毎日ナナしゃん ~After Story~ (141)
※この記事は重大なネタバレを含みません
中島の能力の影響が外れる。
身体の硬直が解け、力が抜ける。モエ以外の全員が、その場に膝をついた。
「柊。お前の要求はなんだ?」
「要求……」
言いたいことは、山ほどある。
ミチルは目の前にいる。今更、鶴岡が再び彼女を懐柔することは無いだろう。
だとすれば、私達の真の目的は何だ?
生徒たちを、その能力から解放することだったはずだ。
橘ジンの力で、彼ら能力者を集めることには成功した。だが、その先はどうだ? いくら橘ジンが最強の能力者で、あれほどの設備を用意できるほどの力があったとして、私達が生きている間に目的を果たすことはできるのか?
――それは、きっと不可能だ。
だとしたら、私がすべきことは一つ。
「鶴岡さん。大事な話があります」
「……ほう」
私は振り返る。皆が、私の背中を見ていた。
「……皆さん。すみませんが、鶴岡さんと二人にしてもらえませんか。大事な話があります」
「柊。お前さんがやろうとしていることは概ね見当がつくが、俺達が部屋を出た瞬間撃たれた、なんてことにはならないだろうな」
キョウヤの言うことはもっともだ。しかし、私にはそうはならないという確信があった。
なぜなら――鶴岡の目的は、私を殺すことではないからだ。
「鶴岡さん。銃を捨てて下さい。それと同時に、皆には部屋から出てもらいます」
「……良いだろう。柊、いい目だ。流石、おれが仕込んだだけのことはある」
つづく
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