「ベルヌーイの定理」って言ってみたい
航空機の設計に憧れていた私は、流体力学の授業が大学で始まったときに、ものすごいワクワクしてたんです(後にヒーヒーになりましたが)。
なんか流体力学の授業で出てくる定理の名前が、すごくお洒落でカッコ良く感じたんです。
「ベルヌーイの定理」とか「ナビエストークス方程式」とか、「レイノルズ数」とか。
「流線形のデザイン」なんていうのも痺れますよね。
ということで、飛行機の話
の蛇足で、ベルヌーイの定理について私が初歩で躓いたところを、振り返ってみたいと思います。
飛行機の速度の測定には、「ピトー管」というものを使います。空調ダクト内の、風量測定なんかにも使われたりします。
原理図は下図のようなものです。
[図1]ピトー管
図1のように、一本の管内の液体表面に働く圧力の差を利用して、その面の高さから速度を算出します。
ベルヌーイの定理は、
ρv^2/2(動圧)+ ρgh(重力圧) + P(静圧) = Const.(全圧) --- (1
で、これは流体の「単位体積あたりのエネルギー保存則」となっています。
式1を"gh"で割れば、
v^2/2g(速度ヘッド)+ h(位置ヘッド) + P/ρg(圧力ヘッド)
= Const.(全ヘッド) --- (2
となり、位置ヘッドを無視すれば、
(全ヘッド)-(圧力ヘッド)=(速度ヘッド)
から「速度ヘッド」が分かります。
言い換えると、
(全圧) - (静圧) = (動圧)
から「動圧」を算出し、大気の密度"ρ"を調べて、ピトー管に対する気体の速度を計算します。
何故、図1の左の部分が「全圧」になるかというと、下の図2のように、運動する流体が物体と衝突する部分では、運動エネルギーが全て、圧力エネルギーに変換されるからです。
[図2]よどみ点(1)
ピトー管の場合は、図2の「よどみ点」が管になっていますが、その管をたどった先の液面が、全圧を受けることになります。
何故「よどみ点」なんていう名前が付いているかというと、ここで運動エネルギーが圧力に変換され、相対的に速度が"0"になる(つまり淀む)からです。
この場合は、力学で言う「完全非弾性衝突」(衝突して運動エネルギを失う現象)にあたり、後に熱エネルギーとなります。
とまあここまでは、参考書にも載ってる話なんですが、ここで私は以下のような疑問を持ちました。
「よどみ点では、
運動エネルギーが圧力エネルギーに変換されているだけ
なのに、なんで
静圧を含む全圧
になるのか?いったいこの場合の静圧とは何か?」
ベルヌーイの式では、「流体の運動方向の圧力」が動圧で、「運動方向に垂直な方向の圧力」が静圧になると教わったからです。
"Const."(定数)の部分の値が何なのか。これはエネルギーの観点から論じたものであり、具体的に何のエネルギーなのかははっきりしません。それを次回、見ていきたいと思います。