
毎日ナナしゃん ~After Story~ (107)
※この記事は重大なネタバレを含みません
結論から言うと、全て話した。
私が知っていること。島に来る前に鶴岡から訓練を受け、暗殺者として送り込まれたこと。
クラスメイトを殺したのは、私であること。
人類の敵などとおいうものが、存在しないこと。
能力者こそが、人類の敵と呼ばれていること。
そして――私がかつて、ミチルを殺そうとしたこと。
ミチルはどこまで知っているのだろう。あるいは、全て知っているのかもしれない。
涙は出なかった。私が許しを乞うような話でもない。だがミチルは、淡々とそれらを語る私に対し何も言わず、時々頷きながら聞いてくれた。
私が口をつぐむと、ミチルはぎゅっと私の肩を抱き寄せた。
「分かります。仕方なかったんです。両親を失ったナナしゃんに、何もできることはなかったんです」
唇を強く噛む。乾いた皮膚が割け、鉄の味がした。
私は机に突っ伏す。
話した。
話してしまった。
なのにどうして、この少女は怒らないのだ。
そうして、いつの間にか私は眠ってしまっていた。
気が付くと朝だった。カーテン越しに差し込む日差しに、目を細める。
六畳ほどのスペースに、テーブルが一つ。
誰かが、部屋の扉を叩く。
ミチルの姿は無い。私は扉を開いた。
そこに立っていたのはミチルではなく、私のよく知る人物。
「こうして合うのは久しぶりだな、柊」
「……鶴岡さん」
つづく
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