第9章【転落記】とあるキャリアウーマンの転落記
勾留されてから約2ヶ月ほどが経ちました。
その生活を見ることはなく、常に鉄格子とくすんだ雰囲気をただひたすら案じていました。
当然、人を車で轢いて死なせただけでなく、その現場から逃げ出し、さらには酩酊するまでお酒を飲んだ車を運転した私に保釈が許可されるわけがありません。
裁判の時まで、今の状態をとにかく反省して裁きを受けるその時まで待ち続けました。
そしていよいよ迎えた初公判の日。。。
いつも通りに起床をして点呼を終えてから朝食を食べました。
朝食の後、両親から差し入れとしてスーツをいただいたので黒のスーツと白のブラウスに着替えました。
化粧はできませんが、少しでも身なりを整えてその時を待ちました。
裁判所へ行く時間になると担当の刑務官が迎えに来ます。
刑務官より、雑居房から出るように言われサンダルを履きます。
サンダルとはいえ、パンプスのような革の靴のようなものでスーツに合うように作られていました。
とはいえ、踵のついた普通の靴が認められていないため、革靴風のサンダルであることは変わりありません。
雑居房を出た後は、軽い身体検査を受けるために、拘置所初日の時に入れられた部屋(新入り調べのような場所)に連れて行かれます。
部屋に入ると刑務官の手から黒い手錠と青色の腰縄を用意されました。
当然これがないと外に出ることができません。普段着でアクセサリーのようなものです。
数週間に及ぶ勾留生活で出房時には当たり前のように自然と両手が出るようになっていました。
カチャリという嫌な金属音が2回ほどなって、私の片方の手首に手錠が嵌められ、そしてもう片方んいもカシャリと乾いた音が2回鳴って私の腕は手錠によって拘束されました。
刑務官は何かの拍子に私の手錠が外れないようするために、別の鍵で緩まないようにロックをかけてしっかり施錠しました。
そして、腰縄を黒スーツを着たジャケットの上に巻いて、ボディラインが見えるくらいにしっかりと巻きつけて端末をしっかり刑務官の腰に通すホックに括りつけて余りのぶら下がっている縄を刑務官の手に持ってグルグルと巻いて私の移送の準備を整えてくれました。
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