中小企業診断士試験Vol.2
さて、何からどう進めるか。とにかく範囲が広く覚えることが莫大に多い。
ここで簡単に試験についておさらいする。試験は全部で3回。1次試験は選択式の7科目、2次試験は記述式で4科目。どちらも合格ラインは平均60点以上でかつ1科目も最低40点未満にならないこと。2次試験の合格者には口述試験があり、合格するとはれて中小企業診断士となる。1次試験の科目合格は3年間有効、つまり3年間で7科目合格すれば良い。2次試験は1次試験の全科目合格から2回受験可能。2回落ちるとまた1次試験からやり直しだ。(詳細は中小企業診断士協会HP参照のこと)
勉強方法について考えられる方法は3つある。通学。通信講座。独学。それぞれメリットデメリットはある。その中から通信講座(オンデマンド)を選択した。理由は大きく2つ。1つは体系立てて勉強したかったからだ。これは私が学びや仕事に臨む時の基本的な姿勢だ。全体をイメージしながら部分部分を理解していく。この方法が物事を理解していく上で自分の中で一番しっくりくる。資格を取るのは確かに目標ではある。しかし本来の目的は知識をしっかり身に着け仕事に活かし世の中の役に立つことだ。自分が目指しているところを頭の片隅にイメージしながら進む。目的は何か、目標はどこか、自分がいまどこにいるのか。それらが分からなくなった時、自分のいる状況を把握しやすい。
2つ目は、独学は自分に向いていない。飽きてしまうことだ。これは過去の経験上自分はそうかなと思う。範囲は広いし覚えることは多い。きちんとした教材があった方が筋道立てて、効率よく学べる。それと60点の目安もわかりやすい。
初期投資は約60,000円。自分への「先行投資」である。その後問題集や過去問などの追加購入、受験料、宿泊費なども含め今のところおよそ200,000円ほどの投資となっている。
講義は見たい時に、いつでも何度でも見ることがオンデマンド方式。スマホでも視聴可能のため、車の移動中でも聞き流せる。便利な時代だ。申し込み後早速7冊の公式テキストとサブテキストが届いた。令和3年1月4日勉強開始。試験まで与えられた時間はおよそ8か月。
次に勉強時間の確保だ。
1,000時間の法則というのがある。何かを習得したり一定の能力を得るためには1,000時間の学びや訓練が必要だという考え方である。その時間をどう作るか。当たり前だが時間には限りがある。新しく何かを始める時は何かをやめた方がいい。自分は器用になんでもできるタイプではない。そこでSNSをはじめとする「情報」に触れる時間を極力減らすことにした。ちょうど新型コロナや東京オリンピックに関わることを中心に「不安」、「懸念」「おそれ」「心配」「可能性」などで報道があふれ、触れる「情報」を選ぶのに疲れていた頃だった。自分をコントロールする観点からも、距離を置くのにちょうど良いタイミングだと思った。またSNSなどで目に入ってくるイベントなど様々な「誘惑」も避けられる。FBなどSNSへの投稿やアプリを立ち上げることを減らし、勉強に集中できる環境に身を置くようにした。当面の目標は勉強時間1,000時間、1次試験突破。
勉強は主に朝にした。だいたい4時半に起きて7時ころまで。仕事の前、頭と体がすっきりした状態で取り掛かる。仕事後の夜やるよりはるかに効率がいい。仕事の後にもしたが、やはり朝の方がいい。ひたすら講義の動画を見て、そして練習問題、過去問と解き解説を読む。あいもかわらずさっぱりわからない状態が続いていた。
さて、ここで試験に対する自分の背景を振り返る。1次試験は7科目。①経済学・経済政策②財務・会計③企業経営理論④運営管理⑤経営情報システム⑥経営法務➆中小企業経営・政策。この中で私が本などで学んだことがあるのは大まかにいうと③④⑤⑥の4つだ。③は経営戦略やマーケティングなど、④は工場の生産管理や店舗・販売・流通など⑤は情報技術やインターネットの仕組みなど⑥は特許などの知財や事業承継など経営に関する法律に関わること。メーカーに勤めていた頃、③と④についてはことあるごとに学んだ。⑥は法学部出なので抵抗はない。それにビジネス実務検定を持っている。⑤は初級システムアドミニストレータの時勉強した。ところが①、②、➆が全くの初めてだ。①ではグラフが出てくる。②はB/SやP/Lの分析やキャッシュフロー計算書を作成したりする。➆は中小企業の現状についての政府の統計など幅広いデータから出題される。全く困った。特に②の財務会計については2次試験も含めて合格へのポイントになると言われている。しかし個人的に財務会計はあまり興味がなかったこともあり、今まで学ぶ機会を作ってこなかった。ただこの科目の出来が合格に向けての大きな課題だということは早々に認識できた。
合格に必要なのは、①正確に言葉や単語を理解する力、②問題文を解釈する力、③そして覚えた知識を使って解く力が問われていると考えている。興味のある方はぜひ一度問題を見てみることをお勧めする。空欄を埋める問題もあるし選択肢自体が3行や4行のものもある。
いずれにしろ膨大な範囲と量と傾向の違う7つの分野について、いつになったらわかるのか、果たして解けるようになるのか全くわからない状況だった。大学受験は私立文系3科目のみだったので、自分史上最多の受験科目だ。そしてそれが何度やっても分からない。前に進んでいるのかどうかも不明。自分が嫌になる日が続いた。そんな時どう過ごしたか。自分がやることにだけに集中した。「凡事徹底」だ。はるか「遠い」ゴールを見ると気が滅入るので、目の前のやることだけに集中した。ひたすら講義を見て問題を解き、解説を読む。なにがどう正解で、どこが間違っているのかよくわからないが、ただそれを繰り返した。そんな状況が数か月続いた。
先にも書いたが勉強の目標は漠然と8か月で1,000時間。ひと月125時間、1日換算で4時間。仕事との両立。当然仕事最優先のため体調管理に十分気を付ける。それとお酒だ。私にとって仕事のあとの一杯は至福の時だ。さすがにやめることはせず、翌日に残らないよう量を減らした。特に休みの前夜はあまり飲まないようにした。休みの日の勉強をより効率的にするためだ。私と近い年齢の方はわかって頂けると思うが、だんだん自分のイメージ通りに、疲れやお酒が抜けなくなってきている。とにかく翌日に疲れやアルコールを残さないよう心掛けた。
いつの間にか雪が溶け、桜も散っていた。講義が3周目を過ぎた辺りからようやく何をやっているのか分かり始めてきたように思う。時間にして230時間を過ぎたあたりだった。(勉強時間の記録が残るのも通信講座の特徴の1つだ。)1割もできなかった例題の正答率がようやく3~4割ほどになった。りんごが500円玉くらいの大きさになっている。摘果作業真っ盛りの季節。6月になろうとしていた。(続く)
(撮影日:R3/6/5)
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