見出し画像

100万回目の失恋

叶わぬ恋。
いや、一度は叶った恋。

10歳のとき好きになった女の子がいる。小学校の同じクラスの同級生T。
かわいかった。
ただそれだけの理由で好きだった。

小学生のころはお互いただの顔見知りでしかなった。

中学3年のとき、小学校の同窓会で再開して、付き合うことになった。
何度かデートしてみたものの、自然消滅してしまったので、彼女の中では付き合ったうちに入ってないかもしれない。
自然消滅の原因は、憧れだけで付き合ってしまったから。"付き合う"ところにこぎ着けただけで満足して、Tのことを心から好きになれなかったので、私から別れを告げた。今思い返せば、Tのほうがよっぽどちゃんと向き合ってくれていたと思う。会話は噛み合わなかったけど、それでも中学生なりに二人の関係性を考えてくれていた。

私は浪人時代、精神的に相当に追い詰められていた。全てが無意味に感じられ、死んでしまおうとさえ思った。誰にも頼れないような気がしていたし、実際に頼れなかった。
それを全てTに押し付けてしまった。Tからしたら傍迷惑の極みだろうが、私は彼女に頼ることで何とか精神的に生きながらえた。

それ以来、Tは私にとって命の恩人になり、感謝してもしきれない存在になった。それだけの思いがあって、好きにならないなんてできっこない。好きで好きでたまらない。施された恩をもってしても有り余るほど幸せにしてあげたい。他の誰かでなく、私が、僕が、俺がTを幸せにする!!

そう想い続けて10年。
いや、想い続けていたのは数年だ。最近はそのときの気持ちを時々思い出すことがあるくらいだ。
何はともあれ、現実はそう甘くない。彼女には絶えず彼氏がいるのだ。気持ちを思い出すたびに、失恋している気分だ。実際にこれは失恋と言っていいと思う。

はじめて恋に落ちてから、もう100万回ほども失恋しただろう。

交際している女性がいるのに、そんなことを思い出してしまうのは本当に失礼だと思うし、申し訳ないと思っている。でも許してほしい。これは、墓場まで持って行く淡い思い出にすぎないのだから。


いいなと思ったら応援しよう!