【異色作】嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ観た

 映画館「カスカベ座」で遊んでいたかすかべ防衛隊だが、トイレに行ったしんのすけを残して、みんな忽然と姿を消してしまう。
 夜になり行方不明になったみんなを心配した野原一家。映画館を探しに来たが、延々と上映されている西部劇の映像に目を奪われているうちに、気が付けば一家は映画と同じ西部劇の街に立っていた・・・。

 春日部に戻ろうと街をさまようしんのすけたちの前に、変わり果てたかすかべ防衛隊のみんなが!風間くんは乱暴な保安官に、マサオくんとネネちゃんは・・・なんと夫婦になっていた。みんなは春日部の記憶を失っており、それぞれ新しい生活を送っていたのだ。唯一記憶が残っていたボーちゃんと帰る約束をするが、この世界での生活が長引くにつれ、徐々に春日部の記憶を失い、この世界の生活に馴染んでゆくしんのすけたち。

 果たしてしんのすけたちは、本当の自分を取り戻して春日部に帰ることができるのか?

ABEMAより引用 てかなんだこの予告編 無いシーンばっかじゃねえか

 これは映画館で観たらしばらく放心しちゃうやつだわ。こんなに終わらないでくれと思ったエンドロールは無いぞ。

 なんかずっと「映画ドラえもん」を観てる感覚だった。なんでだろう? 全体的にギャグ少なめだからだろうか。ラスボスのジャスティスがドラ映画の悪役っぽいからかも。全くコメディキャラじゃないの。あとしんのすけの口調もいつもとちょっとちがうんですよね。「〜だゾ」って言わないシーンが散見される。

 いつもの映画ならしんのすけが場を引っ掻き回すところ、本作は西部劇のシビアな雰囲気がしんのすけすらも飲み込んでおり、一貫してシリアス。銃撃、出血など普段はあまり見られない暴力描写があります。

 こんなのクレしんじゃない! と初めは思いますが「未完の映画に取り込まれてしまったので、どうにかこの映画を完結させて元の世界に帰る」というストーリーのため原作の空気が控えめでも違和感を覚えることはありません。

 野原一家の記憶が薄れてきて、映画の登場人物と化していくシーンは嫌な怖さがあった。ボーちゃんの変わらなさはすごいな。しんのすけが一番信頼してるメンバーなだけある。合言葉の「かすかべ防衛隊、ファイヤー!」が思い出せなくなり、思いつく言葉をみんなで言っていくシーンが一番笑った。火だるまになったマサオくんで思い出すとこまでセットで。焼きおにぎり。

 そして気になったのが作画。クレしんのアニメって、回によって絵柄が結構違うじゃないですか。今作は場面によって作監が別なのか、「あ、絵柄変わった!」とはっきりわかるポイントがいくつもあります。注目してみてもいいかも。

各キャラ雑感

しんのすけ

 珍しく10代前半に恋しちゃう。今作の彼はずっと大人っぽい雰囲気を漂わせています。個人的にはユメミーワールドを思い出したな。基本弱い人間に対しては優しいんですよね彼は。

野原一家

 かすかべ防衛隊が主役を張っているので活躍は控えめで、シロはお留守番。でもシロの存在がすごく大事なんですこの映画。

つばきちゃん

 今後このタイプのキャラは登場しないだろうというくらい異質。しんのすけも彼女の前ではボケないので、ツッコむシーンすらない稀有なキャラです。

「しんのすけが本気で恋をしたのは2人だけ」という有名なトリビアがあって、1人はななこおねいさん。もう1人が本作のヒロイン・つばきなんです。

 しんのすけは基本高校生以上の女性のみが恋愛対象なので、中学生くらいのつばきに惚れるのは異例も異例なのである。このつばきがクレしん世界では珍しい、純朴系ヒロイン。声優の齋藤氏は当時16歳と若く、演技がたどたどしいのですが、それが却ってつばきの雰囲気造りに一役買っているように思います。全くエロくない等身大の女の子なので、一度だけあるパンチラシーンでキャー///ってなってしまった。しんちゃんは大人のおねいさん相手だと5歳児離れした口説きを見せるのに、ガチで恋すると年相応のリアクションをするのが可愛いですね。

 クレしん映画のヒロインの中でも、つばきは殿堂入りでしょ。見てないけどたぶん「クレしん映画のヒロインで打線組んだwwww」スレで4番でしょ。

ジャスティス・ラブ

 本作のメインヴィラン。本作特有の容赦ない暴力描写もあり、クレしん映画の敵のくせに終始シリアスで恐ろしい敵。ムチが主要武器なのが渋い。


 なんか定期的に観たくなる映画かもな。前3作がオトナ帝国・戦国大合戦・ヤキニクロードと人気作なのもあって、判官贔屓じゃないけど推したくなる1作です。

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