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きらりん☆レボリューションという魔法
に、かけられてここまできた。
『きらりん☆レボリューション』は当時小学校低学年だった私にとって、
女の子の夢のすべてが描かれた夢のような話だった。
14歳の普通の女の子、月島きらりちゃんが、ひとめぼれした2人組男性アイドル『SHIPS』の
星司くんにお近づきになるためにアイドルを目指す、という話。
(好きすぎて何も調べずに書いたがアイドル名も星司くんの名前も漢字も合っていた、よかった)もう20年前の記憶だ。
凄いんだ、これが。まず絵が可愛すぎる。
目が大きすぎて父に笑われたし、今見たらこんなに大きかったのかと私も驚いてしまうくらいだが、当時の私にはものすごく輝いて見えたのだ。本当に本当にかわいい!
(ここからは作中の思い出話)
写真集を出したり舞台に立つためにいろんな衣装を着るきらりちゃん。ふわふわのスカートやドレスやウェディングドレスのような服、水着の撮影もある。生放送への出演が決まったり、恋愛ドラマの撮影をしたりする。覚えてる。大好きだったから。生放送11:00~とスケジュール帳に書いていたが、アイドルになりたいきらりちゃんそっくりの嵐くん?という男の子がきらりちゃんのスケジュール帳の11:00に線を書き足して14:00~にして、きらりちゃんのふりして内緒で生放送に出ようとするみたいなシーンもあって、自分でコピー用紙に11を書いたのを14に書き換えてみて「ほんとだ!14に書き換えられる!」と真似した。大人になって仕事の書類で間違えた1を無理やり2にするみたいな書き方をよくするが、それを人生で初めてやったのがこの瞬間だった。
ドラマの撮影の話もよく覚えている。きらりちゃんのキスシーンを撮ることになり(大事件である!)相手役が憧れのSHIPSの星司くん……ではなく、なんと星司くんじゃない方、ぶっきらぼうで口の悪い黒髪の宙人(ひろと)なのであった!小学生だった私はきらりちゃんが大好きだったため、ファーストキスが星司くんじゃない(好きな人じゃない)かも、ということがショックでたまらなかったのだ。しかし!ドラマで教室の窓際でのキスシーンの撮影になったとき、キス寸前で宙人がアドリブでカーテンをバッ!となびかせた。
「こうした方がキスしてるシルエットが映っていいんじゃないか」みたいなことを監督たちに言っていた。そしてきらりちゃんにこう言ったのだ。
「ファーストキスは本当に好きなやつのためにとっとけ」
宙人~~!泣泣 私は最初、かわいいきらりちゃんをいじめる宙人が無理すぎて、やさしい星司くん早く出てきてきらりちゃんを喜ばせてくれよと思い続けていたのだが、このシーンを見て本当に宙人のことが好きになった。
……と、20年経ってもこんなにシーンをいちいち覚えているし、そのとき自分がどんな気持ちだったのかをすぐに思い出せる。小さいころの自分と話している気分である。
かわいい服を着て、初めての芸能界のさまざまな試練に明るさをもって挑み続けて、泣いたり不安になったりもして、それでも最後は笑顔を忘れないきらりちゃんは私たちの憧れだった。きらりちゃん、私たちのそばにいてくれてありがとう。その明るさで照らしてくれてありがとう。
『ちゃお』の表紙はほとんどいつもきらりちゃんで、私と姉はきらりちゃんが表紙になっているとき、A4のコピー用紙を持ってきて表紙の上に被せて、透けたところを鉛筆でなぞってきらりちゃんの絵を描いていた。
描くのに夢中になると自分の頭が陰になって表紙のきらりちゃんが透けて見えなくなってしまうので、頭をできるだけ遠ざけて描いていた。
出来上がると中原杏先生が描くきらりちゃんになった。
自分にもきらりちゃんが描けた。
ものすごくものすごく嬉しかった。
あなたのおかげで絵を描く楽しさに目覚めました。
きらりちゃん、私あなたにいろんな場所に連れていってもらいました。
あなたが楽しそうにアイドルをやっている姿に力をもらいました。
自分もきらりちゃんみたいになんでもできると思えました。
きらりちゃんみたいになりたいと思いました。
だからヘアアレンジもマニキュアも興味がわきました。
ビースでブレスレットを作ってきらりちゃんごっこをしました。
なんでも、なんでもやりたいと思いました。
ありがとう。
毎月、父にねだって『ちゃお』を買いに本屋へ連れていってもらい、
袋や帯を必ず断って、バンドも外してもらいすぐに読める状態で駐車場へ帰る。
待ちきれなくて駐車場でちゃおを開いては、何度も父に危ないから車についてからにしなさいと叱られた。
待ちきれない。
ワクワクしてたまらなかったのだ。
幸せだった。幸せな思い出のひとつとなってくれてありがとう。
きらりん☆レボリューションという魔法にかけられて
ここまできた。