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20/21プレミアリーグ 第2節 チェルシーvsリバプール

現地時間9月20日、開幕戦リーズから勝ち点3を奪ったリバプールは第2節でいきなり大一番、スタンフォードブリッジでチェルシー戦に臨む。リバプールにとって、リバプールファンにとってこの1週間はとても満足できるものだった。ワイナルドゥム残留がほぼ決まったこと、そして何よりチアゴの交渉が一気に進展し契約を結んだ。さらには、ウルブズからジョタの獲得も決める最高の週末となった。

小さな不安と大きな期待

クロップが選択した11人はほぼ変更なし。唯一の変更はジョーゴメスに替えてファビーニョがセンターバックを務めることに。ジョーゴメスが打撲によりこの試合を回避。また、マティプも筋肉に問題を抱えておりベンチ外となった。どちらも深刻なものではないとのことだ。しかし、センターバックの層が薄いことが少し気がかりだったことは事実である。いきなり心配が的中する?ような状況になった。この不安とは裏腹にベンチには期待大の選手がいる。1人は今夏、オリンピアコスから加入したツィミカスだ。ついにロバートソンのバックアッパーを迎え入れることができた。新型コロナウイルスに感染してしまったこともあってなかなか試合に関われていなかったが今後楽しみな選手だ。もう1人は、2日前に加入したチアゴアルカンタラ。リバプールにこれほどのスーパースターがやってくるのは珍しいように思う。たった1人でもビルドアップや最終局面での崩しの質をワンランク上に引き上げてくれる選手である。チアゴがリバプールでどんな活躍を見せてくれるのか、想像するだけで楽しい選手である。

一方、チェルシーのスタメンはGKはケパ。DFは右からリースジェームズ、クリステンセン、ズマ、マルコスアロンソの4人。中盤は3枚でジョルジーニョ、カンテ、コバチッチ。前には左に新加入ヴェルナー、右にマウント、中央はこちらも新加入ハヴァーツを選択したランパード。前線には楽しみな新加入選手が2人スタメンに名を連ねた。

リバプール式プレスの剥がし方

リバプールのキックオフで始まった試合は開始早々からリバプールは自慢のプレッシングを発動し、押し込むことに成功した。こぼれ球への反応や奪われてからの守備への切り替えはさすがと言える。
チェルシーとしてもこのリバプールのプレスは折り込み済みである。GKも参加して最後尾から繋ごうと様々な術を準備してきた。マネやサラーはチェルシーのCBに対してSBのパスコースを切るようにプレスをかける。これと連動してフィルミーノはジョルジーニョを監視する。この構造を理解していたチェルシーはコバチッチがジョルジーニョの脇に降りてきてパスを受け、SBに展開するシーンをいくつか作っていた。リバプールも中盤を素早くスライドさせ前進させないように対応し、レベルの高い攻防が何度も見られた。
かなり強いプレスを受けても基本は後ろから繋ぐことをやめないチェルシーだが、もう一つ策を用意していた。それは最前線のハヴァーツを目掛けた中長距離パスである。狙い通りハヴァーツはファンダイクを背中に感じながらも収めることもできていた。
ランパードの策を遂行しようと努力していたが、チェルシーはビルドアップからチャンスを多く作ったわけではない。リバプール中盤の連携した守備や試合前の懸念であったCBファビーニョでチャンスの芽を摘んでいく。特にファビーニョはヴェルナーとの一対一を止めるなど慣れないポジションでも守備能力の高さを発揮してMOTMの活躍をしてくれた。

両サイドからのタッチダウンパスと三本の矢

チェルシーは再三繋ごうと工夫はしていたが、この試合の大部分を支配していたのはリバプールだ。ディフェンスラインの加えて、ヘンダーソンやナビケイタが落ちてきてビルドアップをスムーズに行なっていく。ゆったりとボールを回しているかと思えば、ディフェンスラインのどこからでも高精度のロングボールを繰り出し、あっという間にゴール前に迫ることができる。そこで、チェルシーがロングボールを嫌って前に出てくれば、フィルミーノがライン間で空いてくる。チェルシーにとっては頭の痛い問題だっただろう。リバプールの両サイドにいる高精度パサーと強力なスリートップがいるからこそ為せる技である。さらに、今日はファンダイクとCBを組むのは本来中盤のファビーニョだ。ビルドアップでの貢献度も非常に高かった。
前半終了間際には、この試合を決めたと言ってもいいようなプレーがあった。左サイドでフィルミーノがボールを奪われ、チェルシーのショートカウンターが発動した。ヘディングでのシュートを打つことができたがアリソンにキャッチされてしまう。ここからのリバプールは速かった。前掛かりになっていたチェルシーの一瞬の隙をつき、ヘンダーソンからセンターバックの間に走り込んでいたマネに向けてロングボールを通した。これで抜け出たマネをクリステンセンは倒してしまい、レットカードを提示された。リバプールは大きく有利な状況になった。

王様チアゴの支配

ハーフタイムでクロップは動いてきた。前半、良いパフォーマンスを見せていたヘンダーソンに変えて、チアゴをピッチに送り出す。
1人少ないこととチアゴが入ったことによってリバプールは完全に試合の流れを掴んだ。チアゴを中心に全員がチェルシー陣地に入って、攻撃機会を伺っていた。ゴールはそう遠くないだろうと思っていた49分、アーノルドが内側に入ってタイミングよくフリーになっていたフィルミーノにボールを通した。フィルミーノはタメを作り、サラーとのワンツーで右サイドを攻略、マネに丁寧なラストパスを送り、先制に成功した。スリートップが連動した素晴らしいゴールだ。
後半から10人になり、失点したチェルシーは繋ぐことを諦めない。強いプレスを受けてもGKを絡めて前半と同様に繋ぐ気概を見せる。しかし、これが裏目に出てしまう。マネのプレスを受けたケパがボールを奪われ、53分にリバプールの追加点が決まった。繋ぎをやめない選択をしたランパードの頑固さが垣間見えた。
その後もリバプールはボールを持ち続ける。チアゴの体の向きの工夫や正確なボールタッチでリバプールに落ち着きをもたらす。それだけでなく、最終局面で相手の矢印を外すようなパスやテンポを変えるパスを繰り出し、すでにリバプールの王のような立ち振る舞いを見せた。
72分には繋ぎの姿勢やヴェルナー個人の頑張りによってチェルシーはPKを獲得したが、これをアリソンがセーブして、今季初のクリーンシートを達成することができた。

Friday Thiago Jota Saturday SADIO SUNDAY!!

金曜日の主役はチアゴアルカンタラ、土曜日はジオゴジョタ、そして試合当日、日曜日の主役はサディオマネだった。電光石火で奪った2得点だけでなく、攻守の貢献度はさすがと言える。また、新加入のチアゴがいきなり素晴らしい活躍を見せてくれたのはリバプールにとって大きなプラスになるだろう。チアゴのことをよりリバプールの選手が理解していけば、今まで苦しんでいた引いた相手を崩すこともできるようになるだろう。さらにリバプールが強くなり、連覇もかなり期待できる。ミッドウィークのリーグカップ、マンデーナイトのアーセナル戦は誰を起用し、どんな戦いを見せるのかとても楽しみだ。