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7/13(月)

噛めば噛むほど音がでかくなるリコーダーが家に届いた。

これは、芋しか売ってない芋専用ショッピングチャンネルをぼーっと見ている時、しれっと紹介されているのを見てつい買ってしまったのだ。

ワクワクして開封してみると、タウンページくらいの説明書と、エビが入ってた。
どっからどう見てもエビなので、困ってとりあえず重たい説明書を開いてみると、「エビに見えるけどれっきとしたリコーダーです」と1ページに書いてあって、残りの1000ページくらいはそういう見間違えの例とかあるあるがぎっしり書いてあった。

リコーダーと判明したので、尻尾の方をくわえて実際に吹いてみると、すんすん、という音色が出た。
鼻から空気を吸い込んだような音。

音が小さいからかなと思い、尻尾を何回か噛んでから吹いてみると、ずびびびびびびびび、とさっきよりかなり大きい音が出た。
鼻水を啜ってる音そっくり。
音がでかくなるのはいいけど、同時になんか詰まってる感じがして気持ち悪い。

けっこうもう吹く気をなくしかけていたけど、限界まで噛んで吹いてみたらどうなるのかと思って、とにかく噛みまくった。
尻尾の殻がカニカマみたいになった。

いざ、吹いてみると、全く音がしない。
何回吹いても音がしない。
不思議に思っていると、手を滑らせて笛を落としてしまった。
笛が地面に落ちる音もしなかった。
はっ。
手を叩いてみた。
無音。
これ鼓膜破けてるやつだ。
こんな感じなのか。意外と痛くないんだな、と呑気にしていると、何かが聞こえる。

それは、地響きのように頭に響いてくる。
どどどどどどどど・・・
自分の声も聞こえないのに、その音ははっきりと近づいてきている。
まるで滝が目の前にあるような、いや、自分が滝の中にいるかのような。
それに滝も普通の水よりも粘り気があって重たい感じがする。
そう。鼻水の滝だ。

完全に鼻水の滝が頭の中を流れ落ちている。
次第に目の前が真っ白になっていって、自分が今どこに立っているのかわからなくなった。
あとでたまたま遊びに来た友人によると、目と鼻と耳から白い絵具のようなものを出して、空中に浮いていたらしい。

おかげで部屋の中は季節外れの雪景色。
蒸し暑いのに目には涼し気だから、体調を崩しそうだ。

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