逮捕されたOLの罪⑤(3,337文字)
第4章 留置所
とても長い一日だった。
朝に逮捕されてから外はもう暗くなっていた。
わたしは、窓の外を見る余裕なんかないが、外がどんな状態かくらいは見ることはできる。
しかし、わたしの隣には女性刑事に挟まれている。
さらに、両手には手錠を嵌められているだけでなく、腰縄でも繋がれて逃げることなどできない。
車の中は静寂だ。
ただただ、わたしは嵌められた手錠を見つめるかのように俯いていた。
すると、腰縄を握る女性刑事から「もう少しで着きます。」とひと言告げられていよいよ、留置所へ到着することになる。
再び、警察署内へ入ることに対する恐怖はあるが、もう夜は遅い。
後部座席のドアが開けられると、腰縄を持つ女性刑事を先頭にわたしも繋がれた腰縄に引っ張られるように車から降りた。
降りるたびに簡易的なボディチェックと手錠の施錠の確認をするために、手のひらをパーにするなど儀式的なことが多くて鬱陶しさを感じた。
そうこうしているうちに、留置所の中に入るように誘導された。
女性刑事に連行され階段を登っていき、長い廊下のその先に1枚の重厚な鉄の扉が現れた。
わたしは、一目でそれが留置場の入口であると分かった。
早く帰りたい。
そんな思いをよそに、女性刑事から「壁の方を向いて」と指示されて、わたしは大人しく壁の方に身体を寄せて俯き加減で待っていた。
どうやら、女性刑事と留置所の警察官がわたしの引き渡しの手続きをしているかのような会話をしていた。
すると、女性刑事から留置所担当者へ腰縄が引き継ぎされて、「よろしくお願いします」と女性刑事が一礼して、その場から去っていく前にわたしに
「取調べの時は迎えに来ます。」といい、続けて「ここにいる期間は少し長く感じると思うけど頑張って」と励ましの言葉をいただき留置所をあとにした。
留置所の警察官によって腰縄を持たれて連行されると、鉄の扉が閉まった。
まず最初に連れて行かれたのは入ってすぐの新入り調書部屋で、女性警官が3人ほどわたしを待ち構えていた。
留置所では、彼女らを「担当さん」と呼ぶらしい。
腰縄を持つ担当さんの指示で椅子に座らされると、わたしの本人確認をおこなって、ようやく手錠の腰縄が外された。
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