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なぜIKEUCHI ORGANICは「一寸帽子」への生地提供を了承してくれたのか?

大切なパートナー様のご紹介
「IKEUCHI ORGANIC」営業部長 牟田口 武志 様

一寸帽子を始める際、まず最初に考えたことは、赤ちゃんでも安心して口に入れられる安心安全素材が調達できるか、ということでした。贅沢かもしれないけれど、その企業がどういう未来を描いているのかが重要なポイントだったのです。
誰が生産した綿で、誰がどういう想いで紡いだ生地なのか。
育児を応援するブランドとして、子供の未来を見据えた生地でなければならない。

真っ先に頭に浮かんだのは「IKEUCHI ORGANIC」さん。
ある友人から勧められたタオルを使用するととっても心地よく、明らかに生活の質が変わった。そして会社として社会にどう貢献していくかが明確に打ち出されていた人気ブランド。こんなまだ始まってもいない「一寸帽子」に生地を提供していただけるとは思えませんでした。しかしダメ元でも想いだけはお伝えしたいと、共通の友人を通じて、牟田口さんをご紹介頂きました。

その後、牟田口さんはなぜ、まだ始まってもいない「一寸帽子」を応援しようと思ってくれたのでしょうか。プロジェクトリーダーの中川ケイジがお話を伺いました。

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なぜIKEUCHI ORGANICは、一寸帽子への生地提供を了承してくれたのか?

中川:
牟田口さん、今回「一寸帽子」プロジェクトにお力を貸しくださり、本当にありがとうございます。社内で反対はなかったのかずっと心配してまして…牟田口さん、大変な調整が必要だったのでは?

牟田口さん:
全然!そんなことはないです。

中川:
最初、「一寸帽子」プロジェクトの話を聞いた時に、どう思われましたか?

牟田口さん:
もともとは、共通の知り合いである友人との関係性が大きかったですね。
Aさんに紹介してもらって中川さんとお会いし、お話を伺った時点で、何か協力できることがあればしたいと思っていました。

「一寸帽子」というプロジェクト自体に共感したのには、いくつか理由があります。

ひとつは、我々IKEUCHI ORGANICでもベビー用品は販売していますが、あくまでも主力商品はタオルです。

ベビーブランドではないので、お客様からの細かいニーズにはどうしても答えきれないという課題がありました。

自分ごととして捉えて、お客様視点で「こういった商品がほしい」という想いがなければ、商品づくりはできませんが、友人が子育てをしている姿を見て、「育児を応援してくれるような商品があったら、もっと喜んでくれる家族が増えるのではないか」とも思いました。

「一寸帽子」の生まれる背景が、とても共感できたんですよね。

もうひとつは、中川さんのものづくりに対する考え方です。
中川さんが取り組まれている「sharefun®(しゃれふん)」に関してもそうですが、全体を通して生産者の顔がみえるものづくりを徹底していらっしゃいますよね。

弊社としても、その点は心がけているところです。
素材はオーガニックコットンにこだわり、誰がどういう風に関わって、どのような工程を経て日本に届き、商品化するのか。「つくっている人の顔が見えるものづくり」にこだわってきました。

弊社の理念である「最大限の安全と最小限の環境負荷」にも通じます。

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「70平米ほどの畑でバスタオル1枚分しか作れない」という現実

中川:
今回、あえて「製造上の工程で傷がついてしまった生地」を再利用させてもらっていますが、こういったご相談がIKEUCHI ORGANICさんへのご迷惑になっていたりはしませんか?

牟田口さん:
いえいえ、そんなことはないです。
生地の再利用については、弊社も常に考え続けていることなので、生地の有効活用ができるのは喜ばしいことです。

中川:
そういった、傷のついた生地自体も減ってきているのでしょうか?

牟田口さん:
そうですね、全体的な数は減ってきていますね。

中川:
傷のついた生地をそもそも出さない取り組みは、地球環境にとっても良いと思うのですが、そこにたどり着くまでには仕組みそのものを変えていったのでしょうか?

牟田口さん:
昨年、インドまで行って、実際にオーガニックコットンの畑を見てきた経験が大きく意識を変えてくれました。実際に畑を見て、丁寧に手摘みをしている現場を見てきて「70平米ほどの畑でバスタオル1枚分しか作れない」という話もインドに行く前から知っていたので、少々傷がついてしまったからといって捨てるという選択は、なかなかできません。

いかに素材を再利用し、無駄なく活用してもらうか。
自分自身の意識も高まり、目が向くようになってきた部分でもありますね。

中川:
それは、社内の共通認識でもあるのでしょうか?

牟田口さん:
そうですね。
元々、社内において「生地の再利用」については議論を重ね、取り組んできている課題でもあります。

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タオルは「消耗品」→「愛用品」へ その先にある未来

中川:
タオルって、誰かからの贈り物を使ったり、なんとなく誰かが買ってくるような……、消耗品としてしか捉えたことがなかったんです。

IKEUCHI ORGANICさんのタオルに出会ってからは、「革製品と同じような感覚で、タオルでも経年変化を楽しめるんだ!」って価値観が変わったんですよね。

一寸帽子の人形についても、噛んだり口に入れたりしてボロボロになってしまったとしても、その子が成人する頃までとっておけば、経年変化を楽しみながら、大切な思い出を振り返ることができる。
そんなプロダクトにしていきたいと思ってつくりました。

経年変化という部分から、IKEUCHI ORGANICさんなりのこだわりはありますか?

牟田口さん:
たくさんの人の手が関わってつくられているものなので、消費して終わりではなく、長く大切に使ってもらいたいという想いがあります。

弊社のものづくりの原点として、長く使うことを前提として設計しているんですよね。
購入した製品を実際につかうのはお客様自身。
数ヶ月ほどで風合いが変わってしまうか、5年10年経っても綺麗に保たれるかは、お手入れの仕方によって大きく差が出て。

その差に対して、弊社はお客様の課題を解決できないかなと考えていました。メンテナンスというアプローチを絶やさないことで、これまで消耗品と見られていたタオルを、大切な愛用品としてとらえて。丁寧に手入れをしながらつかうものだという意識も芽生えてきます。

そうなると、「新しいものを次から次へと買おう」というよりは、ひとつのものを長く丁寧につかおうという価値観に変わっていきます。商品自体に思い入れができるんです。
たとえば、大事なプレゼンの時などにも、IKEUCHI ORGANICのタオルを持っていこうというように、自分にとっての大切なシーンに合わせてくれるようになるんですよね。

一寸帽子も、お子様をはじめ、家族にとって手放せないものになっていくのではないでしょうか?

子供の頃の体験って、大きいものです。
小さい頃にどんなタオルを使ったかによって、好みの肌触りも変わってくるというのが、僕の仮説でして。大人になっても、体験として残っているんですよね。

中川:
嫌な質問かもしれませんが……。
商品って、お客さんに長く使ってもらうほど、商売には繋がりにくい面もありますよね。
その点については、どのように考えていらっしゃいますか?

牟田口さん:
日本人には、良いタオルを自ら選んで使っている人の割合が少ないと思っていて。
自分の意思でこだわってタオルを選んでいる人が、いったいどのくらいいるんだろう?
贈り物でもらってつかっている場合も多いかとは思いますが、ほとんどいないんじゃないかと。

そんな中、タオルそのものに対して、「古くなったら次から次へと買い換える」ものではなく、「ジーンズのように育てていく」という意識付けができたら、マーケット自体も広がっていくのではないでしょうか。
実際に、良いタオルにこだわって買っていってくださるお客様は、徐々に増えてきている実感があります。商品そのものの価値観を変えていくアプローチを続けていれば、そこには可能性しかない。

中川:
牟田口さんが入社される前から、そういった考え方や取り組みはあったんでしょうか?

牟田口さん:
形として確立はしていなかったですね。
店舗でお客様と話す機会を重ねていく中で、「タオルの風合いが時間が経つと変わってしまう」といった課題をよくいただいていたんです。

よくよく原因を突き詰めていくと、購入後のメンテナンスの仕方に改善点があることがわかったので、タオルを売るだけではなく、売った後のフォローに注力することにしたんです。潜在的なニーズとして既にあったものに着目しました。

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コラボレーションの条件について

中川:
コラボレーションをしていく上で、これやっちゃアウトですよ!などがあれば教えてください!

牟田口さん:
コラボやプロジェクトを提案されるときに、IKEUCHI ORGANICの理念に本当に共感してくれているかどうかは、シビアに見ていますね。

「IKEUCHI ORGANICさんは有名だからコラボしたい」という声も正直ありまして、そういった場合は上手くいかないんです。

会社の理念に共感してくれているか、ブランドのことを好いてくれているかどうかを重視しています。
それから自分たちの利益だけではなく、世の中の問題を解決したいという意義を持っているか、自己よりも利他精神があるかどうかも見させてもらっています。

会社のブランドを利用するのではなく、お互いがウィンウィンになるような、ブランドを育てていけるような関係性になれるかどうかが重要だと思っています。

中川:
コラボさせてもらった上で、しっかりと利益が出るかどうかももちろんですが、IKEUCHI ORGANICさんの売上に繋がるまでに時間がかかってしまうことを心配しています……。

牟田口さん:
そのあたりは、まったく懸念点としてとらえてなくて。
プロジェクトやクラウドファンディングもそうですが、ブランドを立ち上げて育てていくにあたって、半年から1年で上手くいくケースのほうが少ないと思っていて。
やっぱり、長く時間がかかる場合が多いんですよね。

無理のない範囲で、できる範囲でご連絡いただければと思っています。

中川:
ありがとうございます!そう言ってもらえるとありがたいです。
そういった考え方は、会社の文化として浸透しているのですか?

牟田口さん:
そうですね。会社としても、短い期間で結果を追い求めるような意識はあまりないです。
持続可能で、長く続けていくことのほうが大事ですからね。

中川:
ありがとうございます!
それでは、最後に応援メッセージをいただけますでしょうか。

牟田口さん:
ゆくゆくは、一寸帽子をつくるために生地を生産するのが理想です。
日本を代表する赤ちゃんブランドに育って欲しいと願っていますし、そのお役に立てるのが一番嬉しいことですね。
クラウドファンディング、頑張ってください!

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【Profile】牟田口 武志 さん

IKEUCHI ORGANIC株式会社 営業部 部長/タオルソムリエ
大学卒業後、映画制作会社に入社。その後エンタメ系企業、外資系企業を経て、2015年にIKEUCHI ORGANICに入社。地方の中小企業の魅力に目覚める。 「イケウチな人たち。」の発起人。

Twitter https://twitter.com/MUTAGU
note https://note.com/mutagu
IKEUCHI ORGANIC https://www.ikeuchi.org/
「イケウチな人たち。」https://ikeuchinahito.com/

編集後記

お名前だけは以前から存じ上げていたIKEUCHI ORGANICさん。今回、インタビューの場へ同行させていただいて、改めてIKEUCHI ORGANICさんのタオルの魅力を実感しました。IKEUCHI ORGANICも、一寸帽子も、中長期的なビジョンの元で丁寧につくられているプロダクト。人の心を掴まないわけがないと信じています。そんな思いを持ちながら編集させていただきました。最後までお読みいただければ幸甚です。

編集:ゆうゆう


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#一寸帽子クラファン日記 32/47

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