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ただそれだけ。それだけの人生。

人が喜んだ。ただそれだけ。
人が怒った。ただそれだけ。
人が哀しんだ。ただそれだけ。
人が楽しんだ。ただそれだけ。

ただそれだけ。

ただそれだけ。

そうしないとこの世の中はあまりにも刺激が多すぎる。 目を下に向けて、耳を塞いで、口と鼻を隠して。そうして刺激から身を守る現代人。そうした現代人は弱さの象徴でもあり、環境への適応力という面で強さの象徴でもある。

『イワンのばか』という民話がある。そのメッセージはいじめに対する最大の抵抗はいじめられていると無自覚であること、それくらいまでに自分自身の集中することだ、というものだ。

私はこの生き方をずっとしてきたんだと思う。いじめるものが欲しいのは私の困る顔だと気付いてから私は蹴られようが罵られようが何も言わなかった。すると彼らは私から手を引いた。私がつまらないからだ。私が人に興味を持たない人間になったからだ。彼らの欲求を満たすものとしての私は彼らに不満を抱かせる人間になった。しかし、この変化は私にとって本当に必要なものだっただろうか。彼らがいなければ私はもっと心から笑えるのではないだろうか。常に自分を冷たい目で見る自分と出会わずに済んだのではないか。結局、彼らを撃退したようで彼らの傷跡は残っている。

しかし、そんなつまらない話はもうどうでもいい。傷跡が残った。ただそれだけなのだから。そう、それだけなのだから。


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