多くの絵師がAI生成画像を嫌う理由

2024年10月19日 23:26

こんにちは。K(kei)です。今回は2022年頃から度々物議を醸すAI生成画像について少し書きたいと思います。最初に断っておくと私は絵師と呼ばれる程ではありませんが趣味でイラストを描くこともありAI生成画像には否定的な立場です。
そこからもこの記事では"AIイラスト"と呼ばず"AI生成画像"と呼称します。

AI生成画像とは

今更説明する必要もないと思いますが一応書いておきます。ちなみに私はAI生成画像を使ったことがない(使うつもりもない)ため詳しいロジックまでは分かりません。

簡単に言えば学習したデータを基にテキストとの特徴が一致した画像を生成するものです。これによって人の手では不可能な速度で画像を生成することが出来ます。生成の仕組み上なのかものによっては整合性の取れていないものもあったりします。(人の手足や物体と物体の境目など)

上記のような弱点はあれどテキストの入力のみでも私のような趣味で描いている人よりぱっと見では高品質な画像を短時間で生成できます。

AI生成画像の強み

何といってもイラストを描けない人でも一定以上のクオリティのイラストが簡単に出力できるところでしょう。イラストを描く練習も無しに趣味レベルのイラストよりも見た目綺麗なイラストを生成できてしまいます。

AI生成画像の弱み

私の知る限り先ほども書いた一部の描写と調べた限りでは複雑な構図や要素の多いものは苦手みたいですね。あとは学習していないものマイナーなものに対しても弱いみたいです。

絵師から見たAI生成画像

冒頭でも述べた通り私は趣味レベルでイラストは商業として行っていませんが商業でやっている方の立場を想像するのは全く難くないため以下に書いていきます。

絵師がAI生成画像から得られるものが無い

絵師の描いたイラストをAIに学習されることはあってもある程度描ける絵師がAI生成画像を真似ることはありません。作品を利用するということに関しては完全な一方通行な訳です。

絵師が描いたイラストを無断で学習される

絵師もイラストを始めた当初から今のレベルであった訳はなく、練習し数を重ねることで上達しています。そんな何年、何十年もかけてクオリティアップをしてきたイラストが無断で学習されることを歓迎する絵師はいません。

イラストの価値を下げられる

流石にプロはAI生成画像に全く劣らないイラストを仕上げられますが同じような画風の画像を大量に生成されてしまうとクオリティでは劣っていなくても相対的にイラスト全体の価値を下げられてしまいます。

絵師の仕事が奪われる

AI生成画像で事足りるとなってしまうとイラストで生活をしている方からすると文字通り死活問題です。クオリティはともかく安さで売られると先ほどの項目と同じくイラストの価値を下げられることにも繋がります。

AI絵師と名乗られる

大量の生成画像で絵師の作品が埋もれる

SNS以外にもイラストを閲覧できるサービスは多々ありますがここにAI生成画像が入って来るとどうしても物量で押されてしまいます。サービスによっては"AIタグ"で差別化させるものもありますがAI生成画像であってもこのタグが付けられていないものが多く場を荒らされている状態です。

これ以外にもまだまだありますがとにかく絵師からすると良いことが一つもないのがAI生成画像です。
日本で品種改良したフルーツが某国に盗まれ向こうで安く売られていることには怒りますがAI生成画像には怒らない人がいるのが私にはよくわかりません。

何故AI生成画像に魅力を感じないのか

否定的な私でもAI生成画像はパッと見ではクオリティは高いことは認めます。ですがその画像に魅力は感じません。それは無機質に作られた画像に過ぎないからです。

例えば一時期よくニュースにもなった将棋師vsコンピューター
これはどちらが勝つのか興味を示した人も多かったと思います。

チャンピオンvs挑戦者
先ほどの将棋やスポーツでもよくある構図です。これは人vs人です。

コンピューターvsコンピューター
この無機質同士の対戦になると何故か興味を持つ人もガクッと減ります。
AI生成画像も同じで結局は人が描いた素材を使ってはいるものの無機質な画像でしか無いんですよね。

音楽のレコーディングにしても打ち込みより演奏を録音した方が望まれることがほとんどです。打ち込みの方が安定もしているはずなのにです。

これは私の持論ですが機械的で整いすぎたものよりも人間の作る完璧に近いところからほんの少しずれたものが人にとっては心地いいのだと思います。

AI生成画像に関しては一部に関しては整いすぎているが一部の弱い部分は整合性の取れていない大きなギャップが気持ち悪さを生んでしまい魅力のないものに感じてしまうのだと思います。

AI生成画像を使っても良いと思う場面

ただしこの条件=イラストが描けるになることは事実上必須です。
先ほども書きましたが今まで努力して上達してきたイラストを得もない人に使用されることを歓迎する人なんていません。

そうなると学習に必要となるイラストを自前で用意する必要がありますが…。そこまでできる人がその先にAI生成を行い、生成で発生した不整合発生個所の修正をするでしょうか。

結局、AI画像生成はツールに使われている人が既存イラストの無断使用を正当化しようとしているだけにすぎないだけではないかと思います。
よく「AI生成画像以下のイラストは学習に使われない」と言う人がいますが確かに私の趣味レベルのイラストは参照されていないかもしれません。
ですが根本的に無断使用している部分に関しての言い訳にはなっておらず盗んでいる事実は何一つ変わっていません。

まとめ

誰もが納得せざるを得ないAI画像生成を行おうとするとかなり限られた人にしか利用することができず、利用できたとしても不便さや手間が残るであろうAI画像生成について、現状の扱いを趣味レベルの絵描き視点からの意見でした。