毎日ナナしゃん ~After Story~ (146)
※この記事は重大なネタバレを含みません
意識が朦朧とする。
助けを呼ぶか? いや――
キョウヤたちはすぐ近くで控えているはずだ。鶴岡が外に出てくるのを見て、来てくれるかもしれない。いずれにせよ、この足で立って歩くのは不可能だ。
銃弾は貫通している。摘出の必要はない。私は撃たれた足にハンカチを押し当てる。
傷口が擦れ、激痛が走る。その痛みが、私の記憶を攫った。
ミチルを庇い、鶴見川レンタロウに刺された。傷口は抉れ、骨に衝撃が走る。
あの時に比べれば、どうということはない。あの時に比べれば――
出血が止まらない。
助けを求めた手が、空を切る。
私は一人だった。
ずっと一人だった。一人でも平気だった。
だから、こんなにも一人が辛いはずがなかった。
視界がぼやける。
目を閉じる。
指先に触れる。
誰かが、私の名前を呼んだ。
つづく
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