【感想文】コミケ102新刊セット(もちもち先生)


はじめに

 本稿は、もちもち先生(@mocimoci001)のコミケ102新刊セットについての感想を述べるものです。具体的には①「SSWTMATOME」(ししわたマンガまとめ本)、②「うちのわためはよくモテる」(書き下ろし)の2冊につき、「うーん、やっぱり最高だぜ!」という話をします。

 ちなみに、それぞれの同人誌は先生のboothにて購入することができます。本稿執筆時点では、まだ紙媒体もデータ版も販売中です。また、新刊2冊+グッズの新刊セットも在庫があります。売り切れる前に買いましょう。

 まずは、もちもち先生のマンガの魅力をひと通り語り、そのあとにそれぞれの同人誌の感想を述べていきたいと思います。

もちもち先生のマンガはいいぞ

 先生はTwitterでホロライブに関するマンガやイラストをアップロードされています。百聞は一見に如かずということで、本稿を読み進める前にまずは作品をいくつかご覧いただければ幸いです。ここではししわたのマンガをご紹介いたしましょう。

 先生のマンガやイラストで好きなところは、第一に画風、第二にホロメン(ホロライブの所属メンバー)についての解像度の高さです。以下、順番に解説します。

 もちもち先生の作品をご覧になってピンと来た方もいらっしゃるかもしれませんが、その画風はカートゥーンから影響を受けているように思われます。太い主線、愛らしいデフォルメ、彩度の高い配色、そして時折ややクレイジーとも言えるキャラクター表現など。こうした要素がホロメンの奇人変人っぷりと上手くマッチしているのがよいですね。

 こたつさんが初めて先生のマンガに触れたのはTwitterだったのですが、実はカートゥーンが好きなので、「あらっ、とっても素敵な絵だわ!」と感じたのを覚えております。そしてその少しあとにマンガのまとめ本「HOLOMANGAMATOME1」を出されることになり、イベントに行けなかったのでboothに貼りついて無事購入し、現在に至るというわけです。

 先生のマンガを構成するもうひとつの魅力は、ひとりひとりのホロメンに対する解像度が非常に高いということです。

 マンガの中では、配信上で実際に行われたやり取りが素材になっているものもあれば、恐らく先生が想像して描かれたやり取りもあります。しかし、たとえそのやり取りが想像の産物であったとしても、その内容を「あ~、裏で実際にこんな会話をしてそうだなぁ」と違和感なく受け入れることができるのです。これってすごいことだと思います。なぜそんなことが可能なのかというと、やはり先生がひとりひとりのホロメンのことを好きで、彼女たちのことを日頃から丹念に観察しているからだと思っております。

 カートゥーンっぽい愛らしい絵柄や表現と、それを裏打ちするホロメンに対する解像度の高さ、これらふたつの要素が相まって、もちもち先生の魅力あふれるマンガが成り立っているのかなぁと思う次第です。

 さて、先生のマンガの魅力をひと通り語りましたので、次は2冊の新刊の内容について順番に感想を述べていきましょう。

「SSWTMATOME」(ししわたマンガまとめ本)

 まずは「SSWTMATOME」から。こちらは、もちもち先生がTwitterにアップロードされたマンガのうち、ししわた(角巻わためさん(以下、わためぇ)と獅白ぼたんさん(以下、ししろん)のカップリング)をテーマにしたものがまとめられたものです。先生はししわたが大好きでいらっしゃるので、始めから終わりまで切っても切っても良質なししわたてぇてぇが楽しめる1冊となっております。

 もちもち先生の「ししわたてぇてぇ」のポイントは、とにかく色々なてぇてぇがあふれているところです。これだとトートロジー気味ですので詳しく説明しますと、あるときはししろんのイケメンぶりにわためぇが赤面し、またあるときはわためぇの純粋でまっすぐな好意にししろんが照れてしまい、そうかと思えば他のホロメンと仲良くする片方をもう片方が複雑な心境で眺めたり……。このように、ししわたの関係、つまり同僚であり、親友であり、パートナーであるという多面的な関係が、マンガの中で余さず描かれているのです。あたかもひとつの主題から無数の変奏曲を作り出すように、様々な角度から「ししわたてぇてぇ」が描かれます。

 こたつさんが見るところ、もちもち先生のマンガで一番多く登場するカップリングは恐らくししわただと思います。恐らく、主題として一番好まれているのだと思います。マンガに出てくるししわたの彩り豊かなやり取りを眺めていると、ししわたをこよなく愛してらっしゃるのがひしひしと伝わってくるのです。こういう本、こたつさん大好きなんです。いい買いものをしたわい。

 あと、冒頭で先生の絵柄はカートゥーンっぽいと述べましたが、マンガの中では要所要所で等身が上がった絵柄のコマが挿入されており、そちらも美人なお顔でとても好きです。特にししろんは肉食獣を思わせる剣呑なほほえみが描かれることが多いのですが、非常に好きです。まつげがちょっと多いとことか、口角から覗く犬歯とか、非常に素敵ですね。

 なお、本の後半にはししわたイラストのまとめページ、書き下ろしマンガ、さらにはMisaネキ先生とぶるー太先生によるゲストイラストも収録されています。これらも全部ししわた。徹底していますね。どれも可愛いですね。癒やされますね。ありがとうございます。

 秋にはオールキャラまとめ本の第2弾も発行予定とのことで、こたつさんはわくわくしております。冬コミが待ち遠しいですね。

「うちのわためはよくモテる」(書き下ろし)

 続いて「うちのわためはよくモテる」について。こちらは書き下ろしのモノクロ19Pマンガです。4コママンガ中心のまとめ本とは異なり、こちらは短編ストーリーマンガとなっております。

 あらすじは、わためぇが他のホロメンと仲良くしているのを見て、ししろんがメンヘラムーブするものです。これだけ書けばシンプルなのですが、ポイントは「あのししろんがメンヘラになる!?」という点です。

 ししろんこと獅白ぼたんさんは基本的にどんなときでも楽しそうに呵々大笑しながら配信に行う姿が知られており、同時に、ホラゲー配信では数々の恐怖演出にもまったく動じずに粛々と状況を処理することに定評があります。これらを踏まえると、精神的には非常に安定している人であるという理解が自然です。

 しかし、ししろんだって人間です。ときには弱っていることだってあるんじゃないか? いやあるはずだ。あるに違いない。あってくれ。ということで、「ししろんがヘラったら可愛いんじゃないか、可愛いですよね?」というテーマを描き出したのが、「うちのわためはよくモテる」であるといえるでしょう。

 タイトルの通り、わためぇは非常にモテます。ふわふわとした可愛らしい声、人当たりの良さ、自分の夢に向かってひたむきに努力をする勤勉さ。最近では、先輩である大空スバルさんをマイクラのゲーム内でイジり倒すプロレスのセンスも見物です。なのでJPを初めとして、EN(英語圏のグループ)やID(インドネシアのグループ)に至るまで、ホロライブではわためぇを中心として様々な交友関係が花開いており、ある意味ではししわたもそのひとつと位置づけられます。

 そうすると、他のホロメンと仲良くするわためぇを見て、ししろんはどう思うのでしょうか? 着眼点はここにあるわけです。普段はどっしり構えて、多少のことは豪快に笑い飛ばすようなししろんでも、もしかしたらメンヘラムーブしちゃうんじゃないか、そんなししろん可愛いよね。

 こたつさんが思うに、このマンガのハイライトは2カ所です。ひとつは、落ち込んだししろんがわためぇに対してむりやり作り笑顔を浮かべているところ(16ページ)。もうひとつは、そんなししろんにわためぇが向ける純粋で輝くような笑顔で応えるところ(19ページ)。こたつさんはこれらのシーンが本当にお気に入りです。弱っているししろんは可愛いし、純粋無垢でまっすぐなわためぇも可愛い。それらが渾然一体となって、最終的にはししわたてぇてぇの境地に至るのです。

 ししろんは精神的に安定しているという一般的な理解からすると、このマンガは新機軸を打ち出すものといえます。そしてその試みは、こたつさんの見るところでは成功裏に終わっていると思われます。こういうのもアリなんじゃないでしょうか。ええ、アリ寄りのアリです。

 ちなみに、途中でチョイ役で出てくる雪花ラミィちゃん(以下、ラミィちゃん)が、密かにツボだったりします。ラミィちゃんはししろんの同期生なのですが、もちもち先生のマンガでは、仲良くするししわたに嫉妬してメンヘラ化するというモチーフが度々出現します。こちらの本でも、ししろんの「あたしはモテます。とはいっても、友達的な意味だけどね」という独白に対して、「?」と疑問符を浮かべるラミィちゃんのコマがあり、非常に印象的でした。「ラミィのことは???」みたいな。目が怖いんよ。でも頑張れラミィちゃん。ししラミはきっとあります。どこかにあります。

 頑張れラミィちゃん。

おわりに

 ということで、もちもち先生のコミケ102新刊セットについて、縷々感想を述べて参りました。長くなってしまいましたが、それだけたくさんの魅力が詰まった本だとご理解いただければ幸いです。本稿執筆時点では、新刊セットも単品の本も在庫があります。みんなももちもち先生のマンガを読んで、ししわたてぇてぇに目覚めよう。

猫屋敷こたつ

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