#139 思い出がなくなっていく
こんにちは、鏑木澪です。
実家の工業用ミシンを何台か処分するというので、手伝いをしました。
どうも、怪力女です。←
(私はよく知らないのだが、普通に100キロ近い重量らしい)
私は幼い頃、工場でミシンの音を聞いて育ちました。
事務作業用の机の下に秘密基地を作って眠ったり、勉強したり、折り紙やお絵かきで何かを作ると祖母がそれを工場に飾りたがるので、今でもあの場所だけ時間が止まったように昔のままでした。
私はある時期から、ミシンの音がとてもうるさく感じて、頭痛もするようになってしまったので、工場には行けなくなりました。
大学を卒業して実家に戻った時に久しぶりに工場に足を踏み入れると、ミシンの配置が変わっていて、戸惑いました。
それでも、私の書いた下手くそな絵や大量の折り紙、アイロンビーズで作った顔のついた林檎(?)とか、そういったものはそのまま飾られていたのです。
私はここで育ったんだなぁ。
かれこれ私が生まれてからでも20年以上経ちますから、それより前から使われていた工場にあるものは、みんな私の歳上で、少しずつ寿命がきているようです。
そろそろ、床も抜けそうで、、、←
(ママ! 釜の底が抜ける!←)
なんだか、「帰るところがなくなるんだな」みたいな気持ちになります。
またひとつ、思い出が指からこぼれ落ちていったな、と。
トラックに積まれたミシンを見ても、涙は出なかったけど、「あの子たちとはもう会えないのだな」と思いました。
私が使い方を知っている工業用ミシンは2種類だけで、今日お別れした子たちは使ったことがないし、使い方も知らないのだけど、どんな音のする子だったか、誰がどんなふうに使っていた子だったかとか、祖母から聞いた話とか、少し朧げではあるけれど、覚えています。
いなくなった子たちのぶんだけ広くなった工場が、なんだか寂しいです。
ま、生きてりゃよくあることよね!ッ
「思い出は心の中に」なんてセリフを聞くことがありますが、私は記憶力が乏しいもので、思い出に関連する”モノ”がないと忘れてしまっていることが多々あります。
(「心はどこにある?」と聞かれたら、頭を指したくなるタイプ。気がついたら手は胸にいっているかもしれないけど←)
ですから、思い出の品はできるだけ残しておきたい人間です。
曖昧なものより、形があるほうがいいなぁ。
ものによるのでね、形どころか言葉にすらしてくれるなと思うこともありますから、つくづく私は身勝手な人間だと思います。
カナシイネ!ッ
ちょっとテンションが行方不明なので、このあたりで終わりにします。
ではでは〜
18,7
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