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熱を冷気に変える_吸収冷温水機

空調メーカー2社との面談を終えて、自分が求めていたものは「廃熱投入型の吸収冷温水機」だという結論に至った。特に88℃~95℃くらいの温水を使用できるという部分が弊社で扱っている機器の仕様とマッチするし、最小必要電力はポンプを回すだけで良いというのもバイオマスのコンセプトに合っている。

まず、吸収冷温水機の仕組みについて。(とてもシンプル!)
蒸発器と呼ばれる器(冷気を生むコア部分)の中に無数の金属管が通っておりその管の中の冷媒が冷やされることで冷房効果を生む。冷媒をどのように冷やすかというと、蒸発器内が真空状態に保たれており4℃で水が蒸発するようになっている。この蒸発器の中の金属管に対して水が噴射され蒸発した際の気化熱が金属管を冷やし中を通っているという冷媒が冷やされる仕組みだ。
次にいったいどこで廃熱を使うのかという部分。これは、蒸発器内で水蒸気が発生すると水が溜まってくるので臭化リチウムを用いて水蒸気を吸収して蒸発器内から水をとる。(臭化リチウムは吸湿性に優れる)
その後、臭化リチウムと水の混合液をそれぞれの物質に再分離する際に廃熱が利用される。つまり温めて水を蒸気にして取り出す。
廃温水の温度が90℃前後を保てない場合を想定して(バイオマス発電では発電機の全停止が時々起こり温水温度が上がらないことがあるため)、灯油やガスなどの燃料での補助も可能。

次に効率について。取り出す熱に対してどの程度の冷気をつくれるのか。これは、
発電機1セットが排出する熱260kWhに対して作れる冷気は約70USRT。USRTとは空調業界で使用される冷凍能力を表す単位であり、1USRTは「0℃の水2000ポンドを、24時間で0℃の氷に相転移させることができる」冷凍能力とされており、1USRT=3,024kcal/h 。(USと付くのはアメリカで定義された単位のため)
話を戻すと、1USRTで大体12~16㎡の部屋を冷房出来るとされているので70RT×12㎡=840㎡の部屋が冷房できる。(ただし、天井の高さや部屋の形状は考慮しないということなので、設計会社と要相談)もちろん暖房も可能だが、効率は冷房よりも落ちる。

自動制御が可能であり、24時間遠隔での監視も可能。デメリットは、本体価格が数千万円レベルであり、またメンテナンスコスト1-200万円/年と高額に感じた。もちろん実際には、通常使用されるパッケージエアコン等の他の冷暖房機器と比較しないとコストパフォーマンスは判断できない。

全体としてはとても興味深い話なので、これまでの導入事例等を調べて頂くこととして打合せを終えた。一方で吸収冷温水機がとても単純な仕組みだったので、熱の効率的な利用方法について何かもっと良い手段があるのではないかとも感じた。

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