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vol.66 ファインダーの種類
このnoteは写真を0から始める方向けマガジン「始めよう、写真」の記事です。初めてご覧になる方はぜひvol.1からどうぞ
さて、今回は一眼カメラといえば、これがついているからこそカメラを買うというほど決定打である大切な機構の一つ、ファインダーについて深掘りしていきたいと思います。
ファインダーの種類と仕組み
そもそもファインダーとは?となっている人もいるかもしれないので一応説明を。
ファインダーとは、下の画像のような一眼カメラに装備されている片目で覗く覗き穴のことです。
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ファインダーは、光学式と電子式の大きく2種類に分けることができます。
光学式は名前の通り、レンズなどを通した光を見ることができるファインダーであり、電子式は一度センサーで光を取り込んで液晶などに表示させるものを言います。
光学式ではさらにビューファインダーとレフファインダーという二つの種類に分けることができます。
ビューファインダーは、カメラのレンズを通った光を見るのではなく、ファインダー側に独自に設置されているレンズとは別の覗き穴を通して見ることができる構造で、コンパクトカメラ、トイカメラなどによく用いられています。
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レフファインダーは、レフという名の通り、レンズを通ってきた光を鏡で反射させてファインダーから見る構造となっています。こちらは主に一眼レフで使われてきた構造です。
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電子式は構造自体は大きく変わりませんが、どこに表示させるかが変わってきます。カメラ背面のモニターに表示させる方法、また一眼レフカメラと同じ位置に設置されたファインダー内に液晶パネルや、有機ELパネルなどを用いて表示させる方法があります。
上記で述べた2つの種類のファインダーはそれぞれにメリット、デメリットがあります。以下に解説していきます。
光学式のメリット・デメリット
光学式はなんと言ってもラグが0であることです。
いわばただの覗き穴であり、人間が目で見る状態と一緒です。
よって、ラグが0なので例えば非常に早い被写体を撮る際にしっかりと目で追って撮影することができますね。
しかし、光学式のデメリットとしては撮影条件(F値、ISO、SS、WBなど)が見ている画面に反映されないところです。そのため、撮影時の設定が適切にできていなかった場合は撮影結果が想定と変わってしまいます。(それも良さの一つとも捉えることもできますね・・・)
電子式のメリット・デメリット
電子式のメリットは、撮影条件がしっかり反映されることです。いわば見ているのはカメラで処理された後の映像なので、撮影条件がしっかり反映された写真を見ることができます。よって、正しい設定条件で撮影することができるわけです。
また、もう一つのメリットとしてブラックアウトフリーである点です。電子式ファインダーを積んでいるミラーレス機の中でも高級機にしかついていない機能ですが、これは連写してもファインダーは常に映像を表示し続けてくれるという機能です。
光学式(レフファインダーの場合)は、構造上、連写で一枚一枚撮る際にファインダーがブラックアウト(シャッターを切ると一瞬暗くなり被写体が見えなくなる状態)していました。
しかし、電子式は映像を表示しているため、シャッターを切った際でも映像を表示でき、これによって常に被写体を追いながら撮影をすることができるわけです。
電子式のデメリットとしてはラグがあるという点です。レンズで取り込んだ映像を処理してファインダー内などに投影するためどうしても処理する時間がかかってしまうため実際の物体の動きとずれが生じてしまいます。
この点については年々改良がされており、一昔前と比べて格段に処理速度が向上したため最近では気になるほどの影響はないと言いきれます。
また、もう一点のデメリットとして、バッテリー消耗が大きいという点です。これは機種によって様々なので一概には言えませんが、光学式と比べ常に映像処理に電力が消費されているため、バッテリーの持続時間は短い傾向にあります。
また、2020年以降、カメラメーカーのほとんどが一眼レフ機の開発を止め、ミラーレス機の開発に移行したため、近年は電子式ファインダーが圧倒的多数になっています。
もはや、光学式は古いシステムとなってしまいました…
ファインダー視野率
カメラの仕様を見ていると見かけるファインダー視野率も解説していきます。ファインダー視野率とは、光学式ファインダーのみに適用される仕様で、撮影される画像のうち、どの程度の範囲がファインダーで見えているのかを示す値で、100%が最大になります。
たとえば、下の画像に示すように視野率が100%であれば、ファインダーで見える範囲は赤枠で示すように撮影される画像の全てがファインダーで確認できる状態です。
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しかし、視野率が90%だと下の画像のように、ファインダーで見ることのできる赤枠が画像よりも小さいことがわかります。よって、視野率が100%以下だと画像の端などがファインダーで確認できない状態になります。よって、構図をじっくり決めたとしても、写ってほしくない部分が写ってしまうなどの問題があります。
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ファインダー視野率を100%にするには光学的にコストが嵩むため、視野率を抑えてコストダウンしたカメラがラインナップされていました。しかし、ミラーレスカメラではセンサーで得た画像情報をファインダー内の液晶パネルなどに表示する構造になったため、構造上、基本的に視野率が100%になりました。
よって、ミラーレスが主流になった現在はファインダー視野率は死語になりましたね・・・
ファインダー倍率
ファインダーを選ぶ上でもう一つ大事であり、"見えやすさ"に直結する項目である「ファインダー倍率」について説明していきます。
ファインダー倍率とは、肉眼で見る被写体とファインダーで見る被写体の大きさの差を倍率で表したものです。言葉で書くと分かりにくいので画像を用いて説明しますね。
たとえばファインダー倍率が0.7倍とすると、下の画像のようなイメージです。
肉眼で見た景色(焦点距離50mm)を左側の画像とします。ファインダー倍率はこの画像に対して、ファインダーの中で見ることのできる画像のサイズがどの程度の大きさなのかを示します。よって、倍率が大きければ大きいほどより見やすく、より撮影する被写体のサイズを捉えやすいということです。
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そして、厄介なのがこのファインダー倍率はセンサーサイズによって変わるため、比較するためには換算が必要であるということです。
フルサイズセンサーについては下記のnoteで解説していますのでわからない方はご確認ください。
たとえば、APS-Cセンサーやマイクロフォーサーズセンサーを搭載しているカメラでは倍率が下の画像のように1倍を超えることがあります。下の画像ではセンサーのサイズが異なり、ファインダーのサイズは等しいとします。ファインダー倍率はセンサーに対するファインダーの大きさになるのでAPS-Cセンサーの方が倍率は高くなる傾向になります。また、センサーサイズが小さくなると焦点距離も長くなり撮影できる範囲もフルサイズセンサーより小さくなります。よってフルサイズセンサーのファインダー倍率と他のセンサーのファインダー倍率を比較するためには焦点距離の違いを考慮して換算した値で比較が必要です。
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肉眼で見た景色というのは焦点距離50mm(フルサイズセンサーの時)とされています。APS-Cセンサーでは焦点距離は約1.5倍されると以前お話ししましたのでここでもこの換算を使います。APS-Cセンサーでのファインダー倍率は1.1倍なのでこれをフルサイズに換算すると1.1÷1.5=0.73倍となります。よって上の画像ではファインダー倍率はほぼ同じということになります。
まとめると、ファインダー倍率が大きければ大きいほどより見やすいファインダーであるということです。そして、倍率はセンサーサイズに由来しているためセンサーサイズが異なる場合は換算して比較が必要です。
以上、ファインダーについて解説してきました。
一眼カメラにおいて一番大切であるとも言えるファインダーは、撮影するときの見やすさ、撮りやすさに直結するのでぜひここも気にしてカメラ選びをしてみてくださいね!