリード型は技術力に特化したエンジニアです。具体的な開発言語だと、Ruby、Go、Python、React、Vue、TypeScript等のモダンな開発言語で5年以上の開発の実務経験がある方は、転職媒体であるビズリーチに登録すると大量のスカウトが届くと思います。

■2:エンジニアリングマネージャー型
エンジニアリングマネージャー型は、自ら手を動かし開発できるエンジニアリングスキルに加えて、開発組織そのものをマネジメントする能力を兼ね備えているエンジニアです。直近では、若手の育成はもちろん、社内のエンジニアリソースの不足に伴う外部ベンダーのコントロールができるスキルも求められます。

■3:プロダクトマネージャー型
プロダクトマネージャー型は技術的な観点とビジネス的な観点の両方を持ち合わせ、プロダクトをグロースさせられるエンジニアです。特に、技術的な知見を用いて、マネタイズできていないプロダクトを数億円(0→1)~数十億円規模(1→10)に事業成長させたことがある方は、スタートアップから大手の新規事業まで幅広く重宝されます。派生形で、UI/UXに強くエンジニアとして開発もできるプロダクトマネージャーは、転職市場で希少なため、非常に転職市場価値が高くなります。

これ以上の詳細については、過去に私がインタビューを受けた記事にまとめているので、確認下さい。

■告知

いかがでしたでしょうか?この長文を読んでいただいた方にとって、少しは、プラスになると幸いです。最後に告知です。Sun*では様々なサービス展開をしています。

開発支援/採用支援/転職支援など、Sun*ではITを軸にした様々なサービス展開を行っています。また、最近では、上記のように採用広報/採用ブランディング/採用マーケティングの領域も手掛けています。Sun*への転職を希望する方も大歓迎です。少しでもSun*に興味がある方は、僕のLinkedInX(Twitter)といったSNSアカウントから、お気軽にお声がけいただけますと幸いです。今後ともよろしくお願いします。

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