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中小企業診断士試験fin.

そして迎えた試験日の前夜。去年の失敗から今年は普通のビジネスホテルに宿泊。無事に眠ることができた。頭はすっきりしている。体調も悪くない。ここまで1年8か月、およそ780時間勉強してきた。きっと大丈夫だ。
ところが初日の受験科目の難易度が去年より上がっていた。1科目の経済学から実に難しかった。傾向も変わっている。例えば一般的な問題は選択肢が4つもしくは5つの中から正しいもの(間違っているもの)を選ぶ、または当てはまる言葉を選ぶという形式になっている。この場合明らかに間違っていると思われる選択肢が1つ2つあることもあり、実質2択だったりする。ところが、今年は選択肢の文章が1つずつ「正しい」か「誤っているか」を判断し、その組み合わせを選べという問題があった。つまり実質8択(正or誤1/2×4)なのだ。問われている内容を正しく理解していないと正解にたどり着くのは難しい。1科目目から実にタフな問題だった。脳が鼻からでるくらい沸騰した。それでも感触としては60点はなんとかいったかなというところだった。
そして得意の財務会計。こちらも明らかに昨年までと少し傾向が変わっていた。さんざん勉強した経営分析が出題されなかったように思う。自分で計算してたどり着いた解答が選択肢になく完全にパニックになってしまった。大失敗だ。今から考えると覚えた計算式に当てはめようとしすぎて難しく考えすぎた。完全に失敗だ。おそらく40点に到達していないだろう。ここで終了の予感がした。今年もダメそうだなと自分の力不足を恨みつつ、かすかな可能性を信じて残りの科目に向かった。残りの経営戦略と運営管理。得意意識のあるこの2科目も昨年より難しかった。予定ほどできなかったがそれでも60点はいっている。財務会計以外は合格ラインを超えているはずだという感触でハードな初日を終えた。軽く酌をして疲れを癒した。そしてその夜、早めにベッドに入った。しかし今年も頭がさえて眠れなかった。

迎えた2日目の朝。4時半に目が覚める。まるで遠足前の小学生だ。(笑)
頭はすっきりしてる、今日は大丈夫だ。体調も十分いい。一縷の望みをかけて2日目の試験と対峙した。3科目とも初日よりも、去年よりも難易度は下がっている大丈夫だ。中小企業政策も去年よりはできた。たぶん合格ラインは超えている。財務会計が40点を超えてさえいれば、他6科目でカバーできるかもというわずかな希望は残したまま今年の試験は終了した。
1次試験が終わった。今年1年よくやった。いや1年8か月よくやった。お疲れ様だよ。そう自分を労った。正直、今年も難しかったな。特に初日な。あれだけやったのに。まだ足りないか。結果はコントロールできない。だけどやれる準備は全部やった。これで落ちたら仕方がない。そんな心境だった。会場を後にし、ふと空を見上げると七夕がなびいていた。街は七夕祭りで賑わっていた。

試験会場から東京行きの新幹線に飛び乗った。久しぶりの解放感を満喫した。友人と食事をした。読みたかった本をひたすら読んだ。東京の美しい夜景も見た。宿泊先でオンライン研修も受けた。まったく自由気ままに過ごした。その一方、青森では8月に入り大雨が続き、川も氾濫するなどの自然災害が発生していた。連夜りんごや田畑への被害が報じられ、ただただ被災の少ないことを願った。
 
お盆が明け、当たり前の日々が始まった。畑に行っては葉とりをした。セミナーの資料も作り直す。りんご販売の準備も取り掛かった。そして2次試験対策も始めた。1次試験で学んでいる知識が2次試験でどう問われるのか知り、1次試験対策で学ぶものへの理解度は深まっている。しかし気分は全く乗らず、いまいち集中できないまま9月に入った。そして1次試験結果発表の日を迎えた。自己採点では4科目合格、2科目が1問足りず、1科目は40点前後。試験の手ごたえの割に案外点数は伸びていなかった。早速中小企業診断士協会のホームページで確認した。既報のとおり経営情報システムと運営管理の2科目合格していた。
2科目だけなのか。自分の中では全く納得のいく結果ではなかった。もっと合格している手ごたえはあった。ただ仮に1次試験合格したとしても2次試験は突破しなかったな。受かるにはまだ早い、もう少し勉強しろというサインなのだろう。気持ちとしては、やり切った感が3割、悔しさが7割。何が足りなったんだろう。

その答えが見つからないまま11月を終えようとしている。りんごも無事に収穫を終え、ひと段落ついた。10月前半まで続けていた2次試験対策はすっかり遠ざかっている。今はきっとこれでいい。
この1年8か月で自分の中に起こった変化がある。それは情報への「感度」が深まっていることだ。アンテナが高く、広くなった。例えば日経新聞。インフレ、円安などマクロ経済、企業の決算など財務会計に関すること。以前とは比較にならないくらい背景をイメージできるようになった。例えばりんご飴専門店。原価はいくらで損益分岐点はいくらだろう。例えば流行っている店。どの理論をどう実践して売れる仕掛けを作り上げているのだろう。例えば「数字」。どんな意味や背景、意図があるのだろう。数字は嘘をつかないが、数字を作る側は都合のいいよう作れるから鵜呑みにはしないことだな。畑で作業をするようになり五感が鋭くなったが、さらに磨きがかかった。
 
中小企業診断士試験に受かるという「目標」は未だ達成していない。しかし、学んだ「知識」を「知恵」に変え、世の中の役に立たせる、必要な人に届けるという「目的」地には間違いなく近づいている。
 
青森ではもうまもなく雪が降る。わかりやすい冬がくる。今年は平野での初雪が遅い。そんな冬は大雪だったりする。そうなれば雪かき大変だべな。人間が生活していく上で雪は無いほうがいいと感じることも確かにある。しかし、生きていくためには雪も必要だと時に私は思う。春になり雪解け水が山土に染み込み、ミネラルをたっぷり含む。そのミネラルが豊かな自然の大地の恵みを我々にもたらす。漁師が山に木を植えるというお話をご存じだろうか。日本人はいつの時代も次の世代のことを考え行動し、その精神を引き継いできたんだなとこの年になって実感している。

りんごの木は来年に向け早くも充電している。そろそろ勉強始めるべ。(完)

仙台七夕祭り

最後まで読んで下さり有難うございました。
 (完)
 
 

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