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「新世界」西野亮廣 【書評】
内容についてはあまり追わず個人の思いを記録。
西野亮廣さんの著書「新世界」を読了。
彼の持つ熱量が沁みるような語り口で、お金とは何か、信用とは、仕事とは、言葉とは何かという事を深く考えさせられた。
新世界という表題が示すように、この世界が枠組みごと入れ替わっていくような錯覚に陥らせてくれた。今まで自分が知らなかった一部の世界では既にこの錯覚が常識になりつつある事を知った。
信用の換金
お金に不自由しないホームレスの小谷さんの話が印象的。BASEで1日50円で自身の時間を売って生活したという。現在はレターポットで販売されている模様。
家がない状態で生活を成立させる事、血の繋がらないひとたちの支えがあって生活する事は不可能ではないという実例だ。twitterでも似たような境遇の方がいるし、武井壮さんも家が無い状態で8年ほど生活されていたのだとか。
前時代的な日本人は、長屋に住み、隣人に醤油を借りたりして生活していたわけだけど、言わば回帰する事で成功している。堂々と他人を頼って、精一杯人の役に立つ。そんな風通しの良い暮らしが成り立つための信用社会の波が、現実に近づいてきている予感を抱いた。
中国が政府、民間とも評価経済システムを先取りしているが、極端に言って人を点数化するという仕組みは、このあまりにドライな考え方が日本に受け入れられるには課題がありそうだ。
参考:中国で浸透する「信用スコア」の活用、その笑えない実態 https://wired.jp/2018/06/26/china-social-credit/
マネタイズと経済圏
西野さんの運営するオンラインサロンは月額1000円。メンバーは現在2万人を超えており、これだけでもかなりの収益だ。2020年までには10万人を目指しているとのことで、国内最大の意識高い系集団になる・あるいは既になっているのではないだろうか。
と言うわけで興味がマックスとなった私も早速入会申請させていただき、当時中に承認頂いた。対応が早いだけでなく、ご本人からもRT頂くほどの親切対応である。
早速投稿やコメントを拝見すると、面白いのは取り組みだけはなく、オンラインサロン内の人々が、西野さんの合理的かつ本質・核心をつく考え方に共感し、コミュニケーションに真摯さが滲み出ていて理想的なネット・SNS社会が形成されているように伺える。本書にも書かれているよう、サロン内の人の繋がりを地図化する取り組みが始まっており、地理的な距離を主軸にした地図と異なり、人を主軸にした新しい概念の地図が、コミュニティの数だけ、人の数だけ違う地図が生まれるそうだ。信用のおけるメンバー間の経済圏が今後数万、数十万人規模で社会化していく様子は、まさに新世界の始まりを予感させてくれる。
言葉の再発明
サービス中のレターポットは、言葉を価値のあるものとして人に贈るシステムだ。開発中に予定していた換金機能を外したことで、言葉自体にイノベーションを起こし、言語を再発明したと言えるのではないだろうか。本書のクライマックスは言葉・文字にまつわる美しい物語が語られており、日常的に発する言葉も誰に対してであれ、大切に選びたいと思わせてくれた。
元より発言に対しては、言葉通りの意味とは違う側面が発生してしまう可能性があると考えの上、受け取る側に生じる思いを複数推察した上で話すことが好きで、かつ発することで何らかの副次的なメリットが産めたらいいなとかめんどくさい事を考えがなら話すよう心掛けている。言葉のチョイスに美しさという新たな視点を与えてくれた素敵なエピソードに出会えて嬉しい。
私も早速アカウントを作成。実際に利用してみて、可能性を実感してみよう。
¥540/100レターからの購入が可能。
https://letterpot.otogimachi.jp/users/63214
無料開放中
最後にこの本、無料で公開されているので未読の方にはぜひお勧めしたい。
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