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お獅子に齧ってもらいましてん
今まで神楽にあまり知識がなかったけれど、最近「旅するカミサマ、迎える人々」という「伊勢大神楽」に関する展示をギャラリートークとともに見た。(@大阪大学中之島芸術センター)
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興味を惹かれたのは伊勢大神楽が「家廻り芸能」としてパフォーマンスの舞台が民家や店舗であるというところ。長持にさまざまな道具を詰めて一年中各地(主に本州西部)を旅から旅へと移動し一軒づつ回っている(回檀という)そうだ。かつては伊勢神宮の歩く広告塔としてそのお札を配って回り、その獅子舞を拝めば伊勢参詣に代わる功徳があると人々に有り難たがられたらしい。現在は伊勢神宮とは無関係になっているものの、一部の地域で今なおその信仰と歓待が続いている。
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それぞれの家に着くと仏壇や神棚に祈り、庭先で獅子舞・曲芸・漫才などの芸能を演じ、お札を授け、家の主はお米や初穂料をお渡しする。地域によっては集落の神社に人を集めイベント的に見せることもある。毎年ほぼ決まった場所を訪れるから顔馴染みの人も多い。
昔話のようなこの文化が今の世にも受け継がれてなんと偽物まで横行しているという。「本物」は現在5組で国の無形民俗文化財の指定を受けているが、偽物はブランド物のコピー品のように名称を一部だけ変えて本物が着く前に回檀するらしい。おそらくビジネスとしても成立しているということだろう、よく言われる伝統芸能や過疎地の祭りの後継者不足とは違う安定感だ。展示会場では伊勢大神楽の道具、楽器、装束のほか四国に伝わる阿波木偶回しの人形なども見ることができた。どれも全然知らないことばかりで面白かった。
一度はこれをナマで見たいものよのう〜と思いつつ帰路につき何気なくSNS 見ていたら、その2日後に「カフェ・キクヤガーデン」さん(大阪市阿倍野区)の周年イベントに伊勢大神楽来たる!とのポストが。なんというタイミング!いそいそと出かけた。
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その日は約1時間、路上で2頭の獅子のダイナミックな踊り、バチや剣の曲芸、絶妙の掛け合い漫才、華やかな花魁道中などをカフェのお客さんや近所の人、通りがかりの子供たちと楽しんだ。ごく普通の現代の住宅地で電柱や電線もあるし時折自動車も通るのだが、大勢の人々と一緒に笑いながら手拍子を打っていると400年前にこれを見ていた人々の気持ちがわかる気がした。自分はあまり信心深くないけれどこのようなおおらかさと朗らかさに尊さを感じる。いただけるのは奇跡とかじゃなく普段の元気とか安心なんじゃないかな。生まれて初めてお獅子に頭を齧ってもらって忘れられない日になった。
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後で会のHP見たらお札やお守りもひとづつつ社中の方々で作られているそうだ。パクパクできるお獅子の紙のお守りかわいい。ほんのりと来年はいいことありそう。