淡い期待 -会社の同期からのフォロリク-

会社の同期の女性社員R.N.からインスタのフォロリクが来た。くりっとした目と柔らかい表情が可愛らしい女の子だ。
その子と私は夏選考で採用された。夏選考では、5名のみが内定した。R.N.とは夏選考の内定者向け説明会からの帰り道が途中まで一緒だったので、他愛の無い会話をして、ちゃっかり連絡先も交換した。可愛い子だとは思ったけれど、そのときは他に気になる女の子もいたので、デートに誘ったりはしなかった。

入社すると私は240人の同期の中で1人だけ田舎のグループに飛ばされ、そのグループ会社が他の企業に買収された。R.N.と最後に会ってから2年経っていたが、誰かに相談したかった。１人で抱えてられなかった。気づいたら連絡していた。

「横浜でご飯食べよ！」

どこで食べたか、もう記憶は定かでないけど、西口周辺のお店で一緒に夕飯を食べた。
会話する中で気づいたのは、みんなそれぞれ悩みを抱えてて、田舎に飛ばされた同期のことなんか考えてる暇なんてないってこと。
自分の悩みを聞いてもらうつもりが、R.N.さんの話を聞いていた。

「もう一軒いこう！」

　そう言ってみなとみらいのロイヤルパークホテルのバーを訪れた。
ほろ酔いのR.N.さんの愛嬌にやられてしまったみたいだ。

「今彼氏いるの？」
『いるよ。同期のT.M.。知らなかった？』

知らなかった。同期内では有名な話だという。

「もしR.N.さんがT.M.くんと別れることがあったら俺と付き合ってほしい。」

その日は遅くまで飲んで、R.N.さんを宿泊先のシェラトンホテルに送り届けて解散した。

その後R.N.さんとは、1年半前に私が関西から関東に異動する際に連絡したが、どちらかというとあっさりとした塩対応。R.N.さんがT.M.くんとどうなったのかも知らない。

しかし、もう今の会社を辞めるというところにきて、R.N.さんからインスタのフォロリクが来た。なんで？どういうこと？これはDMしてもいいのか？
そんなことを考えながら、結局フォロー許可だけしてDMなんてする勇気が無いのだった。