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キラキラした六本木にダイハツの軽はいない #072

久しぶりに来た六本木は高いビルと人で埋め尽くされていて、とてもきらめいていた。イルミネーションを見るための渋滞につかまった。この太い道路は車で埋め尽くされているけれど、どれだけ探しても、ダイハツの軽自動車なんて1台も走ってなかった。

東京の、六本木だけでもこんなにも人がいるのに、なぜ自分の商品は広まっていないのか。東京に来るといつもそんなことを思う。めっちゃ可能性があるやん!という感情と、どうして届けられてないんだよ!という苦い感じ。

TV局の駐車場や受付では丁寧に対応してもらえた。個室の楽屋。メイクまでしてもらえて一瞬できらびやかな世界に入った。
番組のプロデューサーの方々との打ち合わせ。ゲストとして丁寧に扱ってもらえているという心地よさ。自分のコンテンツが認められているような感覚にふわふわした。

3分のプレゼン。楽屋でスタッフの方を前に初めて楽屋でのリハ。かみかみで失敗。急に不安になった。ちょっと待てよ、これを芸能人の前でやるのか…。それでも実際の舞台でのリハではかろうじて成功して、いざ本番。一発撮りの大勝負だったけれど、吹っ切れたからか100点の出来だった(はず)。あれだけ練習したからだろう、本番でも臆することはなかった。あのど緊張な舞台に毎日のように立っている芸人さんやタレントさんをあらためてすごいなと思った。

本番が終わり、ご一緒させて頂いた芸人さんたちに挨拶と「ふんどし」をプレゼントさせてもらいに楽屋へ。皆、(誰やねん?)と思っていただろうけど、丁寧に対応してくれて、受け取ってもくれた。なんて謙虚なんだろう。皆さんが活躍している理由を垣間見れた。

2本撮りの様子を楽屋のTVで観ながら、お弁当を食べる。でもあんまり喉は通らない。さっきからずっと考えてる

「なんでこんなにいいコンテンツを持っているのに広められてないんだ?」


東京にはこんなにもたくさんの人がいて、お金だってしっかり持っていて、しかもやっぱり疲れている人たちが多いはずなのに、なぜ自分の生み出したプロダクトやコンテンツは届いてないんだ?

ホテルに戻ったらTVで「情熱大陸」が始まった。今回はYOASOBIの2人。武道館でのコンサートの密着だった。ボーカルの女の子は15歳で勇気を出して公園の路上ライブを始めた。あの時、勇気を出して一歩踏み出した自分に「ありがとう」と言いたいと。もう一人の男性はほんの最近までバイト生活。好きな音楽で食べていけるなんて夢だと思っていたと。

恥ずかしいけど、10年前に起業したとき、「情熱大陸に出たい!」って本気で思っていた。公言もしていた。内緒だけどプロデューサーに手紙をふんどしも送った。周りからは(そのくらいの覚悟ってことねw)と思われていただろうけど、「ふんどし」を「FUNDOSHI」に変えることができたら、夢ではないはずだ。

数年が経ち、そんなことを言わなくなった。そんなの本当に活躍した人じゃないと無理に決まってる。芸能人でもプロスポーツ選手でもないんだから、日本中が熱狂するような一大ブームを作らない限り無理だ。「ふんどし」にそれを起こせるわけがないじゃないか。ちょっと賢くなってしまったのか、それがいかに難しいことなのか理解できるようになってしまった。「どうせ無理」って頑張りきれない自分を慰めていた。

「ふんどし」だけで生計を立てるようになってちょうど10年が経った。周りからどう思われてるか知らんが、奇跡だと思われてるだろう。冗談じゃない。全然イメージと違ってる。それでも不思議とやめようと思ったことはない。他に何もできないという理由よりも、この価値をしっかり広められないなんて勿体なさすぎる。10年前「宝の山を見つけた!」と興奮した瞬間を今でもはっきり覚えているし、とても残念なことに、その感覚が今でも全く濁ってないのだ。

これまでもいくつもメディアに出てきたけれど、昨日、特別キラキラした世界に一瞬でも参加させてもらえたことで意識を取り戻せた気がしている。百戦錬磨の彼らに自分のコンテンツの価値を、ちょっとでも認めてもらえた。もっとTVに出たいと思った。もっともっと出て、アピールして、ダイハツの軽になんて乗らない六本木の人たちも、実はみんなこっそり「ふんどし」使ってる、『ととのうパンツ』使ってる、ノーパンで履けるパジャマ使ってる、、そこを目指してやろうと、あらためて思った。

そういえば偉い人に「こじんまり考えるなよ。THINK BIGにやれよ!」って言われたことを思い出した。世界を変えるくらいの勢いと覚悟でやらずにどうする?
多分、色々バカなんだと思う。でも大義のあるバカが一番面白いとも思ってる。

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【中川ケイジ PROFILE】
プラスチャーミング代表。2011年よりリラックスウェアとしてのふんどしブランド『sharefun®(しゃれふん)』を展開。2021年7月、お風呂上がりから翌朝までノーパンで履ける『ととのうパンツ™️』をリリース。使う生地はmade in japan。商品の生産も全て被災地。発送は就労支援事業所に依頼するなど【関わる人が全員ハッピーになる循環】を目指し、日々正直なブランド運営に奮闘している。2015年子育てのために都内から茨城県水戸市に移住。講演多数。週3でサウナ。
著書
『人生はふんどし一枚で変えられる』(discover21)※全文無料公開中!
『夜だけふんどし温活法』(大和書房)

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