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アタッチメント(愛着)と従業員の成長
重度障がい者社会支援フォーラムの実行委員として参加している関係で、参考図書のレジュメを作成するお手伝いをしています。
その中の書籍を1冊紹介します。
理由は企業での就業と教育に、とても参考になるからです。
「赤ちゃんの発達とアタッチメント」
著者:遠藤利彦 東京大学大学院教育学研究科・教授
出版:株式会社ひとなる書房
アタッチメント(愛着)の説明を簡単にしますと、子どもが親に「くっつく」ことです。身体的なくっつきから、生理的な安定、そして心理的な安心・安定があり、これを基として子供が発達・成長する、という考えです。
私たちがフォーラムを開く中で、障がい者の企業での就業が大きなテーマとなります。その就業には日本社会や企業側と、障がい者側の双方に課題があると考えられます。
本書では子どもの発達の段階における重要な要素としてアタッチメント(愛着)を研究した結果を、とても分かりやすく説明しており、愛着が人生において、どのような影響を与えるのかも事例として挙げられています。
つまり本書を用いて、今回は就業する側の課題を、赤ちゃんの時期からの発達から見てみよう、というわけです。
事例
○ペリー就学前計画
・アメリカでの実験。
・3歳から2年間、幼稚園に通い、初歩的な幼児教育を受け、親に発達や教育のあり方についての話し合いを持つ機会を持ったA群と、これらの介入を全く受けないB群に分け、子供が40歳になるまでの研究調査結果。
・介入を受けたA群の子供たちの方が成人後、より経済的に安定し、健全な市民として適応的な生活を享受できているケースが多いことが分かった。
・その差はIQなどの認知的能力ではなく「非認知的な心の力」であると主張している。
非認知的な心の力とは、自他に対する信頼感や自律性、共感性、心の理解のことで、アタッチメント(愛着)による影響は長い期間にわたり人生に影響を与えているようです。
子どもが外で冒険して、危機に瀕した時(転んだり、友達とケンカしたり)逃げ込んで、安心できる場として親が基地となること、心を癒して、また冒険しようとする心を育むこと、こうして子供の活動範囲が広がることが成長となる。
これを読んで、企業での職場がホーム(home)として機能し、従業員が元気に働ける原動力となる、という意味で共通しているように感じました。
子どもが親に何を言っても受け入れてもらえる様子を想像すると、Google社の研究による心理的安全性にも通じるように感じます。
もう一つ「大人が先読みして子供が不快感を覚える機会を少なくすると、自律力や感情を制御する力の発達を妨げるおそれがある。」とあり、子どもが不快な状況を自身で解決できたときにおこる自己効力感も重要であるとされており、
これも会社における、部下がミスを起こさないように先回りする上司が、部下の成長の機会を潰してしまっている事例と重なるように読めました。
発展する企業は従業員にチャレンジを奨励します。望ましい結果が出れば当然評価しますし、望ましくない結果が出れば、チャレンジ自体を褒める。望ましくない結果は再チャレンジすればよいのであり、諦めることなくチャレンジし続けることが発展の礎になるのですから、経営者や上司は子を持つ親のように従業員の成長を願って見守り続ける姿勢が求められるように思います。
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