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#32 天草時代の鉄道撮影~フェリー欠航事件

 天草に住んでいた時は、天草には鉄道が無かったので、バスやフェリーを使って遠出をしていました。家の近くの港から、水俣に渡るフェリーが出ていたので、それを利用して鹿児島本線の撮影に出かけました。

 当日、気象情報をよく確認せず、天気が良かったので、撮影に行くことにしました。まず、朝からフェリーで水俣に渡ります。水俣の港から駅までは少し遠くて交通の便も良くなかったので、仕方なくタクシーを使いました。水俣駅から、当時まだJRだった鹿児島本線に乗って上田浦まで行きました。475系改造の普通列車だったような記憶があります。上田浦は不知火海沿いのとても景色の良い場所です。まさに、憧れた583系電車の写真が撮られた付近。一日、夢中になって撮影しました。

 ひとしきり撮影が終わって、また電車で水俣へ戻ります。そこからタクシーで港へ。タクシーの運転手さんがラジオをかけていたのですが、そのラジオの情報で、なんと、フェリーが欠航になったというのです!台風が接近している影響、とのことでした。フェリーにはもう乗れないので、とりあえず駅まで引き返してもらいます。その時点でタクシー代が1000円ちょっとかかりました。

 さて、困りました。当然、ホテルに泊まるようなお金もありませんし、今日中に帰らないとどうにもなりません。残された選択肢はただ一つ。遠回りして陸路で帰るしかありません。お財布の中身をチェックすると、ギリギリ、というか足りません。これは困りました。とりあえず、電車で宇土まで行って、三角線で三角へ。当然、普通列車しか使えません。喉が渇いていようと、お腹が減ろうと、何も買えません。何とか三角に着き、そこからバスで天草まで帰ります。しかしバス代が足りません。財布の中を探すと、当時まだあった、紙の回数券がいくらか入っていました。

 残っていたお金と、回数券を足して、何とかギリギリ足りました。無事、家に帰ってから財布の中身を確認すると、数十円しか残っていませんでした。スリリングな体験でした。ちゃんと事前の予報をチェックしないとダメだ、とい教訓が残りました。苦労して撮った写真は、思い出深いものが多いですが。青春時代の思い出の一つです。


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