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バイオマス発電、熱利用の方向性_熱を電気に変える

何度か書かせて頂いている通り、バイオマス発電においては電気と熱2つのエネルギーが生まれる。ウチで取り扱っている発電装置の発電効率は30%以上であり、ここに熱を組み合わせた総合エネルギー効率は70%以上。この数字からも熱エネルギーを余すことなく使うことは再生エネルギーの有効活用方法として解決すべき課題である。今回の投稿では、熱利用の方法として全体感を確認しつつ、熱を電気に変える方法について触れる。

では、前段の整理から。

熱エネルギーの利用方法としては大きく2つの方向性がある。
① 熱としてそのまま利用する
② 熱を別のエネルギーに変換して利用する

①が実現出来ればベストであることは明らかで、効率性・設備投資額・ランニングコストも含めて第一に検討すべき。だが実情として実現はとても難しい。理由は発電事業地の近くに都合よく熱需要があることはほとんどないからだ。ほとんどの案件では熱利用はない方向で話が進む。こちらについては熱需要がある企業を誘致出来ないか検討している。例えば倉庫会社、ハウス栽培業者、など。

②については①が実現出来ない場合のプランBとしての位置づけとなる。事業採算性向上のために余すことなく利用できるものは利用すべきで今調べている。
既に調べたのは熱⇒冷気に変換するもの。*https://note.com/k_kuromaru/n/nffb33a404ace 参照

前段が長くなったが、今回は熱エネルギーを電気に変える方法について触れたい。調べた限り、熱⇒電気については大きく2つの方向がある。

②-1. 熱を蒸気に変えてタービンやエンジンを回す
ORCを中心に技術が確立されていて(ロータリーエンジンに取り組む企業にもコンタクトした)導入自体は出来るだろう。しかしエネルギー変換効率と設備投資が見合うかどうかという問題がある。またバイオマス発電で廃熱される90℃前後という温度がフィットしにくいなどの問題がある。バイオマス発電に限っての話ではあるが、熱⇒電気への変換効率は5%に満たないと思われる。どの機械も大方の仕組みは同じで中の軸受けを改良してシャフト摩擦率を緩和するなど、小さな改善を積み重ねているようだ。

②-2. ゼーベック効果を利用して発電する
ゼーベック効果とは、物体の温度差が電圧に直接変換される現象のことをいう。2種の金属や半導体間で温度差が生じることで電気が発生する。小型ワインセラーなどに用いられるペルチェ効果の逆。
環境発電(エネルギーハーベスティング)と言われる分野で研究されており、ゼーベック効果を最大化する方向が模索されている。

この熱発電については、既存材料であるビスマステラロイドを使用、ナノ構造を採用することでZT*=1.9、高温600℃、低温10℃の温度差で最大変換効率12%という数字を出しているが、新しい材料が次々と出てきており効率は上がっていくと思われる。

高効率で熱を電気に変換する新物質(YbSiGe)
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2018/20181107_1

我々が取り扱うのは90℃前後の低温水なので、ハードルが高いことは変わっていないのだが、熱利用でブレークスルーがあるとすればこの分野だと思っている。

*ZT・・・熱電性能指数。1.0以上が実用化に向け求められている値と言われている。

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