文系でもわかる、断酒会がイカにワケわからんか

断酒会について統計学を用いて、如何にここらで用いられてる数字が当てにならないワケのわからない事象なのかを算数で証明してみようと思います。

(以下は各都道府県の具体的な数字が頻繁に出て来ますので、「へぇ」くらいの気持ちで流して読んで下さい。)

統計学を、いわゆる「お客様満足度」などという曖昧な指標を頼りに商品を選ぶ風潮や、「文系は計算ができない」、「文系は理系になれなかった人間だ」といった偏見から解放し、断酒会の統計データを基に計算を行うことで、文系の価値を証明したい。そもそも、文系とは人文科学や社会科学の総称であり、物事を考えるための国語を使いこなす文系こそが、科学の基礎なのではないか。

それは置いといて。
まず、統計学には「ゴミデータを入れれば、ゴミしか出てこない」という格言がある。モデルとなるデータ(母数)に偏りがあったり、計算が少しでも間違っていたりすると、有益なデータは決して得られない。恣意的な分析によって、実際には存在しない相関関係が発見されたり、重要な結果が歪められたりすることも多々ある。しかし、それゆえに統計データはしばしば使用者や支配者に都合の良いように操作されることがある。

以下は「全日本断酒連盟」からの統計データの引用である。
まず前提として、日本には約109万人のアルコール依存症者がいるとされる。断酒会は断酒継続の基本となる日常の活動であり、全国で年間「約1,600カ所」で「約40,000回」開催され、「約60万人」が参加しているという。
これを聞いた瞬間、「なんのこっちゃ」と思うかもしれない。しかし、このデータが本当なら、実感としては凄まじい数だと感じる。そこで、このデータを基に計算してみよう。なお、途中の計算は極端な仮定を含むが、最終的には実用的な数字に落とし込むことで、統計の歪みを明らかにしていく。

断酒会の数と開催頻度の計算

まず、都道府県ごとの平均値を求める。
1つの都道府県あたりの断酒会の数は
1,600カ所 ÷ 47都道府県 ≈ 34カ所
1つの市区町村あたりの断酒会の数は
1,600カ所 ÷ 1,741市区町村 ≈ 0.92カ所
(「カ所」と表現するのが正しいかどうかはさておき)

次に、開催回数を計算する。
年間40,000回の会合が全国1,600カ所で開催されるため、
1カ所につき 40,000 ÷ 1,600 = 25回
ここで、「近似値」ではなく「ちょうど」25回という数が出てくることに違和感を覚えるが、逆算して算出された値なのだろうか。

さらに、会合の開催頻度を求めるために365日で割ると、
365日 ÷ 25回 ≈ 14.6日(約2週間に1回)
また、1カ所あたりの年間参加者数は 600,000 ÷ 1,600 ≈ 375人 となる。
ここで疑問なのは、同じ人の重複は数えない前提なのかどうかである。

まとめると、

あなたの住む都道府県には平均34カ所の断酒会がある。

ほぼすべての市区町村に1つずつ断酒会がある計算になる。

しかし、それらの断酒会は2週間に1回しか開催されない。

年間375人が1カ所に参加する。

つまり、毎日約1,600人が新しく断酒会に加わり、同数の人が去る。

1回の会合には平均25人(小学校の1クラス分くらい)が参加するが、毎回新顔で構成され、以降は二度と現れない。

会合の実態を考える

さて、統計学的な視点からこの会合を見てみよう。
25人が集まり、19:00になった瞬間、1人が体験談を話し始める。そして、間髪入れずに次の人が10分間話し続ける。この流れを25人が繰り返せば、最短で250分(4時間10分)を要する。挨拶や雑談なしでこの時間である。
もし会長の挨拶や帰り際の雑談が含まれれば、会合は日を跨ぐ可能性すらある。しかもこれを2週間に1回、一生続けなければならないと考えると、かなりストイックな活動だ。

公式データの再計算

「全日本断酒連盟」の別のデータによると、全国には約540の地域断酒会が存在し、会員数は約6,400人だという。
この数値をもとにすると、

1つの都道府県あたりの断酒会数は 540 ÷ 47 ≈ 11.5カ所

1つの市区町村あたりの断酒会数は 540 ÷ 1,741 ≈ 0.31カ所

先ほどの34カ所から11.5カ所へと3分の1程度に縮小し、60万人いた参加者が6,400人へと約100分の1に減少している。
これは、統計の取り方次第でデータが大きく変わることを示している。

統計の歪み

また、日本各地の人口や市区町村の数を考慮すると、さらに統計の信頼性が揺らぐ。
たとえば、北海道の市区町村数は全国の約10.3%を占めるが、人口比率は約4.1%にすぎない。一方、富山県は全国の0.12%の市区町村数しかないが、人口比率は**約0.81%**ある。
単純に割り算して平均値を求めるだけでは、こうした偏りを考慮できない。

また、東京都の人口は約1,400万人(全国の約11.3%)、鳥取県の人口は約54万人(全国の約0.44%)だが、市区町村数の倍率は東京都が3.26倍、人口は26倍であり、相対的な比重の違いが統計に大きな影響を与える。

まとめ

統計学の観点から見ると、断酒会の効果についての結論には慎重な検討が必要である。
データの信頼性や選択バイアスを考慮せずに結論を出すと、誤った印象を与えかねない。断酒会が多くの人にとって重要な支えとなっていることは事実だが、統計データの取り扱いには注意が必要である。

また、文系が計算できないという偏見は誤りであり、統計の基礎を理解することで、データの恣意的な操作を見抜く力を持つことができるのではないか。

いいなと思ったら応援しよう!