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フェアアイルの世界

フェアアイル。
イギリスの北海に浮かぶ小さな島ですが、この島を知ったのは、昔、母が持っていたNHKの『世界手芸紀行』の本でした。

NHK世界手芸紀行①~ニット・レース編

発売は平成元年となっていますから、当時としてはかなり珍しい題材を取り上げていたものだと思います。
今では、「フェアアイル柄」もすっかり冬のファッションの定番となりましたけれどね。

この本で「フェアアイルセーター」という言葉に出会った人も、少なからずいらっしゃったのではないでしょうか。
厳しい自然の中で海藻をみ、寒風に晒されて育つ羊達の毛は、一見するとごわごわして固そうに見えます。

ですが、シェットランドシープの毛足は繊維が長く、保温性に優れています。
日本でシェットランドシープの羊毛を原材料とする毛糸を手に入れるのは大変ですが、実際に手に入れて触ってみると、明らかに他の羊毛とは手触りが違います。
がさっとした手触りではありますが、暖かく軽やか。この羊毛で作られたフェアアイルニットは、(虫食いさえ防止できれば😅)何年でも利用できます。

そんな憧れを抱かせてくれたNHKの本は、中学生の胸をときめかせてくれました。

永遠のフェアアイル・セーター~遥かなるシェットランド島からの贈りもの


そして、その後地元の某デパートの手芸コーナーで見つけたのが、「永遠のフェアアイル・セーター」。

今でも私のバイブルのような存在で、あまりに利用しすぎて、本はボロボロ(笑)。一部、PDFにしてありますが、できれば復刻版が出てくれないかな~と望んでいるのです。
本格的にフェアアイルニットを編むようになったのは、この本の作品からです。

半数以上のパターンは作ったと思いますが、中でもイギリスから「シェットランドシープ」の毛糸を取り寄せて、再現したのは「セント・アンドリュース」という作品。

ジョージ8世

フェアアイルニットは、このジョージ8世がゴルフウェアとして着用した肖像画がきっかけで、世界的に人気が出たのだとか。
その肖像画の作品をモチーフにしたのが、このカーディガンです。

見た目からはわかりにくいですが、確か、15~16色の毛糸が必要で、色選びが大変だった記憶があります。
茶色一つにしても、3種類くらいの「茶系統(キャメル、エスプレッソ、モカというロマンチックな名前でした)」の毛糸を選ぶなど、こだわり抜いて編みました。

全て手編みです。糸の渡し加減は、ある程度慣れがないと難しいかも。

色数が多いので、東京に遊びに行く折にたまに立ち寄る、こちらのショップで、真夏に山程毛糸を買って帰りましたっけ(笑)。
スワッチ(試し編み)用の毛糸を買い求めに行くことが多く、ここで買い求めた毛糸でスワッチを編み、バランスを見ます。

その後、ロンドンにある「ユーロ・ジャパン・トレーディングカンパニー」というショップに商品を注文する、というのがお決まりのコースでしょうか。

ちなみに、ロンドンにあるお店ではありますが、日本人が経営しているショップなので、やり取りは全て日本語です。決済も、日本円。
でも、メールの届く時間が日付が変わる頃だったりするところが、海外っぽいなあと思います(9時間の時差がありますもんね)。

日本でシェットランドシープの毛糸を入手するには、このお店を利用する人が多いようです。
英語が堪能な方であれば、代理店でなく直接「ジャミーソン」等と英語でやり取りして、クレジットカードなどで決済しているようですが、私には無理😅
でも、海外から取り寄せるだけの価値はあります。

シェットランド・レース 棒針で編む伝統のレース


こちらは、音楽家でもある「嶋田俊之」氏の著書です。
上記2冊が「フェアアイルニット」、多色の毛糸を使った編み込みニットの作品を扱っているのに対し、こちらは「シェットランド・レース」の作品を扱っています。

でも、元は同じ「シェットランドシープ」なんです。
同じ「シェットランドシープ」なのに、がらっとイメージが変わるので、それもまた楽しいですし、不思議でもありますね。

が、難易度はこちらのほうが遥かに難しい^^;
いわゆる「透かし編み」の技法を駆使して「レース」っぽく仕上げるのですが、手元にカウンターを置いて、「掛け目」やら「減らし目」やら、とにかく綿密な計算と根気が求められます。

こちらは「ジクザグ」という作品。「ジェミーソンズ」の「Surf」という色を使用しています。
※余談ですが、ジェミーソンズの毛糸は色の名前がロマンチックで、色名を読んでいるだけでも楽しい😊

本当は、ちゃんと水通ししてピン打ちをし、整えて撮影すればよかったのですけれどね。
この作品は比較的太番(とは言っても、日本の基準だと中細くらいの糸)で編んでいるので、日常生活にも利用しやすいです。
糸の太さの割に軽く丈夫、かつ日常使いしやすい作品なので、割と私のお気に入りの作品です。

こちらは、本の表紙にもなっている作品です。
「小さなビーズとシダ模様&小窓に小さなビーズと網模様」という名前が付けられていました。
使用した糸は、ジェミーソンズの2プライのレース糸。「ピーチ・メルバ」という色でした。桃のシャーベットのイメージでしょうか?
上の写真のうち、一番左の糸が使用した「レース糸」です。
(他の2つは、もう少し太い別の糸)

レース糸と言っても、日本で売られている「レース糸」(そもそも、毛糸ではなく木綿や麻が材料です)ではなく、超極細の毛糸です。


シェットランド・レースは基本的にガーター編みで編み進めるのですが、典型的なシェットランド・レースの作品かな~と感じましたね。

これもしまい込んであったので、シワが^^;
ちなみに本の写真では、こんな繊細な作品に仕上げられていました。

そして、今まで一番の大作がこちら。

バックがイマイチですが、昔作った時の写真が残っていました。
多分、この本で一番難易度が高いのが、この作品ではないでしょうか。
黒の極細の糸で編んだものです。
これは国産の毛糸(多少シルクが入っている糸)で編みましたが、ボーダーパターンが、難しかった。
3ヶ月くらいかかった記憶があります。

ピンぼけしましたが、拡大するとこんな感じです。目を落とさないように編み上げるのが、本当に難しい。

私が使用したのは若干太めの極細糸ですが、本の指定では1プライという、世界でも類を見ない細さの糸が指定されています。
その昔、シェットランド・レースはウェディングベールにも使われて、そのベールはマリッジリングを通すほど繊細な糸で編まれたのだとか。
さすがにそのような極細糸で作る根性はないですが(苦笑)、嶋田先生の写真を拝見すると、マリッジリングのエピソードも納得できるのではないでしょうか。


そんなわけで。
クリスマスシーズンらしく、愛用したニット本とそれを元に作った作品を、メディアパル様のアドベンターに合わせてピックアップしてみました。

追記:「メディアパル」さまのカレンダーには「毛糸だまの魅力について」で登録してたのを、すっかり忘れていました😅
まあ、手編みの世界では「毛糸玉」は欠かせないですしね。
タイトルに偽りはない……気がします(苦笑)。



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