
「高嶺の花子さん」に出会ってしまった話
大学生の頃、クラスに「高嶺の花子さん」がいた。とにかく美人で所作まで美しい人だった。ミスコンがあったら間違いなく優勝だ。
私は自分の身の程もわきまえず、彼女と仲良くなろうと必死だった。
最初は会話する機会もほとんどなく、せいぜいクラス会で少し話した程度だった。そこから決死の覚悟で積極的にアプローチした。
結果は、、、案外上手くいった。
当時流行っていたSNS、スナップチャットでは彼女と私は「ベストフレンド*」だった。しかも結構長い期間。チャットや電話を通して楽しい話も、悩みも、くだらない話も沢山した。
お風呂から電話が掛かってきたときは思わずドキッとしたのを覚えてる。
カフェやイベントに出かけるとき、最初は複数人だったが、そのうち二人でカフェに行ったり水族館に行ったりもした。そういえば二人の写真を撮ってもらったりもした。懐かしい。
そんな私のことを見て回りの男友達は口をそろえて「羨ましい」と言ってくれた。悪い気はしなかった。
けど、本気になってはいけなかった。結局彼女にとって私はたかが知人Bでしかなかった。私がムキになって関係は終了。返信が来なかった。
相手にもされず惨めな思いはしたけれど、自分が後悔しない選択はできたように思う。ただ、相手の女性には多少なりとも不快な思いをさせたと思う。返信が来なくなってから、申し訳ない気持ちを今でもこうして時々思い出している。
彼女は時々メディアにも出ている有名人だ。見かけると惨めな気持ちを思い出すので目を背けたくなることもあるが、きっと昔愚痴を言い合ってたときから変わらず、彼女も彼女なりに苦労しているんだろう。やりたいことはできているんだろうか。幸せだと感じていられているだろうか。そっと応援するとともに、惨めな気持ちを見返すくらい自分も頑張ろうと思うのであった。
(*「ベストフレンド」:お互いがチャットや写真のやりとりが最も多い相手同士)