【闇に消えた正義:法廷のエリート刑事】プロローグ
始まりは意外なところからのスタート…
東京の薄暗い地下拘置所、その冷たいコンクリートの壁に囲まれた小さな部屋に、女性刑事の桜井玲奈は座っていた。鋭い眼差しを持つ彼女は、警視庁のエースとして数々の難事件を解決してきた。その功績は、マスコミでも頻繁に取り上げられ、「警察の星」と称されるほどであった。しかし、今彼女は拘束され、信じられない現実に直面していた。
桜井玲奈は、警察学校をトップの成績で卒業後、犯罪捜査一課に配属された。その聡明さと直感力、そして何よりも揺るぎない正義感で、多くの同僚から尊敬を集めていた。特に、連続殺人事件の解決や国際犯罪組織の摘発など、その手腕は圧倒的であった。
しかし、彼女の成功は、全ての同僚にとって喜ばしいものではなかった。特に、同じく一課に所属する男性刑事、村上直人にとっては。村上もまた、優秀な刑事であり、数々の事件を解決してきたが、桜井の陰に隠れることが多かった。その影響か、彼の心には次第に嫉妬と不満が蓄積されていった。
村上直人は、見た目は穏やかで落ち着いた印象を与えるが、その内側には野心とプライドが燃えたぎっていた。彼は自らの功績を正当に評価されないと感じており、桜井に対する対抗心が強まっていた。特に、彼が解決に導いたと信じる事件でさえ、最終的には桜井の名が表に出ることが多かったのだ。
そして、運命の夜が訪れた。桜井玲奈が関与したとされる横領事件の証拠が突如として浮上した。警察内部の調査によって、桜井の口座に不正な入金が確認され、彼女は逮捕されることとなった。桜井は無実を訴え続けたが、その声は届かなかった。
拘置所の薄暗い光の中で、桜井は村上の顔を思い浮かべた。彼の微笑みは、どこか冷たいものを感じさせた。彼女は、その笑顔の裏に隠された真実に気づいたかのように、唇を引き結んだ。
「必ず、真実を暴いてみせる…」
そう決意した桜井の目には、再び戦う者の炎が宿っていた。この冤罪を晴らすために、彼女は再び立ち上がるのであった。