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祈るは最強

 一昨年亡くなってしまった可愛いミケ猫は決してチューをさせてくれませんでした。でももう1人いる白い猫はチューし放題です。

さて、ここ最近気持ちが悲しい。
否、最近ではなく夏からです。
それがとても嫌です。感情などなければ良いのに。
毎朝を悲しい気持ちで迎えるなんて嫌なはなしです。

悲しい気持ちの理由は分かりませんでした。ずっと。
でも昨日の朝ふと思ったのです。
部屋が悲しいのかも・・・と。

わたしはもうすぐ引っ越しします。
長い間お世話になった家でした。
愛着のある家を出て行く事に一抹の寂しさはわたしの方にもあります。

でもそこに向き合うのは面倒だったので自分の感情は軽くスルーで通してきました。そこもいけなかったのかも知れない。

ちょうど一昨日、もう一つの事にも気付きました。
乗り越えたと思っていたけれど、わたしは母の死をまだ受け入れてはいない。
そのことにも気が付いたのです。

心の専門家ではないので分かったとてどうすれば良いのか分かりませんでした。昨日までは。


今までずっと、考えないようにしてきた母のこと。
家のことも・・・出て行くことの寂しさは、感じてはいけないと思っていました。新しい家を建てたのだから、喜ばなければいけないと。

でもきのうの朝、気付いたんです。
いずれは取り壊される家もわたしと同じく憂いを帯びていることに。

感情は感じ過ぎると有りもしない物語を作り上げる事があるのだそう。
それはよく分かります。
なのでここは自分に寄り添わずに「ただ祈る」ことを選択しました。

ただ祈る。
繰り返されるお礼とお詫び。
入る部屋入る部屋、全てにお礼の祈念を凝らす。

そうすると、自分の心がすこし楽に変わり始めました。

新しいお家にも是非させて頂きたいお礼の祈り。そして新しく知り合う地域の人たちにも是非に祈りを捧げたい。そう思いました。


母のことは…
わたしの部屋は、緑と光でいつも輝いていました。
そんな輝く部屋の中で、笑顔で話す若き日の母の姿がまさに今日、cafeでの食事中突如浮かびあがったんです。

向かいに座って話続ける友人の声は雑音に変わり、在りし日の過去にわたしは引きずられていきました。

友人は小学生の時に国語の授業で習った小説の話をしていたのですが、教科書に載っていた小説でわたしに強烈な印象を残したのは魯迅のもの。
その魯迅の小説に、ある食べ物のことが載っていた様に記憶しているのですが、それを作ってとせがむわたしに、夏の光をいっぱい浴びた母が優しくにこやかにこう言ったのです。
「それなあに?」

その光景を思い出した途端に胸がつかえてしまい、母の残像を慌てて払いのけました。
こんな事はしょっちゅうで、母の残像を払いのけて今までやり過ごしてきたのです。

だからわたしはとっくに立ち直っていると思っていました。
母のことは忘れてしまえたと思っていたのです。
でも違いました。

胸がつかえ、戸惑い、どうして良いのか分からなくなりましたが、ある事を思い出し、即祈りの態勢に入りました。
もちろん友人には気付かれずに。

祈りは最強ですね。
感情を上手く言い表せませんが、そこに「正しさ」を感じるのです。
あくまでわたしにとっての「正しさ」ですが。
いま現在に適切に対応できていると感じます。

思い出したある事とは、一昨日読んだ、お身内を亡くされた方のブロク記事のことなのですが、そのブログ記事にはわたしの好きなネドじゅんさんのこんな言葉がかかれていました。

「思い出や感情がセットで身体を流れても、流れ去るに任せていれば大丈夫かと思います。それが思考のドラマになり、不幸の物語として自動思考に現れない限り、思い出も浮かぶシーンも感情も、なんの問題もありません。
ありがとう、で流れ去るに任せるのは最高ですね。」

思い出と感情がセットになる
それが思考のドラマになる。
ドラマは不幸の物語として自動思考に現れる

まさにわたしに起こっていたことです。
それが嫌で、母を思考から抹殺し、自分は立ち直ったと勘違いをしていました。
長く介護を続けたわたしには母に対して大きな罪悪感がありました。

親の介護を経験した人には、多かれ少なかれ罪悪感は有るのでは無いでしょうか。

あんな事、言わなければ良かった
もっと色々してあげれば良かった

その罪悪感が、どうしても思い出とセットになるのです。


ネドじゅんさん最高です!

母の思い出が甦ると、今はすぐに祈りの態勢に入り、ありったけのありがとうを伝えます。

「生きても死にても天地は永遠(とわ)に我がすみか」
この道理(ことわり)を胸に頂いて亡くなった母はその道理の通りに今もわたしの傍にいるのです。
その母を忘れるなんて!

母と共に生きつつ思い出の家にありったけのお礼を捧げたい。
引っ越しまであと40日です。






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