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壮大な世界を笑いと知略で乗り越える冒険ファンタジー


ゲームの世界のようなアドベンチャー感と、良い意味に何も考えずに観れるコメディが融合したような作品だなあと思って気になっていた。
イメージ的には『ハムナプトラ』みたいな感じかなあと思っていたけれど、意外にもそれを超えるような出来で、出てくる世界観も設定もちゃんとしていて、軽く一つのゲームができるんじゃないかというくらいの規模感だった。
途中『ロード・オブ・ザ・リング』を彷彿とさせるような、広大な世界を移動してますよ、みたいな映像が流れたりして、マップとかでは説明しないけれどだいぶいろんな特徴のある街やダンジョンが出てきて、この一つの作品を作るのに相当いろんなこと練り込んだのだろうな、と制作のことなんかも想像してしまうほど。
魔法のバトルシーンもあったり、『ハリー・ポッター』にも負けないほどの演出もあって盛り沢山。

主人公たちが冒険へと旅立って仲間を集め、目的を達成するために必要なアイテムを探しに出かけ、道中でいろんな目に遭い、立ちはだかる敵もついでにやっつけてゴールを目指す、というゲームでも一苦労に時間がかかるような大ボリュームを、うまく映画という限られた時間の中で要約してまとめながら B級感を出さない感じに仕上がってて、普通に面白かった、というのが素直な感想。
話題作になるかと言えばそこまでのネームバリューはなさそうなので、大ヒットになる感じがしないのがちょっと勿体無いなと思ってしまう。
世界観とかアイテムとか種族とか敵の陰謀とかピンチヒッターとか、いろんな要素を混ぜ込んでるのに上手くまとまってるので、個人的には良作だった。

途中ダンジョン内で巨大ドラゴンに襲われるシーンがあるのだけど、そのドラゴンというのがまた普通と違っていてかなりのデブなのだ。
ドラゴンといえばスタイリッシュでカッコよくて空も飛べてっ無敵、って感じがするけれど、この映画に出てくるドラゴンは長い巣にこもっていたせいか、全然運動していなくて脂肪がつきまくり。
主人公たちを襲いはするが飛ぶこともできずに地面を這いずり回り、挙句の果てには障害物につまずいて地面を転げ回るという体たらくぶり。
それがまた味があってコメディ感を増してくれて、ふふっと笑いそうになるところがまた良い。

また、大事なアイテムを探しに出かけて、そのありかを突き止めるために死体を一時的に話ができる状態にして情報を聞き出そう、という場面があるのだけど、そのちょっとの枠に出てくる死体の声優のキャストが豪華すぎて、かなり贅沢に使ってるなあ、とエンドロールをみて最後まで驚かされた。
主人公たちを助けてくれるゲストキャラを演じているのが、Netflixの『ブリジャートン家』で公爵役を演じ人気を博したレゲ=ジャン・ペイジ。
あの甘いマスクと優美なボディに魅了されたけど、久々に観れたこともついでによかった。

パーティメンバーは一癖あるような面々で、みんなそれぞれ問題や悩みを抱えている。
主人公たちは勇者の仲間、みたいではなく、落ちこぼれが集まったような感じで、一昔前のカッコよくて強いヒーロー、みたいなものではない。
ダメダメでいろんな欠点があったとしても、それに負けず、自分の弱点を強みに変えたりしながら成長していく物語のようにもとれる。
憧れの存在を追いかけるのではなく、等身大の自分からちょっとだけ背伸びして、過去の自分よりもよくなろうとするところとか、現代の価値観を表しているような気がした。

いろんな面ですごくて面白くて楽しかった冒険モノの映画。
個人的には当たりだったので、続きができればまた観たい。


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