智恵子抄と君のためにできるコト
絵本作家、菊田まりこ氏。
氏の作品と出会ってから、もう20数年の時間が流れている。
出会いは衝撃だった。紙面に放たれていたメッセージに、価値観の先端部分が瞬時に奪われた。
どのような人物なのだろう?と、サイン会に出掛けてみた。お土産のケーキを持参し、予定通り列の先頭の座をつかんだ。
「ぜひ、ケーキを召し上がってください」
絵本にサインをいただいた後、ケーキを差し出した先に見せてくれた笑顔の記憶。私だけの宝物だ。
絵本『君のためにできるコト』が好きでたまらない。読んた後、本を抱きしめたくなってしまったのは、この本だけだ。
作り出す物語はシンプルであり、心抉られるほどの力が作品に内蔵されている。そのたどり着いたスタイルに、菊田氏の美しくナチュラルな感受性がズドンと射し込まれている。
今、自分の大好きな人へのギフトにしたい本を挙げてほしいと訊ねられたら、こう答える。
「智恵子抄と、君のためにできるコト。」