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忘れてしまう前に1
あの日あの時、もうそろそろ、兄ちゃんが帰ってくるから寝ずに起きていたんだよね。
そんな時に相方の電話がなった。
「知らない番号からだ」
そういって、出ない相方。
こんな夜中に迷惑電話?
なんか違う。
なんか違うでしょ!
「この時間の知らない番号は、出たほうがいいんじゃない?」
相方の顔が、ムスッとした。
間髪入れずにまた電話が鳴る。
渋々電話に出た相方の顔が変わる。
普通じゃない。
何があった?
既に両方の親はいない。
まじかぁ。
ついに我が家にもきたか。
それは、ある意味、どこかで覚悟をしていたことだったような気がする。
大した大事がなく、平和にすぎている我が家が不思議なぐらいに、大事を抱えている親戚が多すぎたから。
平和すぎて幸せすぎて、逆に不安になる時すらあった。
遂に、その時が来た。
妙に冷静な自分がいた。
2024年6月5日深夜11時30分に、相方の電話が2度なった。
2度目に渋々出た相方に告げられたのは、長男36歳の脳出血と搬送先の病院名。
搬送先に連絡を入れると、今来てもどうしようもない。翌朝9時にくるようにと。
流石に、眠れぬ長い一夜になった。
某コンビニ店長だった兄ちゃんは、その日、仕事が終わり次第、実家である我が家に帰ってくるはずだった。
もうすぐ終業時間という時に、倒れたらしい。
2人体制の時間だったこと。たまたま来たウォルトの配達員が病状を冷静に判断できて、直ぐに救急車を呼んでくれたこと。
店の直ぐ裏が脳神経外科の病院で、さらに、素早い判断で、より設備の整った病院へ転送してくれたこと。
もしもし、仕事後の運転中だったら、大きな事故になっていたかもしれないし、他人様の人生まで変えてしまったかもしれない。
また、翌日が休みだったから、仕事終わりでアパートに帰ってからだったら、そのまま、誰にも気づかれずに‥‥だったかもしれない。
涙が出るほどに、不幸中の幸いだったのだ。
ある日突然に、ドラマの中に引き摺り込まれるのだ。
同じ朝が来る保証はない。