個人が尊重されるためにチームがある。人はコマじゃないよ。 【毎日のつぶやき/僕のネタ帳27】
ジュニアサッカーの試合を取材していて、つまらないと思うこと。
それは監督に言われたチームの決まりごとだけを淡々とこなしてプレーしてる選手たちを見ること。どんなに強いチームであっても心踊らない。そういうチームのコーチは決まりごとを乱すと怒ってる。判断基準がチームの決まりごとだから。
その評価基準は間違いではない。が、ジュニア期は個の育成が大切なので、チームの決まりごととは違う判断を下したときにどうアプローチするかが大切だ。その状況をどう把握したのかをすり合わせ、なぜその選択をしたのかを聞き、納得できれば選手の意見を尊重する。そうでなければ違う選択肢を示す。
僕が取材するとき、HTや試合後にコーチがそういう対応をとっているかを観察してる。ただただ説教をしているチームもまだ多いが、少しずつ良くなってる。情報化社会の恩恵の一つ。どんなに弱いチームでも一人ひとりが自分の意見を持ってプレーし、たまに周囲と噛み合ったプレーをしてると好感が高い。
大切なのは自分の意思を持つこと、そして周囲とつながろうと意識すること。ジュニアサッカーで学ぶべき根本はここにある。それを整理するためにチームの決まりごとが存在するのであって、それに従わせ当てはめるために選手が存在するのではない。プレーモデルを作り、指導するにあたって重要なこと。
約束事、つまり原理原則は人間が生き生きと躍動するためにある。それは「3+3=6」としてのチーム組織論ではなく、「3×3=9」という掛け合わせのチームづくり。将棋の歩がひっくり返ると金の役目ができるように、コマを一つのコマで終わらせないようにするために個の指導やチームマネジメントがある。
特にジュニアのチームづくりで大切なのは「どんなゲームモデルを作ればいいか」という理想論ではなく、「目の前の選手はこのレベルで、こんなプレーができるからこういうゲームモデルがいいよね」という現実論。その積み重ねによって、そのクラブの総体的な傾向が見えてゲームモデルにたどり着く。
何年も取材を続けてるとクラブの総体的な傾向から「うちってこういう戦い方だよね」というゲームモデルが見え、持続的にそれをチームに落とし込むクラブに出会う。全国を見渡してもまだ少ないけど、確実に存在する。選手育成もクラブづくりも机の上だけじゃできないよ。
グラウンドにしか真実はない。
※このコンテンツは「Twitter」で毎朝つぶやいている内容をまとめたものです。頭の整理を目的とするもので、記事として書いているわけではありません。その点をご理解の上、ご一読ください。
木之下潤
【プロフィール】
文筆家&編集者/「年代別トレーニングの教科書」「グアルディオラ総論」など制作多数/子どもをテーマに「スポーツ×教育×発育発達」について取材・研究し、2020年1月からnoteで「#僕の仮説」を発表中!/2019年より女子U-18クラブユースのカップ戦「XF CUP」( @CupXf )の公式メディアディレクターを務める/趣味はお笑いを見ること
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2018年4月〜2020年3月まで「特集担当」として企画から執筆までを行う。
「僕の仮説を公開します」は2020年1月より有料になります。もし有益だと感じていただけたらサポートいただけますと幸いです。取材活動費をはじめ、企画実施費など大切に使わせていただきます。本当にありがとうございます。