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【闇広告物語】喫煙者大号泣、タバコ税0円!600→124円の新型タバコ大ヒット!
この物語は、投稿主がネットで見つけた怪しすぎる広告のタイトルをもとに、勝手に作ったものです。
タバコ大革命
「タバコ税…なんとゼロ円!!!!!」
駅前広場の巨大スクリーンに、最近見なくなった芸能人がそう叫ぶ広告が流れると、一部の通行人の足が止まった。
画面には金色の文字でこう書かれていた。
「新型タバコ『スモーク124』、あの時代を取り戻せ!!」
約半年前
株式会社リバティスモークの社長・山下修一は、自社の新製品発表会で堂々と宣言した。
「タバコ税を完全にゼロにすることで、我々の自由を取り戻します!」
その答えは「成分」にあった。「スモーク124」は、タバコ葉を使わず、人工的に作られたニコチン蒸気を特殊なフィルターで加工した製品だ。法律の盲点をついた開発によって、見事に課税対象から外した。見た目も味も、従来のタバコとなんら変わらない。なのに販売価格はわずか124円──税の差でしかないのだが、一般的に流通している現在のタバコの5分の1とは衝撃だ。
山下は想定内と言っていたが、やはり最初は疑う声が大きかった。
「この会社絶対反社とつながってるだろ!」
「絶対普通の方がうまいし、身体にもヤバいってコレ。」
販売から二か月ほどは、悪いイメージだけが先行して、売り上げは伸びなず、「なんとかなる」と楽観的だった山下も次第に顔が曇り始めていた。
それでもなんとか我慢して、赤字の中でも宣伝に多額の費用をかけ続けると、次第に風向きが変わり始めた。
特に大きな着火剤となったのは、人気の愛煙家芸人がYouTubeで「スモーク124」を勝手に取り上げ、これを絶賛したことだった。
一度火が付いた「スモーク124」はもう止まらない。
たくさんのインフルエンサーのレビューによって、一定の品質が保証された「スモーク124」は、ただただ異常に安い最強のタバコでしかなくなったのだ。
成功の裏で
爆発的な売上により、リバティスモークの利益は膨れ上がった。
一方で、喫煙者が急増したことによる問題も表面化してくる。喫煙所不足や、タバコのポイ捨て増加が社会問題になり、公共の場ではトラブルが頻発した。
この事態を受け、山下は行動に出た。「スモーク124」による利益を投入し、全国に喫煙所を新設。清掃会社も新たに設立した。
「タバコ文化を守るためには、喫煙者各々の責任ある行動が必要です!」
と語る山下の姿に、世間の評価は軟化していく。
ただ、もう一つ大きな問題が発生していた。
禁煙外来を訪れる患者数は増加の一途を辿っていた。
安価で手に入るようになってしまったゆえにニコチン依存症に苦しむ人々が増加した。
多くの街で、禁煙外来専門の病院が次々にオープンしていった。
真実
山下は黒塗りの高級車の後部座席で葉巻を吸っていた。窓からは、自社が新たに設置した喫煙所が見える。そこには肩をぶつけ合いながら「スモーク124」を吸う人々の姿があった。さらに喫煙所の外には長蛇の列までできていた。
山下はニヤニヤしながら、助手席に座る部下の経営戦略室長に声を掛ける。
「おい、次の病院の増設計画はどうなってる?」
彼はタブレットを操作しながら答えた。
「先月オープンした○〇駅前店も常に予約いっぱいなので、早々に増設を計画しています。」
山下は満足げに葉巻の煙を吐き出した。
「そりゃ結構。」
窓の外では、笑顔で喫煙者たちが次々とスモーク124に火をつけていた。
山下は出荷前の家畜を見るような目で見ていた。
「この辺にもう一つ…いや、二つくらい作ってもいいんじゃないか?」
終わり
(この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。)